東京23区で構成する東京二十三区清掃一部事務組合が、清掃工場(ゴミ焼却場)の運転をおこなうための新会社を東京ガスとの合弁で設立することがきょうの区民環境委員会で報告されました。新会社の出資比率は清掃組合側6割:東京ガス側4割(板橋区の新たな出資額は、520万円)です。今年度中に会社を発足させ、来年度から事業を開始する計画です。
新会社では焼却場から発生する熱を利用し発電をおこない、その電力を販売するとしています。東京ガスは主にこの電力販売の事業を担い、清掃組合側は清掃工場の運営にあたります。収支見通しでは「電力販売事業は、当初から黒字が見込まれ、4年目以降から収益増加が見込まれる」とされ、5年目(平成23年度)までに累積収支額が11億7千3百万円に達するといいます。
こうした報告をうけて私は、「ゴミを減量を使命とする清掃組合と、たくさんのゴミを燃やしてたくさんの電力を販売し黒字をあげることが宿命となっている東京ガスとでは、利益相反ではないか。この矛盾をどう考えているのか」と質問しました。素朴な疑問をぶつけたつもりでしたが、要領を得た答弁がなかなか返ってきません。ようやく「余剰電力を活用するだけで、電力販売が目的ではない」という答弁を聞き出しました。私は「ゴミ処理が目的であるなら、赤字になっても続けていく覚悟がなければならないはずだ」と意見を述べました。
他会派の議員からは「赤字が出た場合はどうやって補填するのか」という質問がだされ、これには「黒字を前提にした事業計画なので、赤字は想定されていない」という答弁でした。結局はゴミを燃やして利益をあげなければならない会社だということです。
ゴミ焼却の際に出る熱を温水として、あるいは電力として活用する――これには大賛成です。いまさかんにいわれている「もったいない」の精神にも通じることだと思います。しかし、それらを「儲け」の手段として黒字を出し続けなければならないとしたら、「もったいない」からはだいぶかけ離れてしまいます。
「ゴミ減量のために」と家庭ゴミ収集の有料化が検討される一方で、ゴミを燃やして利益を上げる会社がつくられる「いまのゴミ行政は歪んでいる」と思わざるをえません。