廃プラスチックを焼却処分するサーマルリサイクル。板橋区は「区民の理解をえながらすすめる」といいますが、区議会ではごまかし、すりかえの説明をくりかえしてきました。
まず「サーマルリサイクル」という名称そのものがごまかしです。もともとこんな英語はありません。本来は「サーマルリカバリー(熱回収)」というべきです。ゴミを燃やした熱を利用することは従来からおこなわれていたことで新しいことではありません。それをなぜ、わざわざ「サーマルリサイクル」という新語(造語)で説明しなければならないのか? プラスチックを燃やすことに対する区民の抵抗感を「リサイクル」という言葉でごまかしているとしか思えません。
また「最終処分場(埋立地)の延命のため」という口実もごまかしです。区長は「サーマルリサイクルの推進は最終処分場の延命のため」と答弁しており、区の説明資料にも「最終処分場の埋め立てに占める割合の高い廃プラスチック」と記述されています。私は「実際には処分場にうめられているプラスチックの割合はいくらなのか」質問し、処分場の埋め立てられている廃棄物の組成についての資料を示すように要求しました。しかし区が提示した資料は「不燃ごみの組成」。不燃ごみのなかに占めるプラスチックの割合が56.6%もあるから「埋め立てに占める割合も高い」というのが区側の理屈ですが、とんでもないすり替えです。
私が再度、埋め立て物の組成についての資料を要求すると、区の担当課長は「いちいち何を捨てているか量っているわけではないのでわからない」などと答弁しました。しかし実際には埋立処分計画量という資料が特別区助役会に報告されており、そこでは埋立量に占める一般廃棄物(不燃ごみ)の割合は20.3%、プラスチックは全体の1割程度です。「わからない」という答弁はデタラメであり、「埋め立てに占める割合の高い廃プラスチック」という説明もまったく根拠がありません。
「処分場の延命というなら、埋め立ての割合が高い建設残土などの土砂系にも目を向けるべきだ」という私の主張に対して担当課長は「建設残土のことを取り上げても、区民にはピンとこない」などと述べました。区民の環境に対する意識を愚弄する発言です。
さらに「プラスチックの焼却による地球温暖化への影響はわずかだ」という区の説明にもごまかしがありました。“焼却によるCO2の増加は、埋め立て地からのメタンガスの発生がなくなることで相殺される”というのが区の説明です。プラスチックを埋め立てると、付着した食物残渣からメタンが発生しているというのです。しかし、メタンの発生原因を詳しく調べさせると、大部分は木くず、紙くずで、食物残渣はわずかでした。これは分別を徹底すれば解消できる問題です。結局、焼却によってCO2は増加するのであり、地球温暖化防止の取り組みに逆行することになります。
なぜ、このようなごまかしで粉飾されなければならないのか? それは廃プラスチックの焼却の目的が、環境保全などではなく、安上がりのゴミ処分と、それをビジネスチャンスとする営利企業のため、さらにはプラスチック製造企業のごみ減量への責任を免罪させるためではないのか? これまでの論戦を通じて私はこのように実感しています。