「第3次板橋区住宅マスタープランに盛り込むべき住宅施策のあり方について」と題された板橋区住宅対策審議会の答申が示されました。
答申のなかで私が注目したのは「住宅セーフティネットの確保」の項です。答申は「低所得者や高齢者・障がい者・ひとり親世帯等の住宅困窮者のためのセーフティネットを確保していくためには、公社・都市機構等や民間の市場と連携するとともに、民間賃貸住宅への入居制限を受けやすい高齢者・障がい者世帯等について、これらの世帯に応じた賃貸住宅が市場を通じて適切に供給されるよう、賃貸住宅市場の環境整備を行っていくことが必要です」と述べています。
つまり「セーフティネット確保」=「市場の整備」だというのです。しかし、セーフティネット(=安全網)がなぜ必要なのかといえば、市場のなかでは住宅を確保できなかった人々に、憲法で定める「健康で文化的な生活」を営むに足りる住宅を保障するためではないか。
市場の整備は必要なことではありますが、それとセーフティネットの確保とは別の問題です。「市場」から"転落"してしまった人を受けとめる安全網がまた「市場」では、"転落"の不安が再度生じるだけです。セーフティネットの確保をいうなら、市場とは別の原理による住宅の供給、つまり公共住宅の整備こそ力を注ぐべきだと思います。