読売新聞8日付けが、
「厚生労働省は認可保育所に関し、市区町村が入所先を割り振る制度を改め、利用者が直接申し込んで契約する仕組みに変更する方針を固めた」
と報じています。
いわゆる「直接契約方式」のことです。
この記事は「希望の保育所選べます」と大きな見出しをつけ、肯定的に評価しています。
しかし、私は「公的保育が後退してしまう」など、父母や保育関係者からの疑問や不安の声を多く聞いています。
先日(1月22日)の板橋区議会文教児童委員会でも次のような質疑をおこないました(要旨)。
松崎
(保育園入所に)自治体が関与しない直接契約方式のメリットとデメリットは何か?
保育サービス課長
(メリットは)基本的に直接契約の場合は保育に欠けることを入所要件としないので、「保育園に入りたい」という方はどなたでも申し込みができる。
すべての子育て家庭を対象にできる。
利用者が保育所を選択できる。
デメリットとしては、運用を誤ると保育の必要性の高い子どもの利用が確保されない可能性がある。
ただ、考え方として、保育料は行政が関与するのではなく事業者が設定するので、利用が確保されにくい人に対しては、バウチャー券に行政が一定額上乗せする方法も提案されている。
松崎
好きな保育園を選べる、また保育に欠けていなくても希望すれば保育園に入れるのがメリットということだが、
現行の保育園数や水準で、自由選択できるだけの条件がそろっているのか?
課長
板橋区の中だけを限って申し上げれば、現状でこのような(直接契約の)制度になったとしても難しいと思う。
ただ23区(全体)とか、待機児が発生していないようなところ(地方)であれば、そういった選択はかなりあるだろうと思う。
――つまりは希望する保育園を自分で選べるといっても、板橋区内でそれを見つけるのは難しい。23区中のどこかにはあるだろうし、待機児のいない地方にいけば自由に選べるということです。
直接契約方式の「自由選択」は「絵に描いたモチ」であるばかりではありません。
「自己責任」が原則となる直接契約では、
保育園事業者の倒産や閉園、
あるいは園内での事故に対しては
父母が個人で対応しなければなりません。
まさに保育に対する公的責任の放棄です。