全国各地で相次ぐ「孤立死」「貧困死」を防ぐために、ことし3月7日の本会議代表質問でおこなった提案と区長の答弁を紹介します。
【松崎いたる】
次に、貧困問題への対応についてです。
今年2月、札幌市、さいたま市、立川市、台東区などで、親子や姉妹が餓死や衰弱死と思われる、いわゆる「孤立死」が相次いで発生しています。これらの痛ましい事件は板橋区でも決して他人事ではありません。
これらの事件に共通しているのは、生活保護などの社会的支援をまったく受けていなかったか、あるいは十分には受けていなかったという点にあります。「なぜ受けなかったのか」、その事情はまちまちでしょうが、少なくとも生活保護制度の意義を広く社会に知っていただくことは事件の再発を防ぐ上で必要だと考えます。
広く区民に権利としての制度紹介を徹底し、生活保護制度への誤解や偏見を取り除くとともに、さまざまな相談窓口でも生活困窮者には生保への申請を勧めていただきたいと思いますが、いかがですか。
また、孤立死の事例の多くで、電気・ガス・水道などが料金未納でとめられていたという事実があります。生きる上で不可欠なライフラインの遮断は、よっぽどのことです。これらのライフラインを遮断する際には区役所にも一報していただくなど、事業者との連携で孤立死を防ぐよう、事業者に協力を求めていただきたい。あわせて答弁を求めます。
【坂本健・板橋区長の答弁】
次に、生活保護制度の普及についてのご質問でございます。
高齢者の孤立死に見られるように、社会の連帯感が弱まっているのではないかと憂慮しております。区は、民生委員の方々の協力を得ながら、高齢者の実態把握の活動として8万2,515件、各種の相談に1万122件の相談をお受けしております。
区組織といたしましては、おとしより保健福祉センターや健康福祉センター等との連携を密にしながら、このような悲惨な事故が起こらないよう努めているところであります。
さらに、税や国民健康保険の窓口をはじめ、他の窓口におきましても、生活などのご相談に関して、福祉事務所への紹介を実施しているところであります。
続いて、ライフライン事業者との連携についてのご質問であります。
孤立死を防ぐため、ライフライン事業者との協力強化に向け研究を進めているところでございます。
上下水道局との間で、生活保護世帯に関しましては協力関係を形成しているところでもございます。
さらに、区におきましては、電気、ガス、水道などのライフライン事業者にとどまらずに、都営住宅などとの連絡・連携体制の実態を改めて把握しながら検討を進めてまいりたいと考えております。