日本共産党板橋地区委員会(須藤武美地区委員長)が次の声明を発表しました。
自衛隊レンジャーによる区内行進訓練の中止を求める
2012年5月12日 日本共産党板橋地区委員会
陸上自衛隊が板橋区内で「レンジャー訓練」を計画していることに、区民の不安が広がっています(※「訓練実施概要」参照)。
6月12日に予定されている訓練の目的は「レンジャー訓練における行進訓練を実施し、隊員の訓練練度向上」で、災害対応とはまったく関係ありません。
◆区民生活に無縁な訓練――平和に逆行
自衛隊レンジャーは、少数で敵陣へ深く侵入し重要拠点の破壊などを行うことを目的にした特殊部隊です。水・食料の補給を受けずに長期の作戦行動ができる体力と精神力が必要で、その訓練は『地獄のサバイバル』と称される過酷なものです。
こうしたレンジャー訓練を、弾薬を持たないとはいえ、実物の武器を持ち、実戦同様の迷彩偽装まで施して、区民が平穏な生活をおくる市街地・住宅街で日中に実施することはきわめて異例のことです。
陸上自衛隊では、外国のゲリラ攻撃など「新たな脅威や多様な事態」への対処を想定し、レンジャー訓練を強化しています。しかし、板橋区でゲリラ戦が展開されるような事態はありえず、レンジャー訓練を板橋区内で行う必要はありません。
憲法9条は「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と定めており、他国からの「脅威」はまず何よりも外交的努力と平和的手段で排除すべきです。また町の治安と住民の安全は、住民の自治と行政、正当な警察力で保持されるべきものです。
国際法である「ジュネーヴ条約」は、戦争や武力紛争でも、非軍事的な地区を攻撃することは「手段のいかんを問わず禁止」しています。しかし非軍事地区として認定されるのは「軍事行動を支援する活動が行われていないこと」が必須条件です。
事実上の軍隊である自衛隊が区内で訓練をおこなえば、国際法的には軍事行動を支援する地区と見なされかねません。
◆ゆるされない『武力』誇示、憲法9条への挑発行為
板橋区には戦前、戦中、多くの軍事施設や軍需工場がありました。戦時中にはこれらが攻撃目標となり、非戦闘員である多数の一般区民が巻きこまれ犠牲になりました。こうした悲劇を繰り返さないためにつくられたのが憲法9条です。
戦後67年にわたって区民の不断の努力によって板橋区の平和は守られてきました。この平穏な住宅地で、戦争状態を想定した「軍事訓練」をおこなうことは、区民と憲法9条に対する挑戦であり、ぜったいに許せません。
日本共産党板橋地区委員会は防衛省および陸上自衛隊に、レンジャー訓練の中止を強く求めるものです。
※
陸上自衛隊が板橋区に送付した「レンジャー訓練実施計画(概要)」によると、訓練は6月12日(火)、午前8時30分~12時の予定です。
30人の部隊が大型ヘリコプターで荒川河川敷の戸田緑地に「降着」後、2列隊列で練馬駐屯地までの約6・8キロの一般道路を「徒歩行進」します。
経路には舟渡水辺公園、舟渡大橋、西台駅前、西台中央通りがあります。
服装は「迷彩作業服、ヘルメット、半長靴」で、顔も迷彩色に「顔料塗布」します。装備は「背のう、携帯無線機、小銃(弾薬は不携行)、銃剣」です。
訓練の目的は「レンジャー訓練における行進訓練を実施し、隊員の訓練練度向上」で、災害対応とはまったく関係ありません。