ホタル館の元職員との和解に反対する討論
2017年3月7日
板橋区議会議員 松﨑いたる
◆疑惑を闇に葬る「和解」
私は、議案第23号に反対する立場から、この討論を行います。
今回の訴訟の和解案は、板橋区ホタル生態環境館をめぐる数々の不正の事実、疑惑の真相を区民から遠ざけようとするものです。
刑事事件として立件できる要件を満たすかどうか、また真の首謀者は誰であるのかは、これからの検証を待たねばならないとしても、こんにちまでに明らかになっている事実に照らして、ホタル館を舞台に行われていたことは、公務員倫理や市民的道徳に反する悪質な不正だったことは明らかです。
事実ではないこと「事実だ」として示して、一般市民や政治家、行政機関まで錯誤に陥らせ判断を誤らせることは、詐欺罪にも発展しかねない欺罔行為です。
ホタル館では、まさにこうした欺罔行為が長期にかつ広範囲に行われてきました。
今回の和解は、ホタル館をめぐる疑惑の真相、事件の本質を当事者である元職員と板橋区の双方で覆い隠そうとするものです。
しかも、区民負担で原告側に金銭を渡すなどは、二重に区民を裏切り、損害を与えるものです。
◆非違行為の事実はある
懲戒の対象となった原告の行為があったのか、なかったのか、その存否について、原告・被告で争いはありません。
原告の行為を確実に立証する証拠は原告の署名捺印の契約書など、被告板橋区によって多く示されており、原告自身がその事実を認めています。
委員会審議のなかでの「立証する証拠が足りなかった」などという指摘は、事実経過を顧みない、まったく的外れのものです。
争点は、証拠に示された原告の行為が、「区に無断で私的に行われた結果としての非違行為であった」と被告板橋区の主張が正しいのか、それとも「原告の行為は区公認の業務命令に基づく公務であり非違行為には当たらない」とする原告の主張が正しいのか、という点にあります。
ないことを証明するのは悪魔の証明ですが、公務であったと言うのなら、原告は、その証拠を示すことができるはずです。しかし、公務であったという立証は何一つできていません。
「裁判官に区の主張は認めらなかった」と言う人もいますが、これまでの裁判の中では、双方が主張しあい、その証拠を出し合っている状況で、裁判官が、その当否の判断を下したことはありません。
民事訴訟において、和解を勧めないことのほうが、まれであり、和解の勧告が出されたことをもって「裁判所の判断だ」とすること自体、行政や議会の主体的責任を放棄した議論であり、区民への裏切りです。
原告の行為は、板橋区職員という公務員の信用を悪用した悪質なもので、板橋区に決裁を受けた公務であると偽るために、坂本区長からの指示命令をねつ造する、また架空の虚偽文書を作成・交付するという、公務員倫理はおろか、刑法にも触れかねないことを行っています。
原告は「公務である」との主張をいまだに撤回していません。
具体的にみると、次のようなことです。
◆小山町のホタル水路工事とルシオラ社への便宜供与
静岡県小山町でのホタルのせせらぎづくりに関する契約行為は、たんに職務から逸脱した私的な契約を区に無断で結んだということにとどまりません。
板橋区公認の契約だと相手方自治体に偽り、「板橋区には特許使用料免除の規定がある」などと伝え、小山町とルシオラ社との契約を結ばせ、自らはルシオラ社の主任技術者としてこの工事契約に加わりました。しかし、板橋区には特許使用料の免除規定など存在していません。原告はいまだにこうした条例や要綱をねじ曲げた嘘をついたことを認めず、無反省なまま、事実と異なる主張を続けています。
原告によるルシオラ社への便宜供与は、この一度限りではありません。それは、ルシオラの現社長自身が、2014年4月13日に「当時の前石塚区長のご了解および指導の元、2004年10月以降、有限会社ルシオラがホタル再生のほとんどすべてを行ってきています」と、板橋区が所有管理しているはずのホタル特許の実施を300件近く、原告とともに担ってきたと公言していることからも明らかです。
もともと同社は、原告に博士号を与えた指導教官である茨城大学の教授が設立した会社でした。そして、博士となった原告のもとにホタルの飼育技術に問い合わせなどをしてきた個人、企業、団体、自治体などに、ルシオラ社を紹介し、ホタル関連の工事契約など、原告は同社に斡旋してきました。
また原告は、「板橋区が特許を出願して、ホタル再生支援事業に本格的に取り組んでいく中で、石塚前区長や板橋区の有力者であるN氏などと再生支援の裏方を担う企業は、民間企業よりも大学のベンチャー企業がよりのではないかとの議論がなされ、ホタル再生支援事業を担う母体が新たに創設されることとなった。このような経緯のなかで、有限会社ルシオラは平成15年12月25日に茨城大学のベンチャー企業として設立された。ルシオラが当初からホタル再生支援事業の裏方を担うことが予定されていたことは、板橋区の原告の上司ももちろん知っていた」とのべ、同社が石塚輝男前区長の指揮のもとに設立された、なかば板橋区公認の会社であったとも主張しています。これも信じるにたる根拠と証拠のない話ですが、その真偽を明らかにする責任の一端は板橋区にもあります。
懲戒免職の理由になったルシオラ社への便宜供与の原因・背景として、博士号取得とルシオラ社設立、同社への仕事の斡旋など、原告の役割、また同社と前区長の関わりの有無など、裁判を通じて明らかにする責任が板橋区にはあります。
◆石川県能登町とのクロマルハナバチに関する不正契約
石川県能登町の公社とのクロマルハナバチの商業的契約も、たんに区に無断で私的契約に関与したということだけで済まされるものではありません。
これも、板橋区の公認の公務だと偽って区の信用を騙り、能登町長や能登町議会を錯誤に陥らせ契約させています。
契約の当事者であったのは「イノリー企画」という名の業者ということになっていますが、能登町にハチを販売するためにつくられた、ほとんど実績、実態のない会社です。これも原告の周辺人物によってつくられています。イノリー企画の事務所の所在地がホタル館の中ににあるとして設立申請の書類が出されています。公共施設であるホタル館が区長や区議会も知らないうちに民間の営利のために占有、利用されていたことは、重大な不正行為です。
さらに、この契約における最大の問題は、イノリー企画が実績のある企業だと能登町長や町議会に思わせるために、イノリーと板橋区ホタル館との「業務提携契約書」というニセの書類がねつ造され、能登町側に示されていたことです。
この「業務提携契約書」の日付は平成21年7月1日となっていますが、この当時、イノリー企画の実態は存在せず、しがって、この契約書も存在していません。これは原告自身が証言していることであり、新たな立証の必要のないことです。
原告は次のように述べています。
「平成21年7月1日付けの『業務提携契約書』であるが、これはそもそも平成23年4月1日の同日の交わされた文書であって、もちろん平成21年のものではありえない。
この文書は、新しい契約の相手方としてイノリー企画が登場したため、能登町が、対外的に信用上の問題をクリアにするために要求したもので、原告は事前に上司であるK係長に相談し、その了解の上で作成したものに過ぎず、原告とイノリー企画との間に、かかる契約関係があったという事実はない」。このようにあからさまに、嘘をついたことを告白しています。
対外的な信用を得るために、能登町からの要請によって、このニセの業務提携契約書を作成したのだから、詐欺には当たらないなどと主張していますが、能登町議会は業務提携の事実がなかったことは「知らない」としています。
また原告に名指しされた当時の係長も、相談や了解がなかったと明確に否定しています。
誰がニセの書類の作成の首謀者であったのかは不明だとしても、このニセ書類を信用の根拠にして契約を結んだとすれば、違法性が問われる重大問題です。ウソと知りつつニセ書類の作成に関与した原告もその責任は免れません。
原告が関わったウソはこれだけではありません。原告が能登町公社に送った電子メールでは、板橋区が諸経費を負担し施設を提供することなど、坂本区長が直接原告に指示したとされています。
区長が部課長を通さず、直接一般職員に指示命令を下すこと自体、考えにくいことです。仮に何らかの形で指示が行われていたとすれば、議会への報告も承認もなしに、予算のかかる約束事を他の自治体と交わしていたことになり、地方自治法上や地方財政法にも抵触する大問題です。
原告は、このメールをクロマルハナバチ契約が板橋区の公務であった証拠として、複数の裁判で提出しており、いまなお、その主張を撤回していません。
こうした明らかな虚言を撤回させないまま、和解するならば、板橋区の信用が大きく損なわれることになります。
◆公共施設の私的占有
ホタル館の鍵が原告の知人である一般民間人にゆだねられていた事実も、けっして軽微なことではありません。
区民の共有財産であるはずの公共施設が特定の私人のよって私物化されていたことを示すからです。
原告が、夜中の1時近くまで、休日なしで残業していたと主張していますが、その時間帯もじっさいにはこの原告の知人ひとりがホタル館に在室していたことも区の調査で明らかになっています。こうした事実があるにもかかわらず、原告が残業代を請求すること自体が不当なことでした。
現実離れした荒唐無稽な原告の主張を容認し、区民負担を伴う和解に応じた区議会の責任はきわめて重大です。
◆ホタルの持ち込みの事実
宗教法人である鶴岡八幡宮所有のホタル成虫をホタル館内に持ち込ませ、原告が再雇用職員に命じて、雄雌の仕分け作業を行わせていたことは、重大な職務専念義務違反であり、公務員として踏み外した行為です。
そしてこの件は、日常的に外部からホタルが持ち込まれていたことを示す事実であり、原告の「ホタルは移動させると威嚇光を放しやがて死ぬ」とか、「輸送の際には保冷剤が必要なはずだ」など、ホタル持ち込みに対する原告の反論を否定する重要な証拠にもなっています。
今回の和解案で、懲戒事由にもなっていないホタルの累代飼育と特許取得に関しての記述が盛り込まれたことは、ホタル館では何が行われていたのか、という区民がいちばん知りたい真実を覆い隠すものであり、ぜったい容認できません。
◆実態のない「累代飼育」
原告は平成元年から25年以上、ホタルの累代飼育を続けてきたと区や区民に報告してきました。
累代飼育とはホタルを、途中外部から導入することなく、卵、幼虫、さなぎ、成虫、そしてその成虫が産卵した卵から同じサイクルを繰り返すという飼育方法ですが、この累代飼育が成功していたことを示す根拠は原告自身の報告や証言しかなく、客観的な証拠は何もありません。累代飼育が成功した証明もされていません。
一方で、累代飼育を否定する合理的な根拠はいくつも存在しています。
その最大のものは資源環境部によるDNA鑑定です。ここでは本来、福島県大熊町由来であるはずのDNAは検出されず、西日本産のホタルが持ち込まれていたことが証明されました。区の報告書は慎重に、最後の一年分に限定して累代飼育を否定していますが、それ以前から持ち込みがあったと考えることは自然なことです。
残された過去の記録を見ても、やはり累代飼育は疑わしいと言わざるを得ません。
まず初年度の羽化率が異常なほど高いことです。
原告は平成元年に福島県大熊町からゲンジボタルの卵300個、栃木県栗山村のヘイケボタルの卵700個を採取して累代飼育をはじめたと主張しています。その初年度に300個の卵から成虫まで成長したゲンジボタルは150匹、700個の卵から成虫になったヘイケボタルは550匹だったと原告はいいますが、その羽化率はそれぞれ50%、78.6%となります。ホタルの羽化率は、原告自身も認めているように、一般にわずか1%前後といわれており、人工飼育でも数%になるかならないかです。
にもかかわらず50%を超える羽化率などきわめて異常で、原告自身も著書の中で「奇跡」としか説明ができないほどです。
その後、平成7年には羽化した20万匹だったと報告していましたが、この数字は、原告自身がテレビの報道番組のなかで「20万匹は上司から指示されてついたウソだった」と告白、弁明しています。
原告はウソを指示した上司とは誰だったのかも説明することができず、上司の指示という原告の主張は崩されていますが、いずれにせよ、20万匹という羽化数は否定され、実際のところ何匹が羽化したのか、なんら記録はなく、すくなくともこの時点で、累代飼育の継続を根拠づける証拠は消滅しています。
また、原告は委託事業者「むし企画」に「ホタル幼虫等が死亡した場合は速やかに福島県双葉郡大熊町産のゲンジボタル幼虫、栃木県栗山村産のヘイケボタル幼虫と同じ「遺伝子」「DNA」を持ち、且つ同じ「令」個体を委託者が速やかに用意する。」ことを指示しています。死なせたらその分だけのホタルを持ってこいというのですから、このことからも累代飼育など虚構だったということがいえます。
このほか、累代飼育に関わる原告の主張、報告は自然法則に反することばかりです。
300個の卵とは、ほぼゲンジボタルのメス1匹が産卵する卵の数に相当しますが、原告は、ホタルには近親交配をさける本能があり、近親交配はないと主張してきました。しかし、300個の卵からたとえ数年でも近親交配なしに累代飼育を続けることは、数学的な組み合わせを考えても不可能なことです。
原告の主張する説がたんに誤りで、実際には近親交配で累代していたとしても、数年累代を重ねれば、近交弱勢という障害が発生することが知られています。しかし、ホタル館ではこの障害の発生は見られず、このことも累代飼育に対する大きな疑念の根拠となります。
飼育密度から考えても、あのホタル館の広さで2万匹を毎年羽化させることは、きわめて異常なことだといわなくてはなりません。
ホタルは脱皮のたびに死亡する個体が多く、羽化数の数倍ないし数十倍の幼虫がいるはずです。2万匹を羽化させるには最低でも7万匹程度の終齢幼虫が必要ですが、飼育していた水路の川表面面積は、24万9千平方センチメートルしかなく、区の報告書によれば「7万匹のホタルの幼虫が生息する場合、生息密度は1平方センチメートルあたり0.28匹」となります。1匹あたりでは約3.6平方センチメートルです。餌となるカワニナが同じ水域にいたとすれば、異常な過密状態といえます。
これらの疑問に答えることなく、原告の主張だけを根拠に累代飼育の成功を認めるようなことは、およそ科学的な態度とはいえないものです。
◆矛盾だらけのホタル特許
この累代飼育の可能としたとする特許技術なるものも、実態のある技術であるとはいえないもので、この特許を前提に原告を評価することはできません。
特許の取得をもって、その技術が実用にたる適正なものであるかどうかを判断することはできません。特許は、自然法則に反することがあからさまなインチキな発明以外は、もっぱら先願があるかどうかで審査され、先願がなければパスすることは多いからです。特許庁で客観的な検証実験などがされているわけではないのです。
特許を保有し管理していたはずの板橋区も、特許が取得できたことで満足し、その具体的な技術内容を検証することをしてきませんでした。「特許は板橋区の宝」などと絶賛してきた私を含む区議会議員らも、何が発明なのか、どんな技術なのか、知ることも、知ろうとすることもしてきませんでした。
しかし、改めて特許公報の内容を読んでみると、多くの不審点、矛盾があることに驚かされます。
誤字がある、表の取り違えがあるといったことは些細なことのようですが、訂正もされていないということは、文章自体、十分なチェックを受けていない証拠です。
内容についても、たとえば飼育水の条件は「カルシウムを中心に多様なミネラルを適度に含んだ軟水であること」と記載されていますが、軟水とはカルシウムとマグネシウムの濃度である硬度が1リットルあたり120mg以下の水をいいますが、この特許ではカルシウム硬度だけで152ミリグラム、総硬度で455ミリグラムと記載されており、硬水にあたる数値を示しています。これは、この特許申請者が軟水と硬水の違いすら理解していないことをしめすものです。
「好気性バクテリアが酸素を地中深く運んで前期水域部の端々へと酸素を巡らせる」という記述もたいへん非科学的で矛盾したものです。好気性バクテリアは酸素のある環境を好むのであり、酸素の乏しい地中深くに自ら酸素を運ぶことはあり得ません。こうした生物学の基礎的知識すら、この特許内容は欠けているのです。
特許公報では「平成12年6月1日時点での水槽内における水域部で繁殖している微生物」として、フラボバクテリウムからクロストリジウムまで、20種の生物を列挙していますが、一般的に自然界に存在する生物とはいえ、これらの微生物を検出する施設や手段を板橋区が有していないことから、実際にこれらの微生物が存在したとするエビデンスは存在しません。
そもそもこの特許は建屋または水槽で「外部と仕切られた空間内」での飼育方法であるのに、特許が実施された場所のほとんどがオープンスペースであった点も、特許技術の適格性を疑わせるものです。
原告は、日本国内や韓国で、300カ所以上でこの特許技術でホタル再生を成功させてきたと豪語していますが、実際にはホタルが飛んだのは1年目だけで、累代の繁殖が成功して2年目以降もホタルが飛翔した事例の報告はありません。
京都府宇治市植物園のホタル事業も板橋区に特許使用料を納めていますが、実際には毎年「補助飼育」と称して外部からホタルが持ち込まれています。
神奈川県藤沢市でも、原告からルシオラ社を紹介され、ホタル事業を行ってきましたが、ここでも「補助飼育」として、千葉県匝瑳市の養殖場からホタルが持ち込まれていました。
私が調査した横浜市や文京区でのホタル飼育者も、板橋区の特許技術や原告の知見を信頼してホタル飼育をまかせたものの、実際にはホタルが発生することなく、原告がホタルを持ってきたり、毎年、ルシオラからホタルが郵送されてくるとのことでした。
原告自身、著書のなかで、自分が現場に行かないとホタル再生はできないという趣旨のことを書いています。再現可能な自然法則を利用した科学技術ではなく、属人的な特技であることの告白であり、特許にふさわしいものとはいえません。
重大なことは特許では、特許では保水のために富士砂、赤玉土、黒土を用いるとしているにもかかわらず、実際の再生現場では、これらの安価な土ではなく、高価な「蛍殖土」なるものを依頼者に買わせていたことです。
蛍殖土の正体は火山灰を素焼きしたものですから、保水する能力に乏しく、常に水まきをしていなければならないというしろものです。こうした特許内容と相反するものを使わせていたこと自体が特許の正当を疑わせるものです。
◆合意なき和解の欺瞞
さいごに、3月3日から4日にかけて、原告代理人が一部の区議会議員らに送りつけた文書についてです。この文書には、区が和解案に示したような「原告が非違行為を認めた」というような態度はまったくみられず、むしろまったく逆に、原告の主張が全面的に認めらた勝訴的和解などと称しています。
和解とは双方の合意にもとづくものであるはずですが、実態はまったく合意がないことを示すものです。このままの状態で和解することほど欺瞞的なことはありません。
以上のように、和解には何ひとつ合理的な理由も正当性もありません。区民にとっても利益もありません。
裁判所はどちらかの勝訴、敗訴を判断したわけではありません。提出された証拠についても当否を判断していません。
板橋区はまだまだ裁判をたたかえるだけの根拠をもっています。区民に何があったかをきちんと説明する義務を果たすためにも裁判の判決も求めるべきことを申し上げ、和解案に反対討論といたします。
2016年12月18日付「しんぶん赤旗」首都圏版に「松崎板橋区議 党から除籍」という記事が掲載されました。
記事では除籍処分の理由を「会派離脱して、別会派をたちあげたこと」と説明していますが、なぜ私が会派を離れたのか?の理由について触れていないので、ここで事情を説明しておきたいと思います。(なお「別会派」をたちあげたわけではなく、無所属になっただけです)
第4回定例会に坂本健区長が提出した議案「訴訟上の和解について」私は反対の立場から、12月12日の本会議で討論を行ないました。 これは、数々の不正が行なわれた板橋区ホタル生態環境館の元飼育担当職員とその仲間の業者らが、板橋区を相手取って提訴している3件の裁判のうち、「残業代請求」の裁判についての和解の承認を区議会に求める議案です。
元職員は「2014年1月までのおよそ2年間、1日も休暇を取らず、早朝6時から翌日午前1時まで勤務していた」という荒唐無稽な主張を展開し、その「残業代」を請求していました。
この「長時間勤務」の中身として元職員は「ナノ銀除染」や「クロマルハナバチ飼育販売」をしていたと主張しています。これは元職員が私を訴えている「名誉毀損」裁判で争っていることでもあります。
元職員に解決金500万円を支払うと同時に、元職員と区との間で「何らの債権債務がないことを相互に確認する」という和解条件はホタル館での不正事件について、何が原因であり、元職員と区のどちらに責任があるのか、または、双方の過失割合はどうか、という区民に明らかにすべき真相を覆い隠すものだからです。
私は「ホタル館での不正事件の徹底解明」を選挙公約に掲げ当選した区議会議員として、和解を承認すべきではないことを本会議場から議員ならび区民に訴えました。
しかし、私の所属会派ではこの議案に賛成してしまいました。
議会事務局に確認したところ「同一会派から意見の異なる二つの討論はできない」のが議会ルールということで、不本意ながらやむを得ず会派から離れる決断をしたのは、このためです。
議案の内容が明らかになったのが突然のこともあり、事前に皆様にご報告、ご相談できなかったことをお詫び申し上げます。
これはひとえに区議選でも掲げた「ホタル館での不正の徹底追及」という公約を実現させるものであることをご理解いただければ、幸いです。 会派という後ろ盾を失い、ますます困難を抱えることにもなりましたが、今後はますます、ホタル館事件の全容を区民に知っていただくこと、区と区議会、元職員の責任の所在をあきらかにすること、そして区政の歪みと税金の無駄遣いを正すことに全身全霊を傾ける決意です。
私が12月12日に行った反対討論は以下のとおりです。
ホタル館の不正追及に蓋をする和解案に反対する討論
2016年12月12日
板橋区議会議員 松崎いたる
◆はじめに。巨額の税金をつぎ込んだホタル館
私は議案第108号「訴訟上の和解について」反対の立場から、討論を行います。
平成元年からのホタル飼育を引き継ぎついだホタル生態環境館は、実質的には平成26年1月27日の生息数調査の日まで、今回訴訟の原告である元職員の手で、事業が行なわれてきました。
その予算規模は年に3000万円から4000万円にも及び、25年間の合計では、ゆうに10億円を超えるものです。その金額の異常ぶりは、調布市が年10万円の予算でホタル飼育を続けていることからもわかります。
◆根拠のない区民負担
ホタル館では数々の不正がありました。この議案は、ホタル館の元職員に区が残業代に代わる解決金500万円を支払うと同時に、元職員と区との間で「何らの債権債務がないことを相互に確認する」ものです。
すでに元職員には給与を支払いずみであるにも関わらず、この和解条件は、何の根拠もない500万円を区民の血税から支出させるものです。
そもそも、平成24年4月から平成26年1月までのおよそ2年間、いっさい休日をとらず、早朝6時から翌日午前1時まで働き続けるなど、ふつうの人間なら不可能です。また一人の人間がこれだけの長時間かつ長期間にわたり、ひとつの場所に滞在し続けること自体が無理です。こうした荒唐無稽な主張をきっぱり否定し、不当な要求を退けることこそ、適正な労務管理であり、区民の利益にかなうことです。
ホタル館での不正事件の本質は、管理のずさんさという板橋区の弱みにつけこみ、施設を私物化し、私的な営利活動をおこなったというものです。けっして労働問題ではありません。
裁判所はこの特殊な事件の本質を見ず、過去のサービス残業事件の事例を当てはめようとして、判決を下すことをさけ、和解を勧告したにすぎません。そのため、板橋区が提出した多くの証拠についても審理をしませんでした。立証できなかったのではなく、立証しようとする行為そのものがなされていないのです。
◆責任追及に蓋をする和解条件
「債権債務がないことを相互に確認する」という和解条件は、決しておカネだけの問題ではありません。元職員が犯した不正行為と、それを許した行政の怠慢に対しての、今後の追及を困難にするものです。
営利企業への便宜供与、他の自治体との無断契約、委託事業者への不適切な委託金の流れ、外部からのホタルの持ち込みと飼育偽装…。これらの不正について、何が原因であり、元職員と区のどちらに責任があるのか、という真相を「債権債務がないこと」にして覆い隠すものです。
◆和解は司法判断ではなく当事者の意思
12月1日の企画総務委員会では、元職員の主張を「ウソじゃないか」という発言もありました。事実を指摘する勇気ある発言ですが、それならば、なぜウソに追い銭をやらねばならないのか。区民に納得のいく説明はつきません。
賛成理由のほとんどが「司法の判断だから仕方がない」というものでした。しかし和解は司法の判断ではありません。あくまでも、原告・被告双方の主体的意思によるものです。司法に責任転嫁することはできません。
不正の土壌をつくった区政と、不正をした元職員との「手打ち」を認め、その負債を何ら責任のない区民に支払わせるなど、社会的道義に反するものです。
◆司法の判断である判決を仰ぐべき
「和解なら500万円で済むが、敗訴となれば1000万円になる。だから和解したほうがいい」との意見もありますが、500万円にしろ、1000万円にしろ、区民が支払ういわれのないお金です。
堂々と裁判をたたかい、司法の判断である判決を仰ぐべきです。元職員の荒唐無稽な主張を退ける証拠はたくさんあります。不正を正す裁判ならば、きっと区民も応援することでしょう。
かりに敗訴となっても、裁判所がどんな事実を認め、どんな主張を認めなかったのか、はっきりさせることにより検証が可能となります。その上で、区民の納得と同意を得て、控訴、上告という道もあります。
◆区の管理責任とは何か
「区の管理責任があることを類推できる」から和解に賛成するという主張もありました。
「類推」という主観で、区民に負担を求めること自体、間違っています。
だいたい「区の管理責任」とは、区民に対する責任なのでしょうか? 元職員に対する責任なのでしょうか?
上司のいない特殊な職場で、管理監督が行き届かなかった事実はありました。しかしその結果、施設を占拠されたり、深夜に及ぶまでムダな光熱費を払わされたり、ホタルの飼育偽装がなされるなど、損害を負わされたのは区民です。
区に管理責任上の過失があるなら、区民に償うべきであって、区民負担で元職員に償うなど、まったく逆さまです。
◆全容解明は区議会の責務
また、賛成理由のなかで「すべての裁判が終了した後に、区が全容解明して、議会へも報告される」ことをあげた委員もおりました。
しかしこれは全容の解明もしないうちに、和解してしまおうということに他なりません。そもそも区政問題の調査や解明は区議会議員の責務であるはずです。裁判資料はだれでも閲覧できます。調査を行政に丸投げして「報告を待つ」というだけでは、議員の職責の放棄にも等しいものです。
◆別人に不当占拠されていたホタル館。鍵の管理について
それでは事件の具体的内容は何か? 今回の残業代事件に関することだけをあげれば、まず鍵の取締り簿の問題です。
平成26年2月9日に資源環境部が作成した資料「ホタル生態環境館における施錠管理等に関する調査結果について」によれば、ホタル館の鍵の開け閉めを実際に行い、長時間滞在していたのは、元職員ではなく、ボランティアと称してホタル館に出入りしていた元職員の友人「H氏」でした。
この事実は、元職員が働いていたと主張する時間帯に本人はおらず、別人がいたことになり、いわゆるアリバイがくずれたことになります。
◆荒唐無稽な「ナノ銀除染」
通常の勤務時間内でさえ、元職員は本来の公務を放棄し、私的な活動を行っていました。
元職員は福島の原発事故直後から、ホタル館で除菌のために使用していた「ナノ銀」を売り込もうと、「細菌に効くのだから、放射能にも効くだろう」という非科学的な主張から、放射能を分解・無害化できると言い始めました。福島県大熊町や千葉県柏市などに、この「ナノ銀除染」をアピールし、小沢一郎代議士など大物政治家の庇護をえて、放射能実験を各地で行っていました。
平成24年8月9日に、元参院議員・平野貞夫氏が主催した「放射能浄化勉強会」に元職員は講演しています。その報告書によれば、平成24年5月からの5か月間に、少なくとも41日は、公務ではない「ナノ銀」除染関連の活動を行なっています。
◆営利目的のクロマルハナバチ飼育販売
クロマルハナバチの石川県能登町への販売事業も公務とは無関係です。
元職員は「別の事業者がやっていた」などとも主張していますが、この事業者を能登町に信用させるために、虚偽の業務提携契約書まで作成しています。
また元職員が能登町に送ったメールは、坂本区長がハチの販売価格について「当面は徴収しないで協力するように」指示し、「板橋区は施設及び諸経費を負担」すると約束したなど、事実ではないことばかりで、きわめて悪質です。
◆区に無断で行なわれたホタル再生とその結果
元職員による全国各地のホタル再生も、ほとんどが区に無断で行なわれたものでした。すでに静岡県小山町との無断契約が明らかにされています。
このほか、平成24年6月27日に、元職員は横浜市内の民間老人介護施設でホタルのせせらぎづくりをしています。この施設によれば、元職員が紹介したL社に約180万円の代金を支払ったが、ホタルが成虫になることはなく、苦情をいうと元職員本人が数匹のホタル成虫を持ってきたとのことでした。
これらが板橋区の公務であろうはずもなく、これを公務とみなして区民が元職員に支払うなどもってのほかです。
◆元職員の勤務態度と警察への協力
取締り簿に管理職が押印を続けた事情も酌むべきです。
環境部長の陳述書によれば元職員は、上司から不審な点を尋ねられると『夜間公開なんかやめてやる』などと脅したといいます。ホタルの「夜間公開」を楯にして、上司を恫喝し、自らの不都合を隠そうとしていた姿がそこにはあります。
平成25年8月以降、区は警察に相談しており、警察は捜査の必要上、「表立った行動を控えるよう」に要請しています。
もちろんこれで区が免罪されるわけではありませんが、少なくとも元職員の側に、大きな責任があるというべきです。
◆区議会議員の責任
さいごに、私には特別の責任があると痛感しています。そのため、この討論を行うため所属会派から離脱いたしました。
ホタル飼育施設ができた平成4年、私の先輩であった区議は「十数年前から、再三再四、ホタルが生息できる施設をつくってほしいと要望してきた。その結果、…ホタルが身近に見られるようになった」と党の成果であることを強調しています。私もその成果・実績を守ろうとし、会派幹事長であった時には、重点要望として「ホタル館存続」を区長に予算要望してきました。
しかし裁判や調査のなかで、1200万円の委託費の不正流用がわかりました。
700万円は委託業者とは無縁のボランティア女性に現金で渡され、この女性は現在、元職員と共に一般社団法人の共同代表になっています。
残り500万円も委託先ではなく、別会社の会計に「合算」されていました。これは不正経理、脱税が疑われる行為です。しかも、この会社社長は私と同じ政党に属しており、経理について助言していたのも同じ政党の人間でした。組織ぐるみではありませんが、自分たちが要望した予算が、偶然とはいえ自分たちの同志のもとに、不正なカタチで還流していたことは、区議として、とても良心の呵責に耐えられるものではありません。
区長に事件の全容解明を求めるだけでなく、自らの足元にある証拠にも切り込んで調査追及することを誓うと同時に、議員各位におかれてもこの事件に正面から向き合うことを訴え、反対討論と致します。
討論は以上です。なお、会派離脱にかかわる党と私との間のやり取りは以下のリンク先をご覧ください。
無所属にはなりましたが、私の公約実現への姿勢は何も変わりません。今後ともご支援をよろしくお願いします。
(ごぶさたしてました。久しぶりのブログ更新です。)
(写真は撤去された板橋区ホタル生態環境館の跡地)
次の文章を読んでみてください。少し長い文章ですが、できるだけ予断を持たず、何が書かれているか、どんな性質の文章なのか、考えながら読んでみましょう。(誤字も多くありますが、そのまま引用しています)
【引用始まり】
ホタル生態環境館業務管理委託仕様書
板橋区ホタル生態環境館業務管理委託について下記の項目の全てを業務しなければならない。業務委託者は水生生物全般及び清掃等に精通している者とする。
月20日で、休館日は区担当職員に従い業務を執行する。この時ホタル幼虫・ホタル成虫・蛹・成虫及び貴重な動植物の管理を行う。但し、これらの業務執行に関して個体等の異変や死亡等があった場合には全て委託者の責任であり、速やかに同じ個体及び同じ遺伝子・DNAの持ったものを用意する。
飼育室
*180cm ホタル生態水槽6本以上
1.業務執行日に全ての生態水槽の水質検査を行う。但し、計測機械等はデジタル仕様で、100分の1まで計測でき、且つ管理委託者が器機を用意すること。計測したデーターは全て板橋区ホタル生態環境館のものとする。(別途水質調査内容明記)
2.区担当職員の指示に従い、飼育水交換を行う。但し、水道水を用いるので、PH等が交換する生態水槽に合わせなければならない。変動値は0.2とする。これによりホタル幼虫等が死亡した場合は速やかに〈注意1〉福島県双葉郡大熊町産のゲンジボタル幼虫、栃木県栗山村産のヘイケボタル幼虫と同じ「遺伝子」「DNA」を持ち、且つ同じ「令」個体を委託者が速やかに用意する。
3.区担当職員の指示に従い、濾材交換(骨炭・珊瑚砂等々)を行う。但し、濾材交換時に飼育水異変があり、ホタル幼虫等が死亡した場合は〈注意1〉と同じである。
4.区担当職員の指示により、飼育等を与える。飼料等は全て委託者が用意する。(別途飼料内容を明記する) これにより水質悪化に伴いホタル幼虫等が死亡した場合は〈注意1〉と同じである。
5.上陸基・羽化基・産卵期・孵化期は区担当職員と共に早朝作業及び夜間作業等を行う。この時に区担当職員の指示に従い適切な業務を執行しなければならない。これによりホタル幼虫・卵・成虫等が死亡した場合は速やかに〈注意1〉と卵・成虫等を用意すること。
6.区担当職員の指示により用土交換補助を行う。この時に量を誤り、且つ敏速に業務遂行が出来ずに、水生のホタル幼虫・カワニナ・水生動物が死亡した場合には〈注意1・2〉を行う。
7.羽化期に区担当職員の指示により上陸地に細霧作業を行う。但し、誤って羽化個体が少ない場合と全滅の時は全て委託者の責任において成虫を〈注意1〉2日以内で用意すること。
*180cm等カワニナ育成水槽4本及び90cm等カワニナ予備水槽6本以上
1.業務執行日に全てのカワニナ水槽の水質検査を行う。但し、計測器はデジタル仕様で、100分の1まで計測でき、且つ管理委託者が器機を用意する。計測したデーターは全て板橋区ホタル飼育施設のものとする。(別途水質調査内容明記)
2.区担当職員の指示に従い、飼育水交換を行う。この時PHの幅は0.1とする。誤って〈注意2〉カワニナ等を死亡させたときは速やかに福島県産と栃木県産のカワニナを委託者が用意する。
3.区担当職員の指示に従い、濾材交換(骨炭・エーハイサブストラット・珊瑚砂等々)を行う。この時、誤って水槽内のカワニナ等が死亡した場合は全て委託者の責任において〈注意2〉を行う。
4.カワニナ水槽内の水生植物の管理を区担当職員の指示により行う。この時誤って枯れさせた場合は同じ水生植物を委託者が用意する。但し、「タヌキモ」等の貴重な植物は保護されている場合が多い。従って委託者が責任を持って各都道府県及び市町村に許可を取り採取する。
5.区担当職員の指示によりカワニナ水槽よりカワニナの稚貝を採取し、孵化幼虫に与える。この時稚貝を死亡させたり、若しくは個体数を誤り孵化幼虫を死亡させた場合には同等の稚貝と孵化幼虫〈注意1と同じ〉を速やかに用意すること。
6.区担当職員の指示により各カワニナ水槽に飼料を与える。この時誤ってカワニナ等を死亡若しくは著しく個体に変化が見られた場合には委託者の責任で〈注意2〉を行う。
7.カワニナ水槽には貴重な魚類(イトウ、ホンメダカ、ヨシノボリ、ヤマトヌマエビ等々)が入っている。委託者が区担当職員の指示に従わなく死亡させたときは速やかに同じ魚類を2日以内に用意する。
*「内せせらぎ」及び「外せせらぎ」
1.区担当職員の指示により簡易水質検査を行う。結果報告は5分以内に報告すること。
2.区担当職員の指示により飼育水交換の補助作業を行う。この時指示に従わなく且つ生態に多大なる影響があった場合には全ての責任は委託者にあり、ホタル個体及びカワニナ、水生動物、水生植物(毎年平均約100万匹以上のゲンジボタル・ヘイケボタル幼虫、約80㎏のカワニナ等々)を3日以内に同じ種のものを用意すること。
3.区担当職員の指示により、用土交換作業補助を行う。用土交換時に委託者が用土攪拌等に欠陥があった場合には全ての用土を取り出し、「ホタル仕様用土」を委託者が全て用意する事。
4.循環ピット内点検及び流速ポンプ、ストレーナー清掃作業を区担当職員の指示により行う。循環ピットには「イトウ」が生息しているので傷等を決して付けない。誤って傷等を個体に負わせた場合には同種魚を2日以内で委託者が責任を持って用意する。
5.上陸地植物手入れを区担当職員の指示により行う。貴重な植物、例えば「シラネアオイ」「アツモリソウ」「ザゼンソウ」「クマガイソウ」「ウチョウラン」「ツチアケビ」「ヤマトキソウ」「ウラシマソウ」「サギソウ」「ニリンソウ」「カタクリ」等々の200種を越える植物である。指示に従わず枯れさせた場合には委託者が責任を持って同種を2日以内に用意する。
6.区担当職員の指示により濾過槽2基の点検及び濾材交換、濾材洗浄作業を行う。この時指示に従わなく且つ好気性バクテリアが死亡した場合には「せせらぎ」全体の危機を意味する。よって委託者は全責任を取らなくてはならない。
7.冷温水器及び配管、バルブ等の点検及び清浄作業を区担当職員の指示により行う。誤って器機等の破損が生じた場合には当日に全ての箇所を委託者が責任を持って復旧する事。
8.天窓・寒冷紗の清掃及び点検を区担当職員の指示により行う。ガラス等が破損した場合には委託者が全責任をもって当日に復旧すること。
9.木道の清掃を区担当職員の指示により行う。流し水が大量に上陸用土に入り、且つ生態に多大なる影響があった場合には委託者が全責任を取る事。
10.上陸期・羽化期・産卵期・孵化期は当然夜間作業及び早朝作業を区担当職員の指示により行う。
*水生昆虫及び両生類水槽10本以上
1.タガメ水槽、ゲンゴロウ水槽、タイコウチ・コウイムシ水槽の飼育水を区担当職員の指示により交換する。この時、誤って死亡させたときは現飼育施設に飼育している個体と同じ産地のものを3日以内で委託者が用意すること。
2.カジカガエル、トウキョウサンショウウオ水槽の飼育交換を区担当職員の指示により適切に行う。但し、誤って死亡させた場合は委託者が責任を持って同じ産地(奥多摩檜原村)の個体を役場の許可を取って採取し、用意すること。
3.水生生物が産卵し繁殖したときは区担当職員の指示により適切に孵化個体を保護しなければならない。この時誤って死亡した場合は委託者が同等の個体を責任を持って用意する。
4.水生昆虫及び両生類水槽に生き餌を区担当職員の指示により行う。全ての生き餌は純国産のイトミミズ・赤虫・さし(蛆)・メダカ・金魚等で、委託者が用意する。この時誤って死亡させた場合は委託者の責任で死亡個体を用意する。また、生き餌に関して区担当職員が鮮度やその他で適切ではないと判断した場合は2日以内で同等の生き餌を用意すること。
*淡水魚展示水槽及びその他の水槽(契約個所の生態槽も含む)
1.ムサシトミヨ水槽、アカメ水槽、ヤリタナゴ等水槽の飼育水交換を区担当職員の指示により適切に行う。誤って死亡若しくは著しく個体に変化が見られた場合には同等の個体を3日以内に委託者が用意する。
2.発光性海水魚水槽・発光性熱帯魚水槽の飼育水交換及び給餌作業を区担当職員の指示に従い行う。この時個体が死亡著しく変化が見られた場合には速やかに同等の魚類を委託者が責任を持って用意すること。
*産卵容器及び孵化幼虫バット100本以上
1.ゲンジボタル、ヘイケボタル産卵容器(平均80個前後)飼育水交換を区担当職員の指示に従い適切に行う。毎年約100万個前後の産卵数がある。誤って卵を死亡させた場合は委託者が責任を持って当館が原産地から役場の許可をもらい2日以内で採取し、個体数を合わせなければならない。
2.産卵数及び孵化幼虫数は区担当職員の指示により的確に数えなければならない。この時誤って卵を潰したり、乾燥させたりして死亡させた場合は委託者が責任を持って当施設原産地から同等の卵数を確保しなければならない。また孵化幼虫数も同様であり、この時のデーターは全て板橋区ホタル生態環境館のものとする。
3.委託者の勤務日に孵化幼虫ステンレスバット飼育水交換を区担当職員の指示により適切に行う。この時 孵化幼虫を誤って死亡若しくは流してしまった場合は速やかに同数を原産地に許可を取って採取し、2日以内に用意すること。
4.委託者が勤務日に孵化幼虫ステンレスバットに稚貝を区担当職員の指示により適切に与える。この時、稚貝数を誤り、孵化幼虫が餓死若しくは稚貝が多く入り、アンモニア・亜硝酸濃度が高くなり、個体が死亡した場合は委託者が全責任を取り、当施設原産地より同数を確保しなければならない。
*羽化個体と夜間特別公開
1.ゲンジボタルとヘイケボタルの羽化期は早朝作業・夜間作業を行う。全ての水質調査や上陸地への湿度調整、植物育成状況等を区担当職員の指示により適切に扱う。もし羽化個体が委託者が誤って死亡させた場合には全責任は委託者にあり、同じ遺伝子を持った羽化個体を同数2日以内で用意すること。
2.夜間特別公開日は4月下旬には決定する。これに伴いホタル成虫羽化日を区担当職員が逆算する。湿度・温度、水温・日照時間等をコントロールする。これに伴い区担当職員の指示により適切な作業を行わなければならない。もし羽化個体が委託者が誤って死亡させた場合には全責任は委託者にあり、同じ遺伝子を持った羽化個体を同数2日以内で用意すること。
もし、羽化個体数等が委託者により誤り死亡させたり、著しく個体が弱く夜間特別公開が出来ない場合には、委託者が全責任を取り、各行政・各報道機関に対して全面的に出なければならない。
3.2の個体数が委託者に明らかに誤った場合には過去羽化個体数の平均数と同等のゲンジボタル・ヘイケボタル成虫を2日以内で用意しなければならない。
*資料作成及び来館者等の説明
1.各生態水槽及びカワニナ水槽等々と「せせらぎ」の作業日誌を書くこと。
2.区担当職員が資料等々の作成を指示したとき速やかに実行すること。この時のデーターは当施設のものであり、全て施設の管轄下にある。万が一データーが露出した場合には、委託者は「告訴」され、且つ責任は大きく社会的にも責任追及がある。
3.区担当職員の指示により来館者に適切な説明を施さなければならない。来館者が不愉快に感じた場合は委託者が全責任を取る事。
委託者負担品
水質検査機一式(一流メーカー品)
水質維持等
1.バイオコリンH3
2.ステラコリン
3.フローラプライド
4.バイタル
5.水作ニューフラワー濾過器
6.水作エイトM
7.水作エイトS
8.人工海水(極上品)
9.骨炭(叶産業製品 20㎏入り)
10.エアーポンプ
11.エアーチューブ
12.エアー分配機
13.各フィルター
14.上記の他 当館が必要とするもの全て
濾材及び上陸用土関係
1.抗火石
2.トルマリン入り訓炭(実用新案)
飼料
1.テトラミン
2.テトラフィン
3.クリル
4.ドログリーン
5.ドロミン
6.ディスカスフード
7.国産冷凍赤虫
8.国産イトミミズ
9.サシ(蛆)
10.ミルワーム
11.ロイヤルミルワーム
12.向日葵の種
13.新鮮野菜及び果物(鈴虫・松虫・カンタン等の鳴く虫)
14.上記の他 当館が必要とするもの全て
【引用終わり】
この文章は、今は廃止された板橋区ホタル生態環境館でホタル飼育業務を板橋区から委託されていた「むし企画」代表が、区から契約を途中解除されたことを不服として板橋区を訴えた裁判で、原告の「むし企画」の側が証拠として裁判所に提出した書面の一つです。
この裁判では、区側が「むし企画は委託した内容の業務をしていなかったので、契約解除は正当」と主張しているのに対して、「むし企画」側は「区から委託された業務は行なっており、契約解除される理由はない」と反論し、原告と被告が正面対決しています。
引用した文章は原告の「むし企画」代表が〝委託されていた内容〟の証拠として示したものです。
原告のむし企画はこの文章は板橋区が作成した正式な「仕様書」だと主張していますが、被告の板橋区側は、正式な「仕様書」とは認めておらず、区のホタル飼育担当職員が区に無断で私的に作成した文書だと主張しています。
誰がこの文書を書いたのか?では原告と被告は対立していますが、「区担当職員」から「むし企画」代表に手渡された文章であるという点では両者の認識は一致しています。
それでは、この文章=「仕様書」は誰が書いたのか? ほんとうに板橋区の正式な『委託書』なのでしょうか?
結論をいえば、私はこの仕様書は板橋区が作成したものではなく、まったくの私的文書だと判断しています。
こんな文書を行政機関がつくるはずがありません。どこがおかしいかは、読んでいただければ、いくつも指摘できると思います。
不審な点をあげればきりがないのですが、簡単な表現上の問題をまず指摘すれば、文中「委託者」とされているのは明かな誤記で、本来なら「受託者」と表記すべきです。そうでないと文章全体の意味が通りません。行政文書のすべてが、「まちがいがない」とはいえませんが、複数でチェックしているはずの行政文書では、ここまで基本的なミスは見逃されるはずのないものです。
内容の点でも、委託を受けた「むし企画」の側(文中は『委託者』)に「全責任をとること」を強いており、対等な契約にはなっていません。法的にも問題のある文書です。
いちばん重大なのは、この私的な「仕様書」が、ホタル飼育業務の手順や方法を示したものにはなっておらず、ひたすら〝数合わせ〟を、受託者である「むし企画」に強いていることです。
これでは、たとえ飼育や繁殖に失敗し、累代飼育が途絶えたとしても、表面上は例年通りのホタル飼育規模が維持されることになります。飼育データーが対外的に「露出」した場合には「告訴する」とまで書かれているのですから、途中でホタルが死亡しても、正直に「何匹死んだ」などということは、区や区民には知らされないことになります。
そもそもホタルもカワニナも生き物ですから、毎年数に変動があっても当然です。それをこうした「仕様書」で人為的に報告数をコントロールしていたとすれば、これまで「区担当職員」が区や区民、マスコミに報告してきた数値(卵数、孵化数、幼虫数、上陸数、羽化数)はまったく根拠がなく、信用できません。
こんなホタル飼育事業に板橋区民は毎年3000~4000万円(うち「むし企画」への委託費は年1400万円)、25年間でゆうに10億円以上の税金を支出させてきたのです。
区民にはホタル館の真相を知る権利があり、区議会議員には区民に事態を説明する義務があります。
区議会のすべての会派、政党に沈黙することは許されません。
なぜ、こんなホタル館の実態を黙認してきたのか? きちんと説明すべきでしょう。
◆解体されるホタル館
旧・板橋区ホタル生態環境館(2015年3月に閉館)の建物が解体されることが決まりました。
これまで、「2万匹規模のホタルの25年累代飼育」をはじめ、この施設で行われてきたことにさまざまな疑惑、疑問が生じ、これまで総額で10億円を超える税金の使途すら不明になっているのですから、これ以上の支出(維持費など)をかけず、土地の所有者である板橋区教育委員会に返還するのは当然です。
◆ニセ除染に板橋区がかかわったのか?
ホタル館での疑惑のひとつが、ニセの放射能除染をふりまくことに、ホタル館がかかわってきたことです。
板橋区という自治体の信用が利用された欺瞞的行為ですから、これ自体、見過ごすことはできません。
また、本来業務であるホタル飼育事業についても、理学博士である元飼育担当職員の報告・証言だけが唯一の「実績」の根拠になっており、区や区民はこれを信用していたのですから、元職員の科学に対する知見、見識が正確な信頼に足るものだったかどうかを確認することは、ホタル飼育事業の実態を考えるうえでも重要なことです。
◆「放射能のエネルギーを奪い取る」?
元飼育担当職員はホタル館で〝ナノ銀除染〟なる技術を発明したと主張し、原発事故被害地で「実験」を繰り返してきました。
私がこれを「インチキである」と指摘したことに対して、元職員は「名誉棄損」にあたるとしてを私を提訴しています。
元職員は、ナノ銀は放射性物質の「放射能のエネルギーを奪い取り」「放射性物質の電気的エネルギーとナノ純銀粒子の電気的エネルギーが衝突し、エネルギー変換します」と説明しています(2011年10月29日付 フェイスブック)。
放射能の除染といえば通常は、放射性物質を、人間の健康や自然環境に害を及ぼさいように移動させ、隔離・遮蔽することを言いますが、元職員が言う“ナノ銀除染”は、そうした通常の除染ではなく、放射性物質そのものの「半減期を短縮」、「エネルギー変換」「核変換」で「無害化する」というものです。
もっとも、物理学の知識がなくても、ホタル館は放射線を扱える施設ではありませんし、必要な研究資材もありません。元職員も「理学博士」という肩書があるにせよ、原子物理学は専門外であり、放射線を扱う資格(免許)もありません。こんな条件で、科学の常識を打ち破るような「発見」があったと、信じるにはかなりの無理があります。
しかしそれでも、元職員は「ナノ銀による放射線低減効果は実験で確かめられている」と、主張を変えようとしていません。
これは単に「間違った仮説」という問題ではありません。
すでに“ナノ銀除染”関連の商品が一部とはいえ広告・販売されています。
福島県内などで、「実践」もされています。
放射能が消えていないのに「消えた」などと流布されれば、実際の放射能汚染が放置され、原発事故からの復興の妨げになり、健康被害も生じかねません。
「仮説のひとつだから」ではすまされない、ただちにやめさせることが必要な欺瞞的行為です。
◆核反応の証拠
元職員は、ナノ銀による放射線の低減「効果」は「“低エネルギー核反応”LENRが有力と捉えている」(訴状)といいます。
「低エネルギー核反応」は、さまざまな検証を経て現在では否定されている「常温核融合」の別名です。「病める科学」が名前を変えて生き残っているともいえるでしょう。
もともと荒唐無稽な主張を科学の「仮説」扱いすること自体、はばかられますが、裁判にもなってしまったこともあり、百歩ゆずって「仮説」として検証してみたいと思います。
ナノ銀で「核反応」が起きていることを証明するなら、核反応の証拠を実験や観測を通じて発見することが必要です。
核分裂、核融合のいずれの核反応でも、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線など、なんらかの放射線が出ていなければなりません。
原子核崩壊のスピードを早めて半減期を短縮するなら、その分、時間当たりの放射線量が増えなければなりません。
また、核反応が起きているなら、核種変換したあとの娘核種が検出されるはずです。
元職員らの“ナノ銀除染”実験では、これらの証拠はまったく見つかっていません。元職員は「放射線量の低減」が観測されたといいますが、線量計の値が「減った」だけでは、核反応がおきたことも、半減期が短縮されてことも証明されていないのです。
半減期が短縮するという説が誤りだとしても、逆に放射性核種の自発崩壊を抑え半減期を延長する効果がナノ銀にあるとしたらどうでしょう? それなら「放射能の減弱効果がある」ともいえます。こんな主張を元職員がしているわけではありません。また、もちろん、こんな荒唐無稽は思いつきは物理学の知見や自然法則に照らせば、検討にも値しないといってもいいでしょう。
それでも、その可能性を「ナノ銀除染はあります」という立場から考えてみましょう。
原子核の崩壊が抑制されているなら、測定される時間当たりの放射線量は低減するはずで、これは元職員の実験結果とも一致するようです。
◆科学のルールとしての仮説と学術論文
ではこれで放射能低減が証明できたかといえば、そうはいきません。
線量計の値を変化させる要因はたくさんあり、ナノ銀以外の要因をすべて排除してはじめて、「ナノ銀がなんらかの影響を与えた可能性がある」といえるのです。
「可能性がある」と遠慮がちにいったのは、それでもまだ「ナノ銀が放射能を減弱させた」というには証拠が足りないからです。
さまざな科学者に検討・検証してもらい、誰が試して同様の結果になるという再現性が確認されることが必要です。そのために、学術雑誌に論文を掲載し、幅広い学者の点検をうけるという手続きが科学界には必要条件、ルールとしてもうけられています。
科学でいう論文とは、仮説を検証する作業の場でなければなりません。たんに自分の考えを主張する場ではないのです。
しかも仮説とは、たんなる思いつき、アイデア、ひらめきとはまったく違います。仮説は、ある現象を合理的に説明するために行なわれる一種の推測です。しかし、その推測は、すでに確認済みの知見と照らし合わせて、自然法則として矛盾がないかどうかを、観察・実験によって確かめることによって、その推測の真偽が検証されます。検証できるようになってはじめて仮説となりうるのです。
元職員は「ナノ銀による放射能低減」を、原発事故対策に提案したり、研究団体主催の発表会で報告したりしていますが、他の研究者の検証を受けられるような論文をいまだに書いていません。これでは追試、再現実験を行なうことも不可能です。その意味で、まだ仮説にすらなっていないのです。
◆ナノ銀でどんな“実験”があったのか?
元職員は「ナノ銀等の実験及び試験は1000回を超えています」(2012年1月3日のフェイスブック)といいます。2011年3月11日の福島原発事故後にホタル館の放射線測定を行い、その線量を下げたことから“ナノ銀除染”がはじまったことが、著書『ホタルよ 福島にふたたび』の中で語られているのですが、原発事故から1年もたたないうちに「1000回を超え」るとは、すごい回数です。
いったいどんなどんな「実験」だったのでしょうか?
裁判所には、原告である元職員からナノ銀実験にかかわるいくつかの資料が提出されています。
たとえば、2012(平成24)年3月28日、千葉県柏市南部クリーンセンターでの「ナノ純銀担持濾材放射能軽減効果試験」(甲第15号証)をみてみましょう。
訴状では、「(同クリーンセンターに)保存されていた高濃度セシウムを含む焼却灰を2次処理した焼却灰(初期数値56000㏃/㎏)にナノ純銀担持コラーゲン溶液+ナノ純銀担持骨炭を混ぜ、6日後に数値を測定したところ23700㏃/㎏に低減した」と説明されています。
提出された証拠の実験報告は以下のとおりです。









この実験のおかしなところにお気づきでしょうか?
まず、訴状では測定値の単位がベクレル(㏃/㎏)になっているのに証拠(15号証)の実験報告ではシーベルト(㏜/h)になっていて、整合性がありません。また、訴状では6日後に測定したことになっていますが、証拠は30分後までのデータしかなく、訴状の主張内容を証明するものになっていません。
でも、このような不備はほんの序の口です。原告である元職員は「とにかく実験をしたのは事実だ」と言いたいのかもしれません。私も柏市の清掃施設で何らかの出来事があったこと自体を疑っているわけではありません。
しかしそれはとうてい「実験」あるいは「試験」と呼べるようなものではありませんでした。(でもここでは便宜上「」つきで「実験」と呼ぶことにします。他に適当な呼び名がありませんから)
◆くらべるものものがない
柏市での「実験」で、対象となった試料は3つ
(A)水道水
(B)ナノ純銀担持コラーゲン溶液(10ppm)+ナノ純銀担持骨炭
(C)ナノ純銀担持コラーゲン溶液(20ppm)+ナノ純銀担持骨炭
これらを放射性物質が含まれるゴミ焼却灰に混ぜて、放射線量を測定し、(B)や(C)は(A)に比べて「線量が減った」と主張するのですが、この「実験」なるものだけでは、線量が減った原因がナノ銀であるとはいえません。
(A)の水道水以外の(B)(C)は、いずれもナノ銀、コラーゲン、骨炭の3種の物質が含まれており、どの物質が線量を低下させているか、わからないからです。
元職員はナノ銀の濃度(ppm)が問題なのだ、と言いたいのかも知りませんが、それはすでに「ナノ銀に効果がある」ことを前提条件にしてしまい、「見たいものを見る」ための操作となってしまいます。
まずは、どれが原因になっているかを調べるには対照実験をする必要があります。
試料にすべきは
(A)(B)(C)に加え(BとCはどちらか一方でもかまわない)、
(D)ナノ純銀担持コラーゲン溶液のみ
(E)ナノ純銀担持骨炭のみ
(F)コラーゲン溶液のみ
(G)骨炭のみ
でしょう。
この柏市での「実験」なるものは、こうした必要な比較対象をそろえていません。
◆早くから「効果なし」と判定されていた
そもそも、ナノ銀による放射能低減効果なるものは、2013年3月6日の参議院本会議での文科大臣答弁で
「日本原子力研究開発機構が関係の大学とともに二度にわたる試験を実施しましたが、残念ながら御指摘の効果は確認されなかった」
と否定されています。
それでも元職員は、文科大臣が同じ答弁の中で
「文部科学省としては、日本原子力研究開発機構に対し、今後とも各方面から御提案のある技術について、関係各省とも連携し、積極的にその技術的評価に取り組み、有望な技術の確認を行うよう要請してまいります」
と述べていることにしがみつき、〝ナノ銀除染〟は「まだ未解明であるにすぎない」と、否定されたことを否定しつづけています。
そこで私は弁護士を通じて、大臣答弁の根拠となった日本原子力研究開発機構に問い合わせてみました。
原研から送られてきた資料が以下のものです。
2012年4月16日には【留意事項】として次の3点が元職員に通知されています。
(1)ナノ銀利用除染資材を添加した汚染土壌3試料及び添加していないリファレンス3試料のすべてにおいて、繰り返し測定に係る変動はなかった。
(2)ナノ銀骨炭を汚染土壌に混合した場合は、混ぜていない物に比べて、単位体積当たりの放射能が低下した。これは、混合したナノ銀骨炭により、汚染土壌の放射能濃度が低くなったためと推測される。
(3)この結果は、ナノ銀を担持した骨炭(ナノ銀利用除染資材)及び担持していない骨炭、ともに見られることから、除染資材としての効果が表れているわけではないと考えられる。
さらに2012年6月1日には、再度の追加試験を経た最終的な結果が元職員に対して通知されています。
「高純度ゲルマニウム検出器を用いたγ(ガンマ)線測定装置で放射能測定を行った結果、汚染土壌へのナノ純銀パウダー混入の有無に限らず、土壌に含まれるセシウムの低減効果は認められませんでした。また、繰り返し測定においても同様の結果でした。」
というものです。
放射線量が下がったのは炭を混入したことで試料が希釈されたためでした。
しかし、こうした正規の研究機関による試験、検証を経て「3.11事件は自然災害ではないと疑え、それが第二、第三の3.11を阻止する第一歩:2009年、政権交代を果たした小沢・鳩山両氏は死を賭して真相を暴露すべき - 新ベンチャー革命 - Yahoo!ブログ効果なし」と判定された以降も、判定結果を公表せず、〝ナノ銀除染〟を主張しつづけ、ルシオラ社などを通じて、ナノ銀除染関連の商品が広告・販売活動も続けられました。
◆〝ナノ銀除染〟でわかったことは…
私は、この一連のナノ銀ニセ除染事件を調査するなかで、F.エンゲルスの『反デューリング論』を読み返してみました。
この本は、当時の観念論学者のデューリング博士の誤謬を徹底的に批判したものです。
このなかでエンゲルスは「事実にこそ、勝利の確信の基礎があるのであって、あれこれの書斎学者の法および不法の観念にあるのではない」と言っています。
そして「デューリング氏の業績のすべては、どこをつかまえてみても、まったくのペテンであることがわかった」とも言い切っています。
その「業績」の一つが、リゴメーターという装置の発明だったようです。
「デューリング氏の組み立てたリゴメーター、すなわち極低温を測る器具は、高温にせよ低温にせよ、そもそも温度を測る尺度としてではなく、もっぱらデューリング氏の無知な傲慢さを測る尺度として役立つだけであろう」。
「ナノ銀」と「リゴメーター」にどんな関係があるのか? と思われたかもしれませんが、ぜひ多くの人に考えていただきたいのです。
2015年9月16日、 板橋区議会第3回定例会での私の一般質問から、ヘイトスピーチ問題に関する部分を紹介します。
◆松崎いたる
ヘイトスピーチについて、見解を問うものです。
街頭で、インターネットで、出版で、「出ていけ」「死ね」「殺せ」などと声高に叫び、民族差別をあおるヘイトスピーチは自由や民主主義と相容れず、健全な市民社会と両立しません。なぜなら、それは言論や表現の自由とは無縁の、脅迫、強制、圧迫という人権侵害の暴力行為そのものだからです。
在日特権を許さない市民の会などのヘイトスピーカーは、在日特権なるありもしない虚構を根拠に、外国籍住民への人権侵害を合理化していますが、とんでもありません。彼らに対する批判も高まっており、京都の朝鮮学校に対する在特会によるヘイトデモが国連の人種差別撤廃条約にいう人種差別に該当するとした判決が昨年、最高裁で確定しました。同年8月には、国連の人種差別撤廃委員会が日本政府に対し、ヘイトスピーチ根絶への法的措置を含む毅然とした対応をとるように勧告し、実際に立法措置による禁止を求める動きも強まっています。にもかかわらず、ヘイトスピーチは根絶されていません。
法律などの強制による禁止は、暴力行為をとめるために緊急避難措置として必要なことですが、憎悪の連鎖を断ち切るためには、在日特権などのような妄想が入り込めないような相互理解、相互尊重の多文化共生の実現が必要です。住民の平穏な暮らしに直接責任を負う自治体の役割は、この問題では、政府の果たすべき役割よりもさらに大きなものがあると考えます。
まずは、人種差別、民族差別を助長し、暴力と人権侵害のヘイトスピーチに区長として絶対反対の意思表示をこの場で明らかにしていただきたいが、いかがですか。
◆坂本区長の答弁
ヘイトスピーチは、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的な言動であり、一人ひとりの人権が尊重され豊かで安心して生活できる成熟した社会の実現に逆行するものであり、憂慮すべきことと考えています。
私はいま、板橋区ホタル生態環境館の元飼育担当職員から「名誉棄損」で訴えられ、裁判中です。
このブログ連載「ホタルの闇」やツイッタ―、フェイスブックなどで、私が「ナノ銀で放射能除染できるというのはインチキ」と指摘したことを、「ナノ銀除染」の〝発明者〟である元職員は、名誉棄損にあたると主張しているのです。
◆除菌できるなら放射能も…?
そもそもナノ銀除染とは何でしょうか?
ナノ銀とは銀(Ag)の粒子をナノスケールまで細かくしたもの。ホタル館では、ナノ銀が含まれる薬品を除菌剤として使用していました。訴状では次のように説明しています。
◆「ナノ銀とは、10ナノメートル程度からそれ以下の粒子径の銀のことである。ナノ銀に抗菌作用があるものと認識されていたことから、原告は、ナノ銀を石及び土等に担持することによって水をろ過し、カビの発生のない環境を確立させ、ホタルの累代飼育に活用していた」(原告側訴状15ページ)。
フェイスブックなどでは、元職員は「エボラ出血熱にも効く」などと言っています。
2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原発の事故が発生すると、
◆「そんな中で、ナノ銀担持物質(例えば御影石)をとおして菌が除去できるのであれば、放射性物質にも効力があるのではないかという助言があり、ホタル館周辺の高濃度の汚染度や汚染水を使った除染実験に着手してみた。
そうしたところ、放射性物質のレベルが下がることが確認されたため、原告はこの結果が本当ならば、進行する放射性物質による汚染とその被害を少しでも回避することができるのではないかと考えて真剣にこの効能について検討を重ねていった」(訴状8ページ)
訴状によると、福島県や千葉県などでナノ銀除染の「実証実験」や研究発表を繰り返しました。そして次のような結果を得たといいます。
◆ 「ほぼ“半減期”が約1~2カ月程度の減弱効果が存在するとの結論を得つつある。途上だが現状報告する」(2013年2月5日 研究会「放射線検出器とその応用」(第27回)での発表 訴状11ページ)
◆ 「本未知現象のメカニズムについてはγ線計測実験だけからは不明であるが、現在の所、他分野の情報も加味すると、近年多くの実験データを示しつつある“低エネルギー核反応”LENRが有力と捉えている」(2014年1月30日、上記研究会28回での発表 訴状11ページ)
化学反応は原子核に影響しないこと、放射性物質の半減期はそれぞれの核種に固有のものであることを根拠に、私はこうした「ナノ銀の放射性物質低減効果」なるものはインチキだと批判し、「ナノ銀除染」を信じないように警告を発してきました。
訴状に対して私はつぎのような意見を裁判所に提出しています。
●「放射性同位体の放射性崩壊は自然に発生するもので,半減期の長短は,放射性同位体ごとに定まる確率(崩壊定数)のみによって定まるものである。すなわち,崩壊までの期間はその物質の置かれている古典物理学的・化学的環境(熱・電磁場・化学反応など)には一切依存せず,半減期は放射性同位体ごとの固有の期間となるものである。これらは,自然科学における人類の実証的探求の結果,科学的事実が立証されている放射線物理学の学問的知見である」(被告準備書面(2)平成27年6月5日)
◆科学的に実証せよ!
ところが原告の元職員はこれに再反論してきました。
◆「原告はナノ銀による放射線低減効果について科学的検証を行い、研究発表会で発表までしている。被告は単に『放射能同位体の半減期は放射性同位体ごとに定まる確率のみによって定まり、その期間は科学的環境には一切依存せず、半減期は放射性同位体ごとの固有の期間となるものである』と主張するだけでなく、実際に自身が主張する上記理論について、科学的に実証されたい。」(原告準備書面(1)平成27年8月10日 )
まず指摘しなければならないのは、被告側主張の引用に誤字があることです。「放射能同位体の」は誤りで、正しくは「放射性同位体の」です。また、「科学的環境には」は誤りで、正しくは「化学的環境には」と記述すべきです。
たしかにささないなことかもしれません。でも、このさい正確な用語の定義を確認しておきましょう。
放射能とは、かんたんにいえば「放射線を出す性質あるいは能力」のことをいいます。「不安定な原子核が自発的に別のより安定な原子核に壊変する性質」といいかえることもできす。原子核が壊変するときにアルファ線、ベータ線、ガンマ線という放射線を出すのです。
ですから、放射性物質とは放射能をもった物質のことで、放射性同位体ともいいます。
なぜ放射性同位体というのかといえば、同じ化学的性質をもった物質でも放射能を持っているものと、持っていないものがあるからです。
たとえばセシウムは、セシウム133、セシウム134、セシウム137の3つの同位体があり、そのうち放射能を持つ放射性同位体は134と137の2つの核種です。
「化学」と「科学」を混同していては議論になりません。問題は、ナノ銀という物質をふりかけたり、混ぜたりすることで、どんな反応や効果があらわれるか?ということですから、化学としてとらえなければなりません。
では化学とは何か?
「物質の性質・構造、物質相互間の化学反応を研究する自然科学の一部門」であり、そして化学反応とは、物質のもとである原子を構成する素粒子のひとつである電子のやりとりにかかわる現象のことです。原子は中心に陽子・中性子からなる原子核があり、そのまわりの軌道を電子がまわっていることで構成されています。
その電子にかかわる変化が化学反応であり、原子核にかかわる変化が核反応です。
化学反応では、原子核に影響を及ぼしません。だから私は、ナノ銀を加えるというような化学反応では、原子核の壊変=放射線には影響しないと言ったのだけにすぎません。これは自説の主張などではなく、事実そのものです。
ですから、原告の元職員から「主張するだけでなく、実際に自身が主張する上記理論について、科学的に実証されたい」と求められても、正直困ってしまいます。
「これらは,自然科学における人類の実証的探求の結果,科学的事実が立証されている放射線物理学の学問的知見」なのですから、それ以上説明しようがないのです。
たとえば、ニュートンは万有引力の法則を発見し、「2物体間には常に,それらの質量の積に比例し,距離の2乗に反比例する引力がはたらく」という重力の性質を明らかにしましたが、なぜ重力が生じるのか? という疑問にニュートンは答えませんでした。アインシュタインが現れて、「重力とは空間の歪みである」と説明できるようになりました。ですが、空間はどうやって生まれたのでしょうか? とけない謎はまだまだ多いのです。だからといって、ニュートンやアインシュタインは間違っていたということにはなりません。
◆ニセ科学と立証責任
もともと「ナノ銀で放射能を低減させる」「半減期を減弱させる」などと、これまでの化学的知見に反する主張をしているのは原告の元職員なのですから、立証責任は原告側にあります。
宇宙物理学者の池内了さんは疑似科学(ニセ科学)の特徴の一つに「立証責任を批判者に負わせる」ことをあげています。
●「(疑似科学の)第二の特徴は、それを主張する人が立証責任を負わず、むしろ批判する人が反証しなければならないと言い募ることにある。『それがウソだというなら、ウソであることを証明してみろ』というわけだ。しかし、第一の特徴にあるように反証する手だてがない。そこで『ウソであると証明できないではないか』として、自らの主張が正しいかのうように言い立てるのだ。立証責任を脇において、反証責任を批判者に押し付けるのである。」
(「疑似科学入門」 池内了 岩波新書 2008年)
アメリカの科学史家マイクル・シャーマーは「なぜ人はニセ科学を信じるのか」(岡田靖史・訳 早川書房 1999年)のなかで
「突飛な仮説を打ち出す者は、専門家に対して…立証責任を負うことになる」と述べています。そして「念のために言っておくと、証拠を提出するだけでは充分ではない。その証拠の正当性を人々に納得させなければならない」
と指摘しています。
同じくアメリカのロバート・パークはでつぎのように言います。
「『物理学の最先端』を自称するインチキ科学もある。自分たちの発見は科学に大革命をもたらし、科学理論を根本からくつがえすと吹聴する連中だ。こうした『新しい科学』のふりをするインチキ科学にたいして、科学界は、説得力のある証拠を提示するよう強く求めなければならない。カール・セーガン博士は『突拍子もない主張は、突拍子もない証拠によって裏打ちされている』と述べた。だが、突拍子もない主張というものは、まちがっていたことがあとでかならず判明する」(「わたしたちはなぜ科学にだまされるか」(栗木さつき訳 主婦の友社 2001年)
「ナノ銀の放射能低減効果」なるものが、「突飛な仮説」「突拍子もない主張」であることは、ネット上の書き込みはみればあきらかでしょう。
しかも発見者の元職員も、その支援者たちも、それらが間違いであることに気づいています。
元職員は著書「ホタルよ 福島にふたたび」で「もっとも、学者はそんな単純な話ではない、と言うんですけれどね。でも、彼らの言い分は昔々に発表された理論に基づいたものでしかない。」と科学者たちから批判されていることを認めています。
また「放射能浄化Abe-Effect協議会 」という団体までつくり、元職員と「ナノ銀」除染活動を支援している元参院議員の平野貞夫氏は「LENRという技術は、四半世紀前に『常温核融合』として話題になったが、再現性が悪く、主流学界から似非科学と烙印を押されていた」(「戦後政治の叡智」平野貞夫 イースト新書 2014年)と述べています。
さらに元職員とともに「ナノ銀の放射能低減効果」を主張する元東北大学大学院教授・工学博士の岩崎信氏は平野氏らが主催した勉強会で、つぎのように講演し、「ナノ銀」が常識に反していると語っています。
「化学というのは、全部(周りの軌道)電子(の話)なのです。その(原子核と電子)間に、殆どやり取りが無い事が常識なのです。ですから、何で包(くる)もうが、ナノ銀で包もうと、そんなものに係らない。実はそんな事は(物理学の)教科書に書いてありませんが、いろいろ(その分野で)仕事していると、その様な『常識』が生まれて参ります」(平成24年8月9日 放射能浄化勉強会での講演)
岩崎氏は「物理学の教科書に書いてありません」といいますが、それは基礎中の基礎であるからに他なりません。しかも、実際には高校物理の教科書や参考書にも書かれています。
私の書棚にある本からいくつかを紹介しましょう。
◆夢にすぎない
「誤解1 科学が進歩すれば、いずれ放射能を無害化する『夢の薬品』ができる?ーー
ある原子が『放射能をもつかどうか』は、原子の中心にある原子核が『何個の陽子と何個の中性子で構成されているか』という『核内事情』で決まります。薬品が起こす化学反応は、原子核の外の結びつきに影響を及ぼすだけで、『核内事情』にはまったく影響を与えることができません。だから、これは夢に過ぎません」
(「原発事故の理科・社会」安斉育郎 新日本出版社2012年)
◆人工的に変換できない
「普通の化学的な反応をいくら繰り返しても、元素を人工的に変換することなどできるはずがありません。元素を変えるためには、原子核の核子構成、特に陽子数を変えなければなりませんが、化学反応というのは、原子核にまで作用を及ぼすものではなく、核外の軌道電子、しかもかなり外側の軌道に近いやりとりにかかわるものだからです。」
「放射性核種の放射能が減衰していくスピードは、温度や圧力などの条件にまったく支配されずに、核種に特有なものです。」
(絵とき 放射線のやさしい知識」飯田博美・安斉育郎 オーム社1984年)
◆叩いてもこわしてもだめ
「放射性物質(放射性元素)からは、放射線が絶えず出ています。これを叩いて壊したり、あるいは加熱や冷却をしても、放射線の放出は止みません」
(「Q&A 放射性物理 改訂新版」大塚徳勝・西谷源展 共立出版 2007年 )
◆化学反応の100万倍のエネルギー
「ここで強調したいことは化学反応というものはすべて核の周りを覆っている電子の働きによるもので、化学反応が起きている最中も化学反応が終わった後でも、それぞれの核は元の状態を保ち、核自体には何の変化も起きないということである」
「核エネルギーは電気エネルギーの100万倍も大きいのである。したがって電気力によって核を壊すなどとは、できる相談ではない。すべての化学反応は核の周りを回る電子たちの作用によって起こるのであり、したがってすべての化学反応がもたらすエネルギーは電気エネルギーである。つまり核分裂に代表される核反応がもたらすエネルギーは化学反応がもたらすエネルギーの100万倍となる」
(「放射性物質の正体」 山田克哉 PHP新書 2012年)
◆野球ボールと電車くらい違う
「化学反応は原子核の中には影響しないんだよ。原子核の中で何かを起こすためには化学反応の100万倍のエネルギーが必要になる」「たとえば、野球のボールが飛んでくるのと、それと同じ速さで電車が飛んでくるのの違いくらい」
(「いちから聞きたい放射線のほんとう」 菊池誠・小峰公子 筑摩書房 2014年)
◆化学反応では原子核はびくともしない
「化学反応でも原子は壊れるだろうか。実はその心配は無用である。化学反応は原子核の周りの電子が他の原子と相互作用をした結果起こる。これに対し、原子核の崩壊現象は不安定な原子核から原子核の構成要素の一部が解放されるような現象である。原子核内の結合力は化学的な結合力の100万倍も強いので、原子核の変換に伴って出入りするエネルギーは、化学反応のエネルギーの100万倍も大きい。だから化学反応では原子核はびくともしない」
(「新しい高校物理の教科書」 山本明利・左巻健男 講談社ブルーバックス 2006年)
元職員は、ナノ銀からどうやって100万倍のエネルギーを取り出したというのでしょうか? 次回は彼の「実験結果」を具体的に見ていきたいと思います。
つづく
この学習会は終了しました。ご参加、ご協力いただきありがとうございました。
板橋区「ホタル館問題」報告学習会日時 2015年11月28日(土) 18時30分から場所 板橋区立グリーンホール 402会議室報告者 ●区議会議員 松崎いたる ●弁護士 阿部哲二(城北法律事務所)主催 板橋区ホタル生態環境館の真相解明を求める会
●25年間におよぶ累代飼育は事実だったのか?●年間約3000万円、総計10億円以上の税金支出は適切だったか?●「ナノ銀ニセ除染」とは何か? ●裁判のゆくえは?
多くの区民に親しまれてきた板橋区ホタル生態環境館が2015年3月に閉館になりました。
同館では、ホタル成虫を外部から持ちこんでいたという飼育偽装、年間1400万円の事業委託費が使途不明に、区長・区議会に無断で他団体と契約を結び特定業者に便宜供与、「ナノ銀除染」というニセ科学の発信と流布……など、数々の不正・疑惑が指摘されています。
そして、懲戒免職された元飼育担当職員が区長と区議会議員を裁判に訴える事態にまでなっています。
ホタル館で何があったのか?――疑惑追及の先頭に立ってきた区議と弁護士が報告します。
ここに多額の税金が! ホタル館での疑問、疑惑の数々……。
◆見つかった幼虫がたった2匹
(2014年1月27日)
「毎年2万匹が羽化」と報告されていたが、板橋区環境課が2014年1月27日の生息数調査で、実際に発見されたホタル幼虫の数はゲンジボタル2匹だけで、発見漏れを含めて推計してもわずか23匹だけだった。
◆ DNA調査で「福島県大熊町由来」ではなかったことが判明。
これまでホタル館のゲンジボタルは、平成元年に福島県大熊町で採取した300個の卵から、他の地域のホタル遺伝子を交雑させることなく累代飼育をしてきたと元飼育担当職員は報告してきたが、板橋区がホタル館内で発見されたホタルのDNA調査をおこなった結果、ゲンジボタルは西日本産であることが判明。「大熊町由来」とする根拠は否定されている。
◆初年度の異常に高い羽化率
ホタルが卵から成虫になるまでの割合=羽化率は通常1%前後とであることは定説となっている。
しかし、旧・区立温室植物園の一画でホタル飼育事業が始まった平成元年には、ゲンジの卵300個から150匹が羽化し、ヘイケも卵700個から550匹が羽化したと、元職員は報告している(区環境課『報告書』11ページ参照)。ここから算定される卵からの羽化率はゲンジ50%、ヘイケ78%となり、極めて常識外れな値になってしまい実際の数であると信用することはできない。
◆ホタルの「GPS」と「威嚇光」??
元職員の代理人弁護士がマスコミに送付した「見解」では、「持ち込んだホタルの光は威嚇光や警戒光になり、発光パターンが不規則になる。これは肉眼でも分かる」と主張し、区環境課『報告書』が結論付けたホタル館外部からの成虫の持ち込みを否定している。
元職員は著書『ホタルよ福島にふたたび』の中で「(別の場所から)無理やり連れてこられたホタルさんにしてみれば、『ここは自分の育った場所じゃないぞ』という気持ちになります。すると威嚇光を発するのです。彼らは体内にGPS機能を内蔵しているのだと思いますね」(210ページ)という。
だがこれまでも区役所やエコポリス館での出張公開などホタル館から移動され、別の場所で公開されたことが何度もあったが、誰も「威嚇光」を目撃していない。
この矛盾について、元職員が技術指導として深くかかわっている「ルシオラ」社の社長は移動させる前に秘密の技術で「磁場」を調整していたと説明。2015年7月3日のフェイスブックでは「尚、この磁場調整については特別の場合だけなので、悪用されることを懸念し、公開はされていません」という。
◆「20万匹というのはウソ」
元職員は2014年9月5日放送のTBSテレビのニュース番組「Nスタ」において、記者から、1995(平成7)年度に約20万匹を羽化させたという報告について問われ、「20万匹というのはウソです」と虚偽報告をしていたことを自ら告白している。
元職員はこの虚偽報告について「当時、板橋区として『数を拡大して言え』というのがあったんです」と、上司の指示による予算獲得のためのウソの報告だったと弁明している。
情報や科学に対するリテラシーを確立させ、行政や教育にはびこるニセ科学への啓発と対策を求めて、以下の質問をしました。(2015年9月16日)
◆環境を悪化させる「EM菌」ーー松崎の質問 ニセ科学に対しても警戒と対策を急ぐべきです。その一つがEM菌です。
EMとは、有用微生物群の略称で商品名にもなっていますが、1980年代の初めに土壌改良を目的とした微生物資材として開発されたものでした。
ところがその後土壌だけでなく、河川や下水を浄化する、飲めば健康になる、自動車のラジエーターに入れれば燃費が向上するなど、際限ない効果、万能性が喧伝されています。原発事故後は「EM菌は放射能を分解する」とまで宣伝されるようになっています。
乳酸菌や酵母菌が含まれていれば、それ相応の効果があっても不思議ではありませんが、万能性を裏付ける科学的根拠はありません。しかし見過ごせないのは、EM菌が様々な市民団体や自治体によって、環境浄化の名のもとに推奨される事態が広がっていることです。
また、環境学習、体験学習として、EM菌を使った授業や学校行事も全国で行われています。
こうした動きに対し、たとえば福島県は、「高濃度の有機物が含まれる微生物資材を河川や湖沼に投入すれば汚濁源となる」という見解を出しています。広島県でも、水質浄化に効果が認められないとして、県としてはEMの利用を推進しないことに決めています。
板橋区でも放置せずに対策を講じるべきです。EM菌は全国の自治体、学校に広がり続けていますが、環境浄化どころかかえって環境に負荷を与え、汚染の原因ともなります。EM菌に対する板橋区の評価をお聞きします。
◆授業で「EM菌」は扱わないーー教育長の答弁
学校における EM菌を取り扱った授業についてのご質問ですが、板橋区では、区立幼稚園、小中学校において、板橋区保幼小中一貫カリキュラムに基づき、環境教育の保育及び授業を行っています。
保幼小中一貫カリキュラムに基づいた区独自の環境教育テキスト「未来へ」の中では、EM菌を取り上げた内容は取り扱っていません。
現在、テキスト「未来へ」の改訂を進めていますが、EM菌については取り扱うことは考えておりません。
◆偏見を助長する「親学」――松崎の質問
「親学」も放置できないニセ科学です。
「親学」は、「子どもは3歳になるまで母親が育てないと発達障害になる」とか、「自閉症は親の育て方が悪いため後天的に発症する」、など科学的根拠のない俗説を振りまいているからです。
これは板橋区でも無縁ではありません。親学には、「親学」とは名乗らない、いくつもの亜流が存在しますが、そのひとつの団体が、板橋区にパンフを寄贈し、区立保育園を通じて保護者に配布されるという出来事もありました。
そのパンフには「保育園に預けられて子どもは悲しんでいる」という内容が書かれていました。
また、区議会議員に「アンナチュラル―小説・自閉症」という単行本が無償配布されるということもありました。この本はフィクションとはいえ、自閉障害が後天性で親に原因があるという間違った認識を広げるものとして看過できません。
これら「親学」などと名前をつけ、科学・学問を装った俗説は、障害や病気に対する差別、偏見を助長するとともに、子育てにたいして親、とくに母親に過大な責任を押し付け、孤立化させるものです。
親学は子育てや行政から追放すべきものです。「親学」に対する区の評価をお聞きします。
◆「発達障害は後天性」にまったく科学的根拠はないーー区長の答弁
親学に対する区の評価についてのご質問です。
親学とは、親になるために学んでほしいことを伝える考え方であると認識をしておりますが、親学の考え方の是非について、区が評価をする立場にないと考えます。
当然ながら、子どもは3歳になるまで母親が育てないと発達障がいになるとか、自閉症は親の育て方が悪いため後天性に発症することなど、全く科学的根拠のないことであると考えます。
◆「江戸しぐさ」ウソの歴史を教えるのは有害ーー松崎の質問
さらに「江戸しぐさ」も歴史的事実にもとづかない一種のニセ科学、ニセの歴史であり、教育から排除すべきです。
江戸しぐさとは、江戸時代に江戸の商人たちが生み出した思いやりや譲り合いのマナーだと説明されており、地下鉄などの公共マナーのポスターやテレビCMにもなり、文科省発行の「私たちの道徳 小学校5.6年」にもとりあげられています。
しかし、江戸しぐさが実在したことを示す文書、絵画、言い伝えはいっさい存在しません。そればかりか、歴史的事実に反することが「江戸しぐさ」だとされています。
たとえば「傘かしげ」は「私たちの道徳」では「傘をさした人同士がすれ違うときのしぐさで、相手をぬらさないように、たがいの傘をかたむける」と説明されています。しかし、江戸時代の江戸において、和傘は超高級なぜいたく品で、一般の町人が日常の雨具に使用できるようなものではありませんでした。雨具には美濃や頭にかぶる笠が使用されていたことが分かっています。 仮に数が少ないとはいえ和傘を使用した場合でも、重い和傘を傾けるのではなく、すぼませるほうがずっと合理的で、この情景は当時の浮世絵にも描かれています。
「こぶしうかせ」はさらにありえません。「私たちの道徳」は「複数の人が一緒にすわるとき、一人でも多くの人が座れるように、みんなが少しずつ腰を上げて、場所をつくる」しぐさだというのですが、江戸時代には、電車の座席のようなみんなで座る長椅子やベンチは、そもそも存在しないのです。
「私たちの道徳」の挿絵は、茶店の縁台のようなものが描かれていますが、縁台は座席とテーブルを兼ねたもので、この挿絵のように詰めて座れば、出されたお茶や団子を置く場所がなくなってしまい、現実的におこりえません。
江戸しぐさは、江戸時代にはなく、1980年代に創作された作り話です。道徳を教えるのにウソの歴史を使う必要はありません。例え話として使うのなら、童話や昔話のように、空想と現実を区別して子どもたちに伝えるべきです。
歴史的根拠のないウソの歴史を学校の授業で子どもたちに教えるのは有害です。にもかかわらず、なぜいまだに江戸しぐさを教え続けるのでしょうか? それが正しいというのであれば、それを裏付ける歴史的事実、科学的根拠を示すべきです。
教育委員会が学校で江戸しぐさを教える根拠をお示しください。
◆とくに問題はないーー教育長の答弁 「江戸しぐさ」を取り上げた授業についてのご質問ですが、区立小中学校においては、学習指導要領に基づき、児童生徒の実態に応じて道徳教育の年間指導計画を作成しています。
「江戸しぐさ」については、文部科学省が発行をしている道徳教育教材集「わたしたちの道徳 小学校第5、6学年」で、主として、他の人とのかかわりに関することについて考える題材として取り上げられています。
各学校では、学年の発達段階に応じて道徳の時間や総合的な学習の時間などの学習で「江戸しぐさ」を取り上げており、
礼儀やおもてなしなどにかかわる学習において取り扱う上では、特に問題はないと考えています。
◆ニセ科学を教育に持ち込ませるなーー松崎の質問
ナノ銀除染、EM菌、親学、江戸しぐさに代表されるようなニセ科学を教育に持ち込ませないようにすべきです。
そのためには教育委員会とともに、それぞれの学校や、一人一人の教職員が意識的な情報リテラシーに取り組むことが必要です。
長崎大学や文教大学では、教職員課程で学ぶ学生向けや、一般教養科目として「疑似科学とのつきあい方」というカリキュラムを組んでいます。
こうした先進事例を研究し、板橋区でもニセ科学を教育に持ち込ませないように特別の注意をはらっていただきたいが、いかがですか?
◆「水から伝言」を反省。引き続き注意するーー教育長の答弁
教育にニセ科学を持ち込まないようにすることについてのご質問ですが、長崎大学や文教大学では、水に対して「ありがとう」などのよい言葉をかけるときれいな結晶になるという、いわゆる「水からの伝言」などの疑似科学についての研究事例があります。区立小中学校の学習では、学習指導要領に基づき行われており、校長が週ごとの指導計画で内容を確認した上で、教員は授業を実施しています。教育委員会は、学校が各教科等の指導において適切な教材を選択するよう、引き続き注意を促していくとともに、主体的・協働的な学習を通じて、思考力・判断力・表現力等を一層伸ばしていくための授業を推進するよう指導してまいります。
◆教員に考える時間の保障をーー松崎の質問
ニセ科学は教職員の忙しさに付け込んできます。たとえば、容器に「ありがとう」と書いたラベルを張ったボトルの水を凍らせるときれいな結晶になり、「ばかやろう」と書いたラベルを張ったボトルの水を凍らせると汚い結晶の氷しかできないという、いわゆる「水からの伝言」というニセ科学では、インターネットを通じて、これを授業でおしえる「指導案」が配られました。EM菌でも同様なことがおきています。
多忙のなかで指導案を考えるゆとりのない先生には、こうした出来あいの指導案は大きな誘惑になります。教員に考える時間を保障することはたいへん大事です。
とくに小学校において専科教員を増やすなど、担任教員の負担を減らし、研修時間を確保することを求めるものですが、教育長の見解を求めます。
◆担任教員の負担を減らし、研修時間などを確保したいーー教育長の答弁
教員の研修時間などを確保する取り組みについてのご質問ですが、小学校において、担任教員の負担を減らし研修時間などを確保していくことは重要課題の1つと考えています。しかし、現状では、区独自に専科教員を増やすことは制度上困難です。
そこで、各学校が今年度から稼働している校務支援システムを有効活用するとともに、全教職員がチームとして校務を効果的に分担したり、学習指導講師を一層活用したりすることで担任教員の負担を減らし、研修時間などを確保してまいります。
いただきました教育に関する質問の答弁につきましては、以上でございます。
2015年9月16日の板橋区議会本会議で、ホタル生態環境館を舞台に繰り広げられた数々のニセ科学について、坂本健区長に反省を求めて質問をしました。質問と答弁を紹介します。
◆松崎いたる
行政にはびこるニセ科学への啓発と対策を
つぎに情報や科学に対するリテラシーを確立させ、行政や教育にはびこるニセ科学への啓発と対策を求めるものです。
この問題では、板橋区ホタル生態環境館での、ホタル成虫の持ち込みなど、一連の不正や不祥事を、痛烈な教訓とすべきです。
〇「クロマルハナバチのフェロモンの抗菌効果」
ホタル館では、飼育担当元職員によって「クロマルハナバチのフェロモンには抗菌効果があり、ホタルと共生関係にある」とか、「ホタルは磁気を感じとり、東西方向に流れる川にしか生息せず、南北方向にしか上陸しない」とか、「ナノ銀溶液をかけただけで放射能を分解し、除染できる」などなど、数々の珍説・奇説が流布され続けてきました。
これらは従来の確立された科学的知見に照らして検証すれば、科学には値しないニセ科学であることは、すぐにわかるものばかりです。
生物のフェロモンは同種の別個体に、その受容体があって初めて効果があらわれるものです。偶然、別種の生物である細菌に何らかの効果を発現すると仮定したとしても、ごくごく微量のフェロモンを抽出し、その効果や因果関係を実証することは研究施設でもないホタル館では不可能です。
〇「磁気を感じとるホタル」
ホタルと磁気との関係についても、客観的な研究は何一つありません。
元職員がかかわったホタル再生事業では、磁場を調整するとして地中に磁石を埋めたという事例がありますが、その分、工事費用が膨れ上がっただけです。
ホタルが磁場を感じるということが、事実ではないことは、板橋区内でも場所を移動してのホタルの出張公開が行なわれていたこと、福島県いわき市で元職員がホタル幼虫を放流した湯本川は南北方向に流れる川で、南北には上陸できる場所がないことからも明らかです。
〇「ナノ銀による放射能除染」
「ナノ銀で放射能除染」なるものは、「板橋区ホタル館で開発」などのふれこみで、1セット4000円で「ナノ銀汚染水簡易濾過セット」なる商品が販売されていたり、原発事故被害地である大熊町で町長や議長の目の前で「放射能低減実験」なるものが披露されていました。挙句の果てには国会議員まで巻き込み、参議院本会議で政府に対し、ナノ銀による除染事業まで提案される事態にまでなっています。
これは、国の除染事業、原発事故汚染水対策に混乱をもたらすものにほかなりません。
ナノ銀による放射能低減には、まったく科学的根拠はまったくありません。文科省の要請のもと、日本原子力研究開発機構で試験した結果、なんの効果もなかったことが判明しています。
そもそも、いくらナノサイズにまで銀を細かくしたところで、ケミカル=化学反応で原子核反応は起こせません。これは物理の基礎の一つである自然法則です。
これらホタル館を拠点に拡げられてきたニセ科学に対して、板橋区は無関心や黙認、あるいは盲信という態度をとり続けてきました。
板橋区の施設であるホタル館で「開発・発明された」と宣伝されてきたにもかかわらず、最小限の検証すら怠ってきたという反省はあるのでしょうか? 区長の認識を伺います。
◆坂本区長
科学的に裏付ける「論文」がない
次は、クロマルハナバチのフェロモンの効果等について、検証を怠ってきたことについてのご質問であります。
元飼育担当職員に対し、クロマルハナバチが出すフェロモンが、土を抗菌化するということを科学的に裏づける論文などの確認を求めましたが、提出がされてこなかった状況であります。また、クロマルハナバチのフェロモン以外にもさまざまな主張をしているようですが、検証するには、検証できる機関の有無、そして時間と経費など課題がありまして、難しいと考えております。
※ 区長答弁について、解説を加えると、「クロマルハナバチのフェロモン」については「科学的根拠が確認できない」という見解を明らかにしたものです。
「ホタルと磁気」「ナノ銀除染」については「検証は難しい」と態度表明を棚上げした答弁です。しかし、「検証が難しい」ということは、「ナノ銀」に関する研究も難しいということであり、研究結果も検証されていないことが明らかになった答弁でした。
「ホタルの闇」を久しぶりに再開します。
この間、このブログで紹介してきたように私が板橋区ホタル生態環境館(今年3月をもって閉館)の実態について、さまざまな疑惑を指摘してきたことに対して、ホタル館の元飼育担当職員(昨年3月に板橋区から懲戒免職。理学博士、ホタル博士)が『名誉棄損』だとして、私を提訴するということありました。
そうした中で、元職員側が提示してきた資料やもともと私が収集してきたホタル館関連の記録を見直していくなかで、新たに重大な問題に気が付きました。
その一つが、ホタル館設置のきっかけとなった旧・区立温室植物園解体時の『出来事』です。
温室植物園の解体時の矛盾
元職員の著書「ホタルよ 福島にふたたび」に、ホタル飼育事業初年度(1989年 平成元年)から4年間ホタルの飼育場所であった区立温室植物園の解体時の出来事が書かれています。
「(1992年7月7日夜)、園内に入り、待ち合わせ場所の冷房室のほうへと向かった私の目に飛び込んできたのはガレキの山でした。冷房室が跡形もなく壊されていたのです。傍らには地面を掘り起こすのに使ったと思われるブルドーザーが1台止まっている。そのとき、目の前のガレキの中から青白い光が一筋、舞い上がりました。」
ガレキからホタルが光りながら舞い上がるなど、感傷を呼ぶために過剰な誇張表現でしょうが、そもそも事実ではありえません。
なぜなら、重機を使った解体工事が行なわれている現場に夜間、待ち合わせをした民間人とともに現場に入ったことになっていますが、そのようなことはほとんど不可能だかです(可能性があるとすれば「不法侵入」ということになる)。
当時から施設の解体現場には仮囲いを施して、工事関係者以外は立ち入れないようにすることが区の安全管理上の仕様書に記載されています。民間人はもちろん区職員であっても、工事関係者以外は入ることはできません。しかも夜間ともなれば、なおのことで、立ち入れるはずがありません。
また、温室植物園が6月いっぱいで閉館になり、7月7日の時点ではまだ建物は残っていた場合も考えられます。(同年10月22日付の朝日新聞には建物の写真が掲載されている)。それならば、移転作業としてそこで働いていた元職員が敷地や建物内に入ることは当然あったでしょう。
しかしそれでは、「ガレキの山」「地面を掘り起こすのに使ったと思われるブルドーザー」という記述と矛盾が生じます。
どちらにせよ、「目の前のガレキの中から青白い光が一筋、舞い上がりました」ということは起こりえないのです。
ところが、このホタルが温室植物園に取り残され「20万匹が死ぬ」という話は、新聞でも報道されて、区議会でも区長の「多数のホタルを死なせた責任」が追及されました。
これらの報道や議会質問の情報源はすべて元職員とその親しい仲間の人物の証言によるものです。
「一部の方が言われているような,ホタルを見殺しにするというような報道がありますけれども,これは全く事実無根でありまし,私も大変迷惑を受けておりまして,この機会に,このことについては,事実無根であるということを明らかにしておきたいと思います」
と述べて、 「ホタルを見殺しにした」とした報道自体を事実無根と否定しています。(1992年9月22日)
繰り返される陰謀論
さらに元職員(ホタル博士)は、この温室植物園の閉館・解体にかかわって『ホタルよ、福島にふたたび』のなかで、ある〝陰謀〟があったと主張しています。
「とんでもない計画の全貌を聞くことになったのは、1992年の1月でした。私の耳に「『温室植物園』が6月いっぱいで閉鎖される」との知らせが届いたのです。そして、私は区内にある『赤塚植物園』に異動になると…。だんだん裏事情がわかってきました。東京都から出向していた当時の課長が、植物園内につくった生態系空間の規模を広げて、『マレーシアの熱帯を再現したい』と言い出したのです。密かに準備を進め、建設会社とも話をつけていた。後に報道された記事によると、どうやら建設会社との癒着関係にあったらしいですね。『マレーシア館』を新設するには、ホタルも阿部も邪魔だった。そこで植物園を閉鎖して、私を異動させようと考えたわけです」(100~101ページ)。
「後に報道された記事」とはどの記事なのか?さだかではありませんが、「建設会社との癒着関係」なるスキャンダルが板橋区政や区議会で問題になったことはありません。職員の異動は自治体職場では通常当然のようにあることで、なんら不自然なことではありません。
『陰謀論』にもとづく主張はこの時だけではありません。
これとよく似た話を最近も繰り返しています。
記事のなかでA氏(元職員のこと)は「自分は利権政治の犠牲者だ」として、つぎのような話を披歴しています。
「ホタル生態環境館を取り壊し、跡地に介護老人ホームの建設を目論む会社が板橋区内にある。その会社社長が、区議会議員Kのスポンサーで、そのK議員の手下にM議員がいる。そしてM議員が所属する政党の系列の病院が、介護老人ホームを運営したがっている。跡地に絡む利権を獲得したいK議員とM議員が、私を悪者に仕立て上げて、ホタル生態環境館を廃止に追い込もうと、動いた」
この記事は取材した記者自身が「にわかには信じがたい説明」と評するほど、事実無根の話です。
M議員とは私(松﨑)のことで、区議会議員Kとは実在の自民党現職区議のことであることは、わかるのですが、共産党の私が自民党議員の「手下」になり、結託して「利権を獲得」などというありもしない話をでっち上げ、新聞記者に記事を書かせるなど、それこそ名誉棄損にあたるような行為です。
それにしても、元職員が著書に書いた1992年の「裏事情」と、2015年に記者に話した「利権政治」はそっくりで、【跡地に新施設を建設する利権】のために、【役人や議員が建設会社と癒着】し、【既存の施設の閉鎖】をねらい、そこの【職員を追い出す】という話の骨格はまったく同じです。
1つでもありそうにない陰謀が2度もおこなわれるというのは、どれほどの『奇跡』でしょうか?
ホタル館の実態=真実を解明するには、なぜ〝陰謀論〟が繰り返されるのか、という問題もいっしょに考えるべきだと思います。

4月26日投開票された板橋区議会議員選挙(定数46)で、日本共産党の松崎いたる候補は2923票を得て35位で4期目の当選を果たしました。
日本共産党は9人全員が当選し、前回より1議席増やしました。
自民党は改選時の15議席を維持しましたが、現職と新人の2人が落選しました。
公明党は現職が1人落選し、議席も12から11に後退しました。
区長選挙では、日本共産党推薦の革新無所属・佐々木健市氏が、4万4918票を獲得し健闘しましたが及びませんでした。当選は現職の坂本健氏でした。
●公約実現にがんばります
「自民、公明の有力現職が落選したことに象徴されるとおりの大激戦の区議選でした。そのなかで4選を果たさせていただきました。区民の皆さまのご期待に応えるため、反戦・平和、消費増税ストップ、介護保険・国保の負担軽減、コミュニティバス運行、駅のエレベーター設置など、公約実現に全力を尽くします」
◆松崎いたる
教育委員会では、2013年8月に体罰ゼロ宣言を行いまいしたが、この宣言後も教員による暴力は続発しています。
体罰ゼロ宣言後に発生した暴力事件は何件ですか。また、宣言後も続発する原因をどう考えていますか。
◆教育長答弁
体罰ゼロ宣言を行った9月以降、2013年度中に区立学校で発生をした体罰は7件です。体罰が続発する原因は、児童・生徒の言動や態度に対して、自分の感情を抑えられないという教師の指導力不足や「これくらいは体罰ではないだろう」という教師自身の認識の甘さなど、意識の問題が主要な要因です。
◆松崎いたる
いわゆる体罰が生じる理由は、さまざまな立場から知恵を集めて究明すべきものですが、教員自身の意識改革が必要であることは間違いないことです。
そもそも昔ながらの体罰などという言葉を使っていること自体が、意識改革に逆行しています。体罰とは、子どもの悪さに対する心身への罰という意味であり、指導法のひとつなどと、暴力を合理化する方便にもなっています。社会でも、家庭でも、学校でも暴力は許されません。教員による暴力だけが「体罰」などと言いわけが許されること自体が不合理です。
「体罰」の呼称をやめ、教員による「暴力」に呼称を変えることから意識改革を始めるべきと思いますが、いかがですか。
◆教育長答弁
「体罰」は学校教育法第11条に規定されており、呼称を変更できませんが、教育委員会は、体罰は教員による暴力行為だと認識しています。研修会などの場で繰り返し、体罰は暴力行為であり、法に定められた許されない行為であることを伝え、教員の意識改革を進めていきます。
◆松崎いたる
子ども同士のいじめを含め、学校内での暴力問題を上司からの指示・命令で抑えるのではなく、教員同士が話し合い、知恵を出し合い、解決できるようにすべきです。そのためには、具体的には、自由に発言・議論できる職員会議を重視すべきと思いますが、いかがですか。
◆教育長答弁
学校でのいじめや暴力等の生活指導及び体罰問題は、個別のケース対応が必要となる場合が多いため、組織として計画的に対応していくことが大切です。これらの問題を解決するためには、個々の教職員の意識を高め、組織風土を改善していくことが必要です。そのためには、職員会議に限らず、教職員相互があらゆる機会を捉え、話し合い等を行い、学校全体で共通意識を持ち、組織的に対応することが重要だと考えています。
板橋区議会では自民党の右傾化が凄まじい。その一例が、2014年6月6日の本会議における「『教育勅語』を学校の道徳教材にせよ」という自民党区議の質問です。 私は2014年10月28日の決算調査特別委員会でこの問題発言をとりあげ、教育勅語の無効を確認する質疑を行いました。
2014年10月28日の決算調査特別委員会
◯松崎いたる
私は教育の問題というところから始めたいと思います。中でも、道徳の教育の問題を取り上げたいと思いますが、道徳教育の中身について云々かんぬんする予定はございません。私がきょうやりたいのは、この道徳教育をする上での前提の問題となります。
まず、私が指摘をしたいのは、6月6日の本会議において、区議会議員のほうから、道徳教育において、教育勅語の、この現代語訳を導入したらどうかという提案がございました。これ自体、政治家としては批判をしたいところなんですが、きょう、私が取り上げたいのは、それに対する教育長の答弁についてでございます。
教育長は、このように答弁をいたしました。
「教育勅語には、親への孝行や兄弟愛などの友愛、学問の大切さ、遵法精神等が示されておりますが、これらは現在、学校での道徳教育で教えるべき価値項目として既に学習指導要領に位置づけられているところでございます」
という答弁でございました。
これをこのまま聞きますと、あたかも教育勅語が現在の学習指導要領に通じているのではないか、そういうふうにも、受け取られかねない、そういう答弁だったというふうにも、一瞬、思っています。
ですから、きょうはこの答弁について、真意をお聞きをしたいというふうに思います。
まず、ここで教育長は、親孝行や兄弟愛、学問することの大切さ、遵法精神などを挙げておりますが、これらを言うときに、教育勅語というものを引き合いに出さなければならないのかということです。これらの事柄が、教育勅語で初めて言い出されたものであるならば、その出典として言及をせねばならないということはあるかと思いますが、そんなことはないと思うんですよね。
こうした道徳項目に触れるとき、教育勅語を引き合いに出さなければならないのかどうか。教育勅語が初めてこれを言ったのかどうか、まずその認識についてお答えください。
◯教育委員会事務局次長
道徳教育における教育勅語との関係性についての考え方でございます。
教育勅語は、明治23年10月30日に、当時の日本の教育方針を示すために発布されたものでございます。昭和21年10月9日に教育勅語を教育の根本規範とすることが廃止をされておりまして、現在、その効力はないというふうに考えてございます。
したがって、道徳教育の価値項目とすることはできないというふうに考えてございます。
◯松崎いたる
私、聞いたのは、こうした親孝行などを説明するときに、教育勅語を引き合いに出さねばならないのかどうかということなんですけど、もう一度お聞きします。
◯教育委員会事務局次長
失礼いたしました。
今、申し上げました道徳の価値項目を教育するに当たりまして、教育勅語について引き合いに出す必要性はございません。
◯松崎いたる
じゃ、念のために伺いますけど、この教育勅語について、冒頭、教育長が触れられたような項目については、当たり前のことだから、いいことが書いてあるじゃないかというような意見というのは、まだ根強くあるわけです。
しかし、教育勅語全体を通して見ますと、それらが決して親孝行なら親のため、兄弟愛なら兄弟のため、学問のためなら自分のためというふうに書いてあるわけではない、そこが大きな問題だと思います。
お聞きをしますが、教育勅語の中段の部分に、「一旦緩急アレバ義勇公ニ奉ジ、以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スベシ」というところがありますが、この意味についてどんな認識を持っておられますか。
◯教育委員会事務局次長
教育勅語のご指摘の部分の意味についてでございます。
昭和2年に日本書籍株式会社から出版されております文部省検査済教科書尋常小学校修身書巻六には、次のように記載をされてございます。
「常に皇室典範・大日本帝国憲法を重んじ、其の他の法令を守り、もし国に事変が起こったら、勇気を奮い、一身をささげて、君国のために尽くさなければなりません。このようにして、天地と共に窮ない皇位の御盛運をお助け申し上げるのが、我等の務である」
というふうに記述をされておりますので、そのような意味であるというふうに理解をしてございます。
◯松崎いたる
昭和2年の解釈ですけれど、今から歴史的経緯を振り返るということも大切だと思うんですよね。
ただ、今おっしゃったように、昭和2年での解釈でも、結局のところ、一旦戦争などが起これば、「義勇公に奉し」と、勇気を奮って天皇のために命を捧げなさい、国家のために命を捧げなさいというのが教育勅語の大筋であったということが言えるかと思うんです。
ですから、幾ら親孝行だ、体を大事にしろ、学問も大切だって言っても、結局のところ、それらは全て天皇のため、国家のために捧げなさいというのが教育勅語であったというのが、今の解説から見てもね、言えるかと思うんです。
次にお伺いしますが、先ほど、教育勅語は廃止をされたというような答弁もありましたが、昭和23年になってからも、衆議院では教育勅語の排除決議、同じく昭和23年の同日に、参議院では教育勅語の失効確認の決議が上げられています。それぞれ、どんな内容なのか、また教育委員会は、これらの排除決議、失効確認に対する立場ですね、これらの決議を尊重する立場にあるのかどうかお答えください。
◯教育委員会事務局次長
教育勅語に関する国会の決議についてのご質問でございます。
昭和23年6月19日に、衆議院におきまして、教育勅語排除に関する決議、同日に、参議院におきまして、教育勅語等の失効確認に関する決議がなされてございます。この決議によりまして、教育勅語は既に廃止をされ、その効力は失われているものを確認したものだというふうに認識をしてございます。
教育勅語廃止後、昭和22年に教育基本法が公布をされまして、平成18年に改正されてございますが、今日の教育の基本方針は、教育基本法第1条教育の目的、第2条の教育の目標として示されているとおりであると認識してございます。
教育委員会としては、先ほどの昭和23年の決議を理解した上で、現行の教育基本法や学習指導要領に基づき、学校教育を進めていく考えでございます。
◯松崎いたる
今のご答弁、確認をさせていただきたいと思いますが、この衆議院のほうの排除決議には、
この教育勅語が今日もなお、国民道徳の指導原理としての性格を持続しているがごとく誤解されるのは、従来の行政上の措置が不十分であったがためである
と言いまして、
しかもこれらの詔勅の根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基づいている事実が明らかに基本的人権を損ない、かつ国際信義に対して疑点を残すものである
と指摘をしているわけです。
この教育勅語が続いているかのような誤解をされるのも避けなければならない。国際社会から、教育勅語が今なお息づいているかのような誤解を受けることは避けなければならないというのが、この衆議院の排除決議の中身なんですけれども、ここから照らして、私がさきに指摘しました教育長の6月6日の答弁、これは不適切であったのではありませんか。
教育勅語の中身が学習指導要領に位置づけられているというように解釈されるような答弁は、今の立場からすると違っているのではないかと思うんですけど、この点、確認をさせてください。
◯教育委員会事務局次長
先ほど申し上げましたように、教育勅語については、その効力は既に失われているということを前提といたしましてお話をさせていただきますが、教育勅語に書かれておりますことをご説明するのではなく、価値項目、あるいは徳目等について、道徳の内容についてご質問がございましたので、それについてご答弁を申し上げたということで、教育勅語自体を保持する、あるいは維持するといった考え方ではなかったというふうに認識をしてございます。
◯松崎いたる
きょうの質疑の中でね、教育勅語を踏まえていないとか、あるいは教育勅語を引き合いに出さなくても説明ができるというご答弁もありましたので、私は今後とも、教育勅語と今の道徳教育、学習指導要領が連なっているかのような誤解を受けるような、そういう発言は慎んでほしいし、また、実際の教育実践の中でも、そのようなことのないように行っていただきたいというふうに思います。
それで、じゃ、現在の道徳教育についてお伺いをいたします。
教育勅語の一番悪いところは、国家から、あるいは天皇から、そういう権威でもって、上から子どもたちに押しつけてきたというところが、基本的人権にももとる最悪のものであったというのが今日の歴史的評価だと思うんですけれども、そのことを二度と繰り返してはならないと思います。
道徳教育は、子どもたち自身が主体的に考えていくことが大事であって、上からこうしなさい、ああしなさいと植えつけるようなものではないというふうに思うんですよね。
そこでお伺いしたいんですが、この道徳教育については、この道徳の成績を評価したりとか、あるいは道徳の授業でもって点数をつけるとか、そういったことは絶対にやってはならないと思いますけど、教育長の見解はどうですか。
◯教育委員会事務局次長
道徳教育におきます成績や評価、あるいは点数化についてのご質問でございます。
現行の学習指導要領におきましても、道徳教育の評価につきましては、児童の道徳性については常にその実態を把握し、指導に生かすように努める必要がある。ただし、道徳の時間に関して、数値などによる評価は行わないものとするというふうにされてございます。
また、平成26年9月に開催されました中央教育審議会の道徳に係る教育課程の改善等についての答申案の中でも、児童・生徒の道徳性の評価につきましては、多面的・継続的に把握し、総合的に評価していく必要があること、ただし、特別の教科道徳につきましては、数値などによる評価を行うことは不適切であることと示されております。
区教育委員会といたしましても、数値化による評価を行うことは不適切であると考えてございますので、児童・生徒がみずからの成長を実感し、人としてよりよく生きていくこととするきっかけとなるような評価を目指していきたいと考えてございます。
◯松崎いたる
私もそのとおりだと思いますが、今の答弁も、ちょっと確認をさせていただきたい。せんだって、この委員会の中では、やはり道徳教育について取り上げられまして、今、道徳で使っている副読本、これを家庭に持ち帰って親と一緒に話し合いなさいというようなことを指導されているというようなことを聞きました。
例えばですね、この道徳の副読本を家庭に持ち帰るかどうか、あるいは親と一緒に話し合ったかどうかということを、道徳の授業の中で評価をしたりするということもないということでよろしいんですか。
◯教育委員会事務局次長
道徳の副読本の家庭への持ち帰り等についてのご質問でございます。
本年4月に文部科学省から配布をされました冊子につきましては、文科省のほうから、ぜひ家庭での活用もというお話がございましたので、各学校を通じて、そのような活用をするように働きかけをしているところでございます。
今、委員ご指摘がございましたように、持ち帰って、家庭で話したからと言って、それが評価につながるものではないというふうに考えてございます。
◯松崎いたる
子どもたちがその本を読んで、これはいいからお母さんと一緒に、ちょっとね、お母さんにも考えてほしいんだと、子どもたち自身が判断がつくようになればね、それはそれでいいのかもしれませんけど、とにかく学校の先生から、これを持ち帰りなさい、親と一緒に、これを読みなさいと押しつけてしまったら、これは道徳にはならないと思いますので、今おっしゃったとおり、何か点数化をつけたりとか、上からの押しつけになるようなことは絶対にやってはならないということを申し上げておきたいと思います。
コミュニティバスの実現を求める区議会での論戦を紹介します。
2012年6月11日
●松崎いたる
桜川、東新町、東山町、小茂根、向原、そして大谷口、大谷口北町・上町は駅から遠い上、既存のバス路線も少なく、住民は区役所への用事や病院への通院に大変不便をしています。この地域でのコミュニティバスを早期に実現するための課題を整理する上でも、地域住民の声をぜひ聞いていただきたい。
▼区長
コミュニティバスの検討地域の1つである「大谷口北町・東新町・桜川」については、道路幅員の課題等について精査を行っている段階であり、運行の可能性が高まった段階において、住民の皆様にも意見を伺ってまいりたい。
2014年3月7日
●松崎いたる
大谷口北町、東新町、桜川地域が次期検討地域に挙がっていますが、住民からは小竹向原駅から区役所に至るコミバス路線が提案されている。早期の実現を。
▼区長
コミバスの新規路線計画は現在、庁内検討会で具体的な対象地域や運行車両、運行ルート、収支等について、その実現の可否も含めて検討を行っている。
3月2日、板橋区議会本会議で
陳情111号「脱原発を求める意見書の提出を求める陳情」
陳情132号「『川内原発をはじめとする原発再稼働に反対し廃炉とし、原発ゼロ政策への転換に向けた意見書の提出』に関する陳情」
の2本の陳情の採択を求めて、討論に立ちました。
これらの陳情は自民党、公明党の反対で不採択となりました。
日本共産党を代表し、陳情111号「脱原発を求める意見書の提出を求める陳情」および陳情132号「『川内原発をはじめとする原発再稼働に反対し廃炉とし、原発ゼロ政策への転換に向けた意見書の提出』に関する陳情」を「不採択」とした委員会決定に反対し、同2件の陳情をともに採択することを求めて討論を行います。
この陳情2件はともに、現在運転を中止している全ての原子力発電所について、再稼働させずに廃炉とし、将来にわたって原発を不用にするエネルギー政策への転換を政府に意見すること求めています。
2011年3月11日に発生した東日本大震災とそれにともなう福島第一原発の重大事故は、政府や電力会社がこれまで「絶対安全」として推進してきた原子力発電事業に対して、その国民的信用を根底からくつがえすものとなりました。
多重防御によって守られ、複数の電源によって常に冷却されているはずの炉心は、すべての電源を喪失し核燃料が融解してしまいました。大量の、そして高濃度の放射性物質が福島県内のみならず広範囲の国土と大気と海水を汚染しました。10万とも15万ともいわれる多くの人々が住み慣れたふるさとから避難せざるを得ず、事故から4年が経過しようとしている今なお、帰還のめどすら立っていない状況が続いています。
いまだにこの原発事故は終息しているとは到底いえません。家や仕事、健康、命までも奪われた多くの人たちへの補償もすすんでいません。
それどころか、事故が地震による揺れで起きたのか、それとも津波によるものなのか、事故原因についてさえ解明されていないのです。
放射能汚染水は増え続け、漏れ続けています。太平洋に流れ出た汚染水により深刻な海洋汚染が広がりつつあります。
放射性廃棄物も増え続け、その処理方法も抜本策がありません。仮置き場となるところでは、住民の不安と怒りが広がっています。
安倍首相は「状況はアンダーコントロール」といいましたが、コントロールされているのは汚染水ではなく、国民への情報に対してであり、汚染情報の隠ぺいが続いています。
こんな状況のもとで、廃炉作業はこれから30年、40年、50年と長期になることは必然で、その危険な作業と莫大な費用の負担は、私たちの子や孫の世代が負わされることになります。
こうした福島第一原発事故の教訓をかえりみないまま、他の原発を再稼働させるなど、生命と人権の尊重、社会倫理、環境保全の視点から絶対に許されないことです。
本陳情の不採択を主張した自民党、公明党の議員らは、「原発が無ければ電力が不足する」「他のエネルギー源では経済効率が悪い」といった趣旨の発言をしていますが、これは経済問題を生命より上位においた点ですでに誤りであるだけでなく、原発の稼働によって日々多量の放射性廃棄物が発生し、その処理方法すら確立していない重大欠点や、ひとたび事故を起こせば回復不可能なほど社会に大きな損失をもたらすことも無視している点でも間違った議論です。
昨年5月、大飯原発の運転差止めを求めて裁判で、福井地裁は、
「極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことである」
「コストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」
と原発再稼働を断罪しています。
倫理の問題だけでなく、実際上の問題としても、福島原発事故後、実質的に原発ゼロで大都市を含む日本全国の電力を十分に賄ってきた事実をみれば、「原発が無ければ電力が不足する」という指摘はまったく当たりません。
板橋区は原発事故以前、たくさんの電力を原発から受けてきた電力消費地です。だからこそ、この電力消費地・板橋から「安全な電力」「命と自然に優しい電力」を求める声を国のエネルギー政策に反映させるべきであると、つよく訴えるものです。
最後に重ねて、再稼働をストップさせ、脱原発を実現させるために、これら2件の陳情を採択し、国への意見書を提出すべきであることを申し述べ、私の討論をおわります。
(写真は3・11の津波で被災した女川原発の安全センター。2012年3月4日撮影)
東武鉄道が、3月26日(木)から、東武東上線・上板橋駅南口のエレベーターの使用開始すると通告してきました。
長年にわたる住民要望がついに実現しました。
このエレベーターは、当初、区や東武鉄道が「南口再開発と一体で」などと主張してきたため、なかなか進展がありませんでした。
日本共産党板橋区議団は一貫して「エレベーターの早期実現」を住民とともに訴えつづけてきました。
私も機会あるごとに、実現を求めてきました。
私がはじめてこの問題を取り上げたのは2003年6月13日の区議会本会議。以下のように質問しています。
「次に、東武東上線についてです。
既に東武鉄道が中板橋駅のバリアフリーについて、2010年までには実施するという答弁が返ってはきていますが、緒方靖夫参議院議員と一緒に国土交通省、東武鉄道と話し合ったとき『区が基本計画を立てて、区がイニシアチブを発揮して進めるもの』という答えを繰り返しておりました。
国土交通省と東武鉄道が言わんとしていたその内容は、「交通バリアフリー法に基づいた基本方針」を指し、それはまさしく再開発事業などの事業計画とあわせて駅などのバリアフリーを図りなさいというものです。これでは、再開発計画などできない駅については、最後まで落ちこぼれてしまう危険があります。
そこで、区として、再開発計画ではなく、一日も早く最優先で中板橋駅のバリアフリーを東武鉄道が率先して努力をし、実施することを改めて強く求めていただきたいのですが、いかがでしょうか。
また、地域の協議会など、中板橋駅のバリアフリー化早期実現のために、区と東武鉄道と地域での話し合う場の設置を具体的に持てないでしょうか。
あわせて、上板橋駅南口についても、バリアフリー化を東武鉄道に強く求めていただきたいのですが、いかがでしょうか」
具体的に問題を指摘し、提案してつもりでしたが、この時の区長答弁は「上板橋駅南口のバリアフリーについて強く要請をしてまいりたいと思っております」という簡単なものでした。
あれから12年、やっと実現。感慨無量です。遅すぎたことを反省しています。
2015年(平成27年)度の板橋区予算案に対して、予算修正動議を議員提案しました。
区長提案の予算案の歳入歳出1981億7千万円を、10億7539万1千円増額し、総額1992億4539万1千円に修正するものです。
内容は、つぎのとおりです。
①防災力強化のための「家具転倒防止器具設置助成」の上限額引き上げ
②障害児放課後デイサービスの利用料無料化
③低所得者の介護保険サービス利用料の3%軽減
④75歳以上の入院時負担軽減支援
⑤小規模保育所の職員配置の充実
⑥1カ月健診・産婦健診への助成
⑦学校給食費の第3子以降の無料化
⑧就学援助の対象項目の拡大
10億円規模の修正となりますが、区長提案額のわずか0.5%の範囲内の修正で、財源も財政調整基金を活用することで十分に賄えます。
ぜひとも実現させたいと思います。
板橋区民のコミュニティーや文化の活動拠点となってきた区立グリーンホールが区民から奪われようとしています。
区役所南館改築のため、同館にあった板橋福祉事務所が工事中一時、民間ビルに移転していましたが、南館改築が終わった後も、同福祉事務所のスペースが確保されず、行き場を失っていました。
この問題で坂本健区長は、グリーンホール内に板橋福祉事務所を移転させる計画を突如として打ち出しています。
区長の計画どおりとなれば、グリーンホールは1,2界のホール部分をのぞいて、区民が利用できる「会議室」等がなくなってしまいます。
区議会には計画の中止を求める2本の陳情が提出されています。
板橋福祉事務所の移転に関する陳情
陳情の要旨
板橋福祉事務所のグリーンホールへの移転をやめてください。板橋福祉事務所は区役所1階に戻すか区役所近隣に新設して下さい。グリーンホールはこれまで通り集会施設としての機能を維持して下さい。
陳情の理由
福祉事務所は区民の生活にとってとても大事な役割を持っています。特にひとり親家庭や女性・児童・おとしより・障がい者にとっては頼りがいのある生活相談の場になっています。
更に、生活保護費の申請受付や給付、介護保険サービスの申請受付、身体障害者手帳の交付、母子生活支援施設への入所、入院助産への援助など福祉に関する様々な活動も行っています。
区役所近隣の区民はこれまで区役所1階にあった福祉事務所を利用することができていました。
しかし、区役所南館建設に伴って板橋福祉事務所は民間施設に移ったまま、この4月の区役所全面改装オープンになっても区役所内には戻れないことが明らかになりました。
「庁舎が手狭」を理由に南館建設が計画されたにもかかわらず、完成時になったら福祉事務所を区役所から閉め出すというのは甚だしく問題です。弱者に冷たい区政と言えます。
加えて、多くの区民やサークル・団体が諸々の集会活動・会議等で広く利用してきたグリーンホールに板橋福祉事務所を移転するという区の方針は、区民サービスを大きく低下させることに他なりません。
グリーンホールの利用が1・2階のホールのみになるという方針は区民として、またグリーンホールを利用する者として納得できません。
板橋福祉事務所のグリーンホールへの移転に強く反対します。板橋福祉事務所は区役所1階に戻すか、区役所近隣に新設して下さい。
グリーンホールは集会施設としてのこれまでの機能を維持するようにして下さい。
提出年月日 平成27年2月2日
陳情者
特定非営利活動法人●●●
板橋区議会議長茂野 善之 様
グリーンホールの区民利用部分の拡充を求める陳情
(陳情の要旨)
グリーンホールの区民が利用できる部分の拡充を求めます。
(陳情趣旨)
グリーンホールは旧産文ホールの時代から、板橋区の主要交通である東上線と都営地下鉄の両方の駅から使える集会施設として広く区民から利用されてきました。
グリーンホールは板橋区内外の諸団体や個人の交流をはじめ、文化も高める活動の拠点になっています。利用度も高くますますその役割は大きなものになっています。
現在は7階に区役所の部署が入っていますが、本庁舎南館の完成までと思って我慢をしてきました。
昨年12月の企画総務委員会に板橋福祉事務所の移転先としてグリーンホールが妥当であるという案が示されたと聞き驚いています。
区民が使える施設を減らすということは私たち利用者が、不便になり、それぞれの目的としている活動が制約されます。
区が掲げる「いたばし未来創造」の「魅力創造発信都市」の「成長分野1 文化・スポーツによるにぎわい創出」の施策とも合致しません。
将来にわたっての都市インフラの計画的な配置は区民の一番身近にいる基礎自治件の役割です。
私たちさは市民活動・文化活動の施設として、グリーンホールのさらなる区民利用部分の拡充を求めます。
平成27年2月5日
第41回住みよい板橋をつくる区民と勤労者の集い運営委員会
板橋区議会議長 茂野 善之 様
安倍政権の暴走と対決し憲法まもり、増税ストップ!
区民の声を生かす区政に転換を
戦後70年。一度も戦争を起こさず、一人の戦死者も出していない平和な時代に生まれたことに感謝し、「戦争はしない」「生きる権利の保障」を誓った日本国憲法を誇りに思います。
ところが、安倍内閣では憲法9条をふみにじり、「集団的自衛権行使」で日本を「海外で戦争する国」に変えようとし、暮らしを痛めつける消費税10%増税の強行もねらっています。
私はこの板橋区から悪政にストップをかけ、区民のみなさんとともに力をあわせて平和と暮らしを守る政治の実現に力をつくします。
高校生の入院費用を無料にする条例案を、日本共産党板橋区議団(8人)が2月13日からの第1回定例区議会に提出します。
現行条例では、中学三年生までの子どもの医療費は、通院費・入院費ともにすべて、全額助成され、自己負担は無料になっています。
今回の共産党提案の条例改正案は、助成対象を高校生の入院費にまで、拡充する内容です。
本来なら、入院費だけでなく、通院費も助成対象にすべきですが、今回の条例改正は、そこまでに進むための「第1歩」でもあります。
この条例案では「高校生等」の定義を「15歳に達した日以後の最初の4月1日から18歳に達した日以後の最初の3月31日までの間にある者」としています。
助成の対象者は「高校生等」を扶養している人(父母)なので、18歳未満であっても結婚等で、親から独立して生活している子は除外しました。
板橋区でもぜひ、一歩前進を勝ち取りたいと思います。

板橋区ホタル生態環境館での25年累代飼育を否定し、ホタル成虫の外部から持ち込みを認定した板橋区資源環境部環境課の報告書に対して、元ホタル飼育担当職員の阿部宣男さん(理学博士。2014年3月に板橋区を懲戒免職)が代理人弁護士を通じて反論しています。前回につづき検証してみましょう。
◆DNAの調査結果
区の報告書はホタルのDNA解析調査をした目的をつぎのようにのべています。
「ホタル生態環境館のホタルは、25世代の累代飼育を行ってきたとしている。この事実を確認するため、塩基配列解析(DNA)の調査を行い、25世代の累代やホタル発生地、そして人為的移動の有無等を明らかにするものとした。調査対象は、平成26年度に発見されたホタルの成虫・幼虫を用いて、確認するものとした」。
DNA調査の結果は、ヘイケボタルについては「地域の特定までは至らなかった」としたものの、ゲンジボタルについてはつぎのことが明らかになりました。
①「西日本系統のグループⅢ(中部・東海)に属すると判断できた」個体があった。
②「西日本系統のグループⅣ(西日本)に属すると考えられる」個体があった。
③「西日本系統に最も近縁で、ⅢまたはⅣに属するが、Ⅲ・Ⅳそれぞれのグループの特定には至らなかった」個体があった。
④「グループⅠ東北・北関東に属する遺伝子を持つ個体は、見つからなかった」
そして、報告書のつぎのように総括(結論)しています。
「塩基配列解析(DNA)調査報告によると、ホタル生態環境館において平成26年に羽化または発見されたゲンジホタルのDNA調査では、福島県大熊町のホタルでなく、西日本地方のDNAを持ったゲンジボタルであることが明らかになった。これは、西日本地方のDNAを持ったホタルが人為的に移動されていた可能性が高いということを示しており、元飼育担当職員が述べていた累代飼育がなされていたなら、西日本地方のホタルが存在するというのは不自然である」。
◆「密室での調査」という批判
区のDNA調査に対し、阿部氏側弁護士は『見解』で、
「そもそも、DNA解析によって阿部氏のホタル飼育の実態を否定しようとする動きそのものにきわめて陰湿な悪意を感じざるを得ない」
と断じています。
こうした姿勢は、公正公平に調査結果を見ようとしない立場をを自ら示していることにほかなりません。どんな調査結果であっても、誠実に向き合うべきではないでしょうか。阿部氏にとって不利な調査結果だからといって、「きわめて陰湿な悪意」と決めつけるのでは、多くの区民が求めている真実(ホタル館での飼育の実態)の解明を妨害するだけものになってしまいます。
「ホタル博士」として自らの業績に自信・誇りがあるなら、区の調査結果が示す問題点に、すすんで答えるべきです。
『見解』は、
「今回の解析がどこのホタルによって検査された結果であるのかは分からない」「通常、こういう検査であれば、第3者立会いの元、DNA解析に出さなければならないが、ホタル生息調査(=2014年1月27日)と同様、密室で決められた可能性が高」い、
などと述べています。
こうした『見解』は、区がおこなったDNA調査を、刑事事件で裁判所がおこなうDNA鑑定などと混同しているのではないでしょうか?
今回のDNA調査は、区側と阿部氏側の双方の言い分のどちらが正しいか、について白黒をつけるためではなく、報告書のタイトルにも示されているように2014年1月27日のホタル等生息調査結果(推計で23匹)と元飼育担当職員の報告数(約2万匹を羽化)との乖離が、どうして生じたのか?という疑問について、区として見解を根拠をもって示すためのものです。
第3者によるDNA調査が必要か、どうかはこれからのことにかかっています。阿部氏側が調査結果に合理的に反論できれば、当然、再調査が必要になるでしょう。
報告書の内容が報告された区議会区民環境委員会(1月20日)で、私(松崎いたる)はつぎのような質疑をおこないました(要旨)。
○松崎いたる
当然、このDNA検査が正しいのかどうかということが、今後また争われることになるかと思う。DNAの再鑑定をしてほしいという要請に応えられるだけの、たとえば検体はあるのか?
○環境課参事
検体については、すべて容器にアルコール液に漬けてあるので、もし再鑑定したいというであれば、それは可能です。
DNA調査の結果に、板橋区は確信をもっていることを示す答弁です。
◆「真犯人」、「容疑者」を指名???
報告書に対する反論としては、「私はDNA調査に立ち会っていないので、事実かどうかはわからない」で十分なのかもしれません。ところが、阿部氏側の『見解』は、西日本系DNAを持ち込んだ「真犯人」またのその「容疑者」を特定したかのような記述をしています。
『見解』が名指ししているのは、阿部氏がホタル館勤務を解かれた2014年2月から、ホタル館の管理をおこなっている事業者「自然教育研究センター」です。
「さらに言えば、自然教育研究センターが受託している足立区生物園のホタル購入先は関西の業者である。その根拠については、足立区職員が以前、ホタル生態環境館館長(引用者注・阿部氏のこと)のところへ購入したホタルを持って相談に来た際、その箱の送り先が関西であったことを複数の人間が目撃している。従って、このDNAの検査結果が正しいとすれば、このルートから西日本のホタルを持ち込まれ、交雑した可能性は否めない」
なぜ、ここまでくわしい推論ができるのであろうか? 足立区職員が板橋区のホタル館に西日本産のホタルを持ってきたのはいつ(何年)だったのか? 複数の人間とは誰なのか? ―――いろいろと疑問がわく記述です。
しかも、再鑑定によって、西日本産であるという結果が確定したとしても「このルート(足立区経由)から西日本のホタルを持ち込まれ、交雑した可能性は否めない」と、“いいわけ”が事前に用意されているといってもいいでしょう。
◆「DNA交雑の可能性」というなら…
阿部氏側のこうした言い分が通るなら、DNA交雑の可能性は、足立区経由よりも、阿部氏自身の「行為」によるほうが、はるかに大きいことになります。
阿部氏はこれまで「ホタル館では全国23か所のDNAの違うホタルを預かり、飼育してきた」と著書をはじめ、あらゆるところで主張してきたからです。阿部氏は、「23か所」がどこか、そのリストを公表していませんが、当然、「23か所」のなかには西日本も含まれていてもおかしくありません。
実際、阿部氏が金沢市内に「金沢生まれ、板橋育ち」のホタルを放流したことが当地の新聞に報道されています。
北國新聞2010年10月19日付には「板橋のホタル 寺町に」という記事の中には
「阿部さんによると、放流した幼虫は、金沢に生息する個体を採取して繁殖させた種で、庭に定着する可能性はかなり高いという」
とあります。
もし「金沢に生息する個体」が本当ならば、そのDNAタイプは「西日本」グループに属します。記事では約500匹の幼虫を放流したことになっていますから、それ以上の金沢産ホタルを板橋区のホタル館で飼育していたことになります。
阿部氏はまず、
「預かり飼育」がどのようにおこなわれのか?
その際、交雑を防ぐ手立てをどのようにおこなってきたのか?
を具体的に説明すべきです。
自らが説明すべきことを棚にあげ、他人に責任を押し付けることはゆるされません。
◆飼育初年度からの「不自然」さ
「阿部氏のもとには25年以上に及ぶ飼育の日誌、孵化数や幼虫数さらには羽化数の膨大な記録が存在する。本件報告にかかわった者らは、これらの膨大な記録を見ていない。怒りを禁じえない」
と『見解』はいいます。
しかし報告書には検討に必要な過去の記録もきちんと記載されています。たとえば平成2年からの「ホタル夜間特別公開時の羽化数(匹)」の表です。
この表で平成7年度に「合計 194,742匹」とあることについて、阿部氏はすでに「ウソだった」と告白しています。
もうひとつ注目すべきは平成2年度に「ゲンジ150匹 ヘイケ550匹 合計700匹」とされていることです。
他の年度は卵の数がわかりませんが、この初年度だけは、卵の数がはっきり報告されています。
阿部氏によれば、板橋区のホタル飼育事業は平成元年に「福島県大熊町からゲンジボタルの卵300個、栃木県栗山村(現日光市)からヘイケボタルの卵700個、計1000個の卵を採取し、育てたことからはじまった」とされているからです。
卵数とそこから成虫にまで育った羽化数を比較すると羽化率が出ます。すると、平成元~2年度の羽化率は
ゲンジ 50% ヘイケ78.6% あわせて70% という驚異の数字になります。
区側の報告書に反論している阿部氏側の『見解』でさえ、「(ホタル館での)羽化率は自然界より高く、約2%ぐらいである」と述べています。羽化率70%がいかに常識はずれの「奇跡」の数字であることが、これでよくわかるのではないでしょうか?
飼育経験がまだなかった初年度に驚異の羽化率を「達成」したことを、ホタル飼育の専門家である阿部氏はどう説明するのでしょうか?
説明責任が問われています。
◆「威嚇光」説の矛盾
『見解』は、その終りの部分でつぎのように述べています。
「阿部氏はホタルの飛翔の光について詳細な研究を行ってきた。これらの研究はこれまでの蓄積されてきた長い時間をかけた飼育の実態に裏打ちされている。
自生したホタルには1/fのゆらぎがあり、α波を活性化し、癒し効果がある。持ち込んだホタルの光は威嚇光や警戒光になり、発光パターンが不規則になる。これは肉眼で分かることで、実際に某生物園のアクリルケース内に放たれたホタルの不規則な光を見れば一目でその違いが分かるという」。
ホタルの光に「威嚇光」や「警戒光」があるというのは阿部氏の従来からの主張であはあるが、生物学会の定説ではありません。『見解』は、「肉眼で分かる」「一目でその違いが分かる」と言いますが、それも確認されていません。『見解』ですら「…という」と、伝聞になっています。
そもそも「持ち込んだホタル」が「威嚇光」を放つなら、阿部氏が、鎌倉の有名神社から「一時的に」ホタル館に持ち込まれていたと認めているホタルも威嚇光を発していなければなりません。ホタルにそのようなストレスのかかることを、ホタルを愛する阿部氏がなぜ行っていたのでしょうか?
それだけではありません。
また、回数は少ないとはいえ、板橋区でも、ホタル館を離れての「出張夜間公開」をおこなったことがあります。これも「威嚇光」を区民に見せていたのでしょうか?
阿部氏はなぜ、このようなことを許してきたのでしょうか?
(※3月10日追記 「出張公開でなぜ『威嚇光』を発しないのか?」という疑問について、阿部氏と関係のある(有)ルシオラの社長・深田芳恵氏は、「その時の光も威嚇光ではありません。磁場の研究から調整する方法が分かっていたからです。ただ、そのことを一般に公表しないのは、通常、夏のホタル観賞用に販売されているホタルには保護地区から採取して来るものが多いからです」と述べています。)
阿部氏側が報道関係者に送付した書面によれば、今回の『見解』は「取り急ぎまとめたものであり、後日詳細な反論を予定するものであります」といいます。
しかし、どんな反論も、不毛な論争でしかありません。
なぜなら、25年間の累代飼育を証明することで、すべての疑惑は解消するからです。それができるのは、阿部氏だけです。
阿部氏はこれまでも「累代飼育は事実」と主張するだけで、その客観的根拠は何一つ示してきませんでした。阿部氏が提示する証拠らしいものはすべて、阿部氏の主観に基づくものばかりであり、しかも、その詳細は具体性を欠いています。
阿部氏は、いま自身に投げかけられている疑問に誠実に回答すべきでしょう。
それなしに「反論」を続けるのは、ありもしない「威嚇光」を発し続けるのと同じです。そんな偽りの光では、人の心や真実を動かすことはできません。
もちろん、だれも癒されないのです。
板橋区は公表した「板橋区ホタル生態環境館のホタル等生息調査結果と元飼育担当職員の報告数との乖離について(報告)」(2015年1月20日)に対して、元飼育担当職員の阿部宣男さんが代理人弁護士を通じて、「見解」と称して反論しています。
前回の「ホタルの闇(12)開いた闇への扉」でも、阿部氏の反論についてみてきましたが、今回の「見解」はより詳細な反論となっているので、あらためて阿部氏の「見解」について検証してみたいと思います。
◆「知らなかった」責任は阿部氏に
「見解」は、区の報告について「その内容は欺瞞に満ちている」ときびしく批判して、まず、つぎのように主張しています。
「本件報告には『平成25年度より、ホタル生態環境館のあり方について、資源環境部にあり方検討会を設置し、検討を行ってきた』(『Ⅱ 経緯』)との記述がある。
しかし、そもそもこの「あり方検討会」なる存在を阿部氏は知らないし、そのような存在を聞かされたこともない」
けれども、実際には報告書どおり、ホタル館のあり方を部内で検討することは、区議会にも報告されている周知の事実です。
2012(平成24)年12月4日の区議会区民環境委員会では、平成25年度から具体化をめざす「(仮称)「いたばし未来創造プラン」(素案)」が報告、審議されています。
この委員会では社民党の高橋正憲区議が「83ページの046のホタルの飼育施設とあるんだけど、これを廃止の方向で検討すると書いているんですよ。僕はこれは板橋の宝だということをずっと僕は言ってきたんですよね。…(中略)…僕はこれはやっぱり継続していくべきだと思うんですよ」
などと発言しています。
また、この「プラン」(素案)は、区民にも公開されパブリックコメントの募集までされていました。
「プラン」はホタル館だけでなく、板橋区の全事業、全施設の抜本的見直し・再検討をすすめるものでした。ですから、区の職員であるならば、自分の職場が「プラン」(素案)ではどういう方向性になっているか、当然関心があったはずです。
にもかかわらず阿部氏が「見解」で「知らないし、そのような存在を聞かされたこともない」と主張するのは、公務員としての意識の怠慢を示すものでしか、ありません。
阿部氏には、自分が「あり方検討会」に参加していないことに不満があるようにも読めます。
しかし、阿部氏の区職員として職責は「一般職員」であり、「ホタル館館長」というのは自称あるいは通称にすぎません。
区の事業の方向性をきめる重要な会議は、役職のある幹部職員で構成されるのは通常のことです。
「見解」は、ホタル館の実際の管理業務の受託事業者「むし企画」への、区による事情聴取を問題し、
「到底ホタル生態環境館のあり方を検討するという類のものではなく、まさに阿部落としを企図してなされたものとしか言いようがない」
と非難しています。
しかし、ホタル館のその後のあり方を検討するために、現場を知る事業者に話を聞くのは当たり前のことです。
ところがこの聞き取りで、「むし企画」代表は、自分が雇用している従業員・アルバイトの氏名など、基本的なことすら答えられなかったのです。区側がこの聞き取りで不審を感じるのは当然のことでしょう。
◆矛盾する幼虫の大きさ
「見解」は、「内容上の検討」として「専門性の欠如、客観性の欠如、論拠としている内容の矛盾、阿部氏の実践の無視等を指摘することができる」といいます。
「専門性の欠如」として「見解」があげているのは、2014年1月27日に区が行なった生息調査で、「そもそもあの1月末頃の時期に生息調査をしようとすること自体で専門性の欠如が示されている」としています。
そして「ホタル生息数は学術的に通常、夏の成虫で数えるのが一般的」というのですが、この生息調査にいたる前の事前の調査活動のなかで、ホタル館に成虫が外部から持ち込まれていた疑いがすでに浮上していたことが、いまではわかっています。
外部からの持ち込みの可能性を考慮すれば、成虫の数を数えても、ホタル館でホタルが生息してことの裏付けにはなりません。館のせせらぎ(小川)に棲む幼虫を数えてはじめて、ホタル館での飼育が実態として認められます。
「夏の成虫で数える」というは、成虫を持ち込んだ者からすれば、まことに都合の良い数え方です。
「見解」は、生息調査のあった1月下旬の時期の「実際の幼虫の大きさは基本が6~8mmと小さい」と述べ、区の報告書の「1~2月におけるホタルの幼虫の大きさは、室内飼育環境で、ゲンジボタルは15~25mm程度、ヘイケボタルは、数mm~15mm程度であ」るという記述が、実際の飼育状況と乖離しているかのように主張しています。
しかし、ホタルは同じ環境のなかにあって同じ時期に孵化した幼虫のグループであっても、さまざまな大きさの個体が混在する生物であることが知られており、阿部氏自身もかつての講演会などで、こうしたホタルの習性について語っています。つまり、「6~8mmと小さい」個体もいてもおかしくはありませんが、同時に報告書にあるような「15~25mm程度」の個体もいるはずです。
しかも、多くの個体が「15~25mm程度」までに成長していなければ、6月~7月に「2万匹」の羽化(成虫化)を迎えることはほとんどむずかしいといえます。
また、ホタル飼育の専門家からすれば、阿部氏の「見解」がいう「幼虫の大きさ」は、けっして一般的な常識といえるものではありません。
「12月頃から翌年の2月頃にはほとんどの個体が2~3センチ(メスのほうが比較的大きい)に達」するとあります。

◆仕掛けられたワナ
幼虫の大きさの問題では、区の報告書は「また、元飼育担当職員が仕掛けたというトラップ(平成26年2月1日報告)により、捕獲したヘイケボタルは、写真(トラップ内のヘイケボタル)のように、約30匹中で10mm程度のもの(現ホタル飼育担当者が確認)が数匹確認された。このように元飼育担当職員の言うような大きさ(6~8mm)ではないものがあった」と指摘しています。しかし「見解」はこの指摘については具体的な反論がありません。
ただ、「論拠としている内容の矛盾」があるなどと言って、つぎのように述べています。
「本件報告書の中に、1月27日の5日後である2月1日に阿部氏がせせらぎ内から幼虫を採集していることが報告されている。 これをこの報告書の至るまでいたことも(引用者・注--明らかに脱字がある。前後の文脈からおそらく「伏せていた」「隠していた」類のことばが入ると思われる)非常に疑問である。つまり阿部氏は1月27日に乱暴な手法で見つけられない幼虫を採集したのである。であれば、同様の方法を繰り返し検証し、1月27日の結果を検証することもできたはずである」。
この「見解」の指摘は的外れだと言わなければなりません。 なぜなら、 第1に、報告書は阿部氏が幼虫は「6~8mm」の大きさと言っているにもかかわらず、阿部氏自身が「発見」した幼虫は10mm程度だったという矛盾を指摘しているますが、「見解」はその矛盾に答えていません。
第2に、報告書では、阿部氏が仕掛けたトラップについては、ほかの区職員の立ち会いがなく、誰も目撃者がいない状態で行なわれたことを指摘しています。
いいかえれば、阿部氏が生息調査のあとで、調査結果を意図的に改ざんしようとした可能性を指摘しているともいえます。こうした不正な方法を繰り返せば、繰り返すほど、調査結果は歪んでしまうのは明らかでしょう。
また「見解」が「トラップのことをいままで黙っていたのはおかしい」と言いたいのであれば、それも的はずれです。
阿部氏が1月27日の生息調査の後にトラップを仕掛けていたことは、区議会でも公表されていました。 「トラップの件につきましては、我々の調査が終了した後、生息調査が1月27日に終了した後、今、正確な日にちの資料は手元にないんですが、担当者からせせらぎに弁当箱のような穴があいてるんですけど、そのトラップをせせらぎの上流に仕掛けたと、中には秘密の餌が入っているというような話がありまして、結局、数日後にはそこからヘイケボタルの幼虫が見つかっているんですね。
我々としては、やはりもしそこに仕掛けるんであれば、やはり我々が調査を行った後、調査の信頼性を下手すると損なわせるわけですよね、入れること自体が。ですから、それはこういうことやるよということ事前に言ってほしかったですし、中に後から入ってましたと言われても、いや、これは一体どういうことだろうと…」
(2014年8月19日 平成26年 区民環境委員会 環境課長事務取扱資源環境部参事の答弁から)
◆「188匹の乖離」をどう見るか
区の報告書には「(2014年)9月14日現在のホタルの羽化数は、ゲンジボタル64匹、ヘイケボタル147匹と合計で211匹であった。生息調査(2014年1月27日)の推計では、ゲンジボタル23匹、ヘイケボタル0匹と推計され、188匹の乖離があった」と記載されています。
この事実について「見解」は、 「羽化率は自然界よりも高く、約2%ぐらいであるが、調査後のせせらぎの管理状態から見て、1月の調査時点からの羽化率を5%と見てもこの時点で、4000匹前後の幼虫が存在していなければ200匹以上の羽化は不可能である。つまり、1月27日以降の管理の劣悪さにもかかわらず、少なくとも4000匹前後の幼虫が存在していたことになり、そのことはせせらぎに幼虫が飼育されていたまぎれもない事実を物語っている」
と述べています。
しかし、これも早とちりな認識にすぎません。 まず前提となるのは、生息調査の「23匹」というのはあくまで「推計」であって「実数」ではないということです。また、持ち込まれていたかどうかにかかわらず、多数の成虫がホタル館で交尾・産卵をしていたのは事実ですから、人為的な飼育がおこなわれていなくても、ある程度の数のホタルが生息していても不思議なことではありません。
一番確実な数え方は、成虫の死骸を数えることですが、生息調査では、水中のなかで生きている幼虫を数えなければなりませんでした。 ですからどうしてもサンプリング調査のような方法を取らざるをえません。もし、より徹底した、たとえば「カイボリ」のような手法をとれば数は正確でも、ホタルにとってのダメージは計り知れないでしょう。 限られた条件のなかでの調査で、推計と実際の数がズレるのはむしろ当然のことです。
それでも「188匹も差があるのは大きすぎる」という疑問はあるでしょう。その点については、報告書の「Ⅵ 平成26年度のホタル羽化数の検証」をよく読む必要があります。
ここでは「特に屋外ビオトープのヘイケボタルの羽化数74匹とせせらぎ内でヘイケボタル56匹、上陸水槽(せせらぎ内で元飼育担当職員がトラップで捕獲したヘイケボタルの幼虫30匹)10匹の成虫が発見されたことが推計値と大きく乖離する原因となった」と結論しています。 屋外ビオトープに74匹ものヘイケボタルがいたことについて、報告書では「ビオトープ等で発見されたヘイケボタルについては、不自然な点があり、本施設で全て羽化したものとすることは疑問が残る」として、具体的につぎのように指摘しています。
① 区は、上陸時期にホタルの幼虫の上陸確認を夜間まで行っており、この上陸確認がされていないのに7月7日14匹、7月28日56匹ものホタルが突然に成虫として発見された。
② 通常は、羽化したホタルは、交尾するため飛翔するが、発見されたホタルは、飛翔しておらず、1箇所にまとまって発見され、不自然な状況であった。
③ また、既に発見当時、死んでいる個体も16匹と複数あり、羽化直前のホタルとは考えにくい。
④ 生息調査時において、ホタルの餌のカワニナがビオトープ内にいない状況で、これだけのホタルが羽化することは不自然である。
⑤ 例年ビオトープにおけるホタルの発生は、夜間特別公開の頃、区職員により、数匹程度しか確認されておらず、今年だけ突然、74匹とまとまって羽化したことが不思議である。
要するに屋外ビオトープのヘイケボタルも持ち込まれた可能性が高いのです。
だいたい、阿部氏はホタルの棲む場所は「聖域」で、けっして足を踏み入れてはならないと言ってきました。「見解」のなかにも
「せせらぎ内に侵入すること自体でホタルの生息環境が破壊される」「阿部氏らはせせらぎを聖域と称し、スタッフともどもこの時期に足を踏み入れることは決してなかった」と記されています。屋外ビオトープも同様のはずです。
しかし、屋外にあるかぎり、小動物や鳥類の侵入は避けられません。じっさい、ビオトープにカルガモが泳ぐ写真もあります。
「見解」のとおりなら「ホタルの生息環境が破壊」されているはずです。それでも、突如として74匹ものホタルが出現したのですから、やはり「不自然」です。
羽化数に関して、区の報告書の報告書のいちばん重要な部分は
「平成26年度の夏、わずか1.1%(引用者・注ーー阿部氏が例年羽化させてきたと報告したきた『約2万匹』に対する割合)の211匹しか確認できなかったことは、当該施設で約20,000匹のホタルが飼育されていなかったと考えざるを得ない」
という結論でしょう。
どんなに、「調査の不正確さ」を考慮しても、とうてい2万匹には及ばないのです。 「見解」は、この結論にはなんら反論できていません。 しかも、「見解」のいうように「1月の調査時点からの羽化率を5%」とするならば、2万匹の成虫を得るためには、40万匹の幼虫が存在していなければならず、飼育の密度から考えてますます現実性のうすい話になってしまいます。 40万匹の幼虫の死骸はどこからも発見されていないのです。
区の報告にたいする反論の「見解」はまだまだ続きます。長くなりますので、今回の検証はここまでとして、いったん筆を置きたいと思います。
(つづく)
2015年1月20日、板橋区は「板橋区ホタル生態環境館のホタル等生息調査結果と元飼育担当職員の報告数との乖離について」の報告書を公開しました。
前年2014年1月27日に実施された生息調査では、2万匹以上いるはずのホタルが2匹しか見つからず、推計でも23匹とされていました。
私は「なぜ、そんなにも少ないのか?」という疑問に答えるよう、区に要請してきましたが、1年経ってようやく、その回答がしめされました。
これまでも、このブログ「ホタルの闇」で考察してきたとおり、ホタル生態環境館(ホタル館)で、毎年2万匹以上のホタルを飼育、羽化させることは、ほとんど不可能なことでした。
しかし、今回の区の報告書の結果は、私の予想を上回る衝撃的なものでした。

◆報告書が明らかにしたこと
報告書のポイントは次のとおりです。
①現存するホタルをDNA検査した結果、ゲンジボタルは西日本産であった。
→これは、1989(平成元)年に福島県大熊町からゲンジボタルの卵300個を採取し、これを25年にわたり累代飼育してきたという元飼育担当職員・阿部宣男さんのこれまでの報告内容をくつがえす結果です。
②夏の夜間公開日前に、ホタルが外部から持ちこまれたことを示す物的証拠があった。
→これは、「持ちこみはありえない」という阿部氏の主張を否定するものであり、区民が鑑賞していたホタルは、ホタル館で飼育されていたホタルではなかったことを示します。
①②の結論だけでも「25代累代飼育」という阿部氏とホタル館の「実績」がウソだったという衝撃的な結論をくだしているのですが、それだけはありません。
③毎年の飼育数について「約 20,000 匹のホタルが飼育されていなかったと考えざるを得ない」と結論した。
④2014年1月27日での調査で23匹とされたホタルが同年夏には211匹の羽化が確認されたことについて、「(屋外の)ビオトープ等で発見されたヘイケボタルについては、不自然な点があり、本施設で全て羽化したものとすることは疑問が残る」として、調査後に持ちこまれた可能性について言及している。
⑤2014年1月27日の調査がずさんだったとする阿部氏の主張について、「生息調査で 70,000 匹が、流されたという元飼育担当職員の発言についても、その根拠(物証)はなく、また、そのような事実もなかった」と断定した。
報告書は「ホタル生態環境館のホタルは、外部から人為的移動により持ち込まれ、累代飼育も行われていなかったものと考えられる。このことは、累代に及ぶ板橋育ちのホタルが現時点において存在していないことを意味するものである」と総括しています。
こうした区の報告書に対し、正当性を疑問視したり、不十分な点を指摘するさまざま意見があることは否めません。
私自身、「持ち込みはいつから(何年前から)始まったのか?」「持ちこまれたホタルはどこで(場所)飼育されてのか?」「持ち込みの事実を知っていた者は誰々なのか」「区がホタル飼育のために支出した公金(委託金など)は、じっさいには何につかわれたか? また誰に渡ったのか?」――などの重大な疑問が解決されていないと考えてます。
しかし同時に、今回の区の報告書は、阿部氏が主張してたホタル飼育がウソであったことを、板橋区が公式に認めたものであり、25年にわたり区民を騙し続けてきたホタル飼育偽装という闇のとびらを開く、巨大な一歩であることは間違いがありません。
1月20日の区議会区民環境委員会で、今回の報告書とともに2本の陳情=「板橋区ホタル生態環境館の技術の継承と館の存続を求める陳情」「板橋区ホタル生態環境館の再調査を求める陳情」が審議されました。
これまで日本共産党は「疑惑が解明されないままではホタル館の存廃を決められない」として、陳情については「継続審査」を主張し、賛否を表明してきませんでした。
しかし、「累代飼育はなかった」「ホタルは持ちこまれていた」という報告書をうけて、2本の陳情に「不採択にすべき」との態度を表明しました。
「累代飼育技術はある」という前提の陳情を継続して審議しても、実のある議論はできないと判断したからです。
「板橋区でホタル飼育をしてほしい」という意見があることは承知していますが、仮にそうするにしても、これまでのホタル飼育事業で起きた不正や失敗を認め、その教訓をつかまないままでは、先にすすむことはできません。
今後は、25年にわたるホタル飼育事業とはなんだったのか?――残された疑惑の解明を徹底的におこなうべきでしょう。
◆証拠にならない「飼育日誌」
当事者である元飼育担当職員・阿部宣男さんは、区の調査の正当性を認めず、報告書に反論しています。
そのなかで、区の報告書にさまざまな疑問や不満をぶつけているのですが、阿部氏がおこなってきたとする「累代飼育」については、それが「事実」であることをしめす論拠(証拠)を何もしめしていません。
ただ「昨年1月26日迄は確実に福島県双葉郡大熊町熊川のゲンジボタル、栃木県日光市(当時、栗山村)のヘイケボタルを24世代しておりました」というだけなのです。
阿部氏の代理人弁護士が区の報告書発表に関してマスコミ各社にあてた「声明」のなかでは「これまでのホタルの飼育状況を示す膨大な資料(管理日誌、孵化数等の記録等)、そして全国でのホタル生態環境の再生への協力の事実は、このような報告によって決して消されることはあり得ません」と反論しています。(2015年1月20日 【「元板橋区職員の懲戒処分取消請求事件」と板橋区の不正・捏造】に関する緊急声明)
しかし、代理人弁護士が証拠としてあげている「管理日誌、孵化数等の記録等」はすべて阿部氏自身が書いたものであり、客観的な資料とはいえません。
日誌にはたしかに、受けとった課長など上司の確認印(ハンコ)が押してありました。しかし、このハンコも日誌の内容が事実であったことを裏付けるものではありません。
私は「なぜハンコを押したのか?」をハンコを押した上司に尋ねたことがあります。そのときの答えはこうです。
「一般的に区の職員から業務日誌のようなものが上がってきた場合には、中身を見ることもありますし、数が多ければその時々の決済の量によってもありますが、基本的には中身は正しいものだと思って判こを押すというのが我々の仕事です」(2014年8月19日 板橋区議会区民環境委員会)
中身も確認せずにハンコが押されることは、事務のやり方として大きな問題です。しかし、こうした実態がある以上、上司のハンコも「累代飼育」の客観的な証拠には、なり得ないのです。
なによりの問題は日誌の内容自体にあります。
これらの日誌類と飼育実態の関係について、私は2014年6月6日の区議会本会議で坂本健区長に質問したことがあります。
区長の答弁はつぎのとおりでした。
「次は、ホタルの飼育過程を示す資料についてのご質問です。
ホタルの1年間の飼育過程につきましては、管理日誌により報告をされてまいりました。管理日誌には、大まかに、『6月から7月にかけて卵を採取、孵化後は水槽で飼育し、翌年の3月から4月にかけて、終齢幼虫をせせらぎに移し、その後、上陸してさなぎになり、5月以降に羽化を確認している。』としております。
しかし最近は、孵化後に幼虫をせせらぎに放流すると担当者は説明をしておりまして、管理日誌と整合がとれない状況にございます。このことについて説明を求めていきたいと考えています」(2014年6月6日 板橋区議会第2回定例会本会議)。
日誌は、阿部氏から報告をうける立場の区長ですら「整合がとれない」と言わざるを得ないものだったのです。
じっさいの日誌にはどんなことが書いてあるのでしょうか。
たとえば「ホタル飼育記録簿」なるものは、ゲンジボタル、ヘイケボタルそれぞれの卵数、孵化数、幼虫数、上陸数、羽化数を書き込むことになっていますが、ふしぎなことに過去15年のデータ(数字)があらかじめ印字された用紙になっています。
そのとき、そのときのデータを記入すれば済むのに、過去のデータと見比べながら記入するようになっているのは、はじめから記録にバイアスをかけているようなものです。

「ホタル生態環境館管理日誌」にも、おかしなところがたくさんあります。 たとえば、平成25年7月17日(木)の欄。ここにはヘイケボタルの卵の数を確認したことが記載されていますが、その合計はわずか410個です。この日以外には卵数に関する記載はなく、例年数万個以上あるはずの卵の数として少なすぎます。
また「作業内容」の欄には「ホタル孵化幼虫水槽」の「飼育水交換」という作業が毎日おこなわれていることになっています。
前述の区長答弁でも言及されているように、せせらぎに幼虫を放流したあとは「水槽」は必要ないはずなのに、管理日誌では一年中毎日「水槽の飼育水交換」がおこなわれているのです。それも20本~40本という数の多さです。
区長が「整合がとれない」とは、このことを指しています。
さらにこの管理日誌には1日置きに「クロマルハナバチ♂よりフェロモン抽出」という作業がおこなわれていることになっています。ハチからどうすればフェロモンを抽出できるのでしょうか?――まったく意味不明の作業です。
このように、阿部氏の書いた日誌はホタル飼育の実態を裏付ける資料にはなっていないのです。
◆箱詰めホタルの真相
阿部氏はマスコミの取材にこたえるなかで、区によるDNA検査や、区が示した「持ち込み」の物的証拠に対して反論しています。
報道した各紙のなかで、いちばん詳しく阿部氏の反論を記載した「都政新報」(2015年1月23日付)の記事から、反論の内容をみてみましょう。
この記事のなかで阿部氏はまず、区の報告書がホタルが箱詰めされ宅配便で外部から持ちこまれていたとしていることについて、「8月にホタルを運ぶためには、保冷剤を詰めて温度を一定以下に保たなければ死滅する。空箱のようだった(と宅配便業者が証言している)ということは、ホタルが入っていない証拠」と反論しています。
報告書には、酸素で膨らんだビニール袋にホタルが詰められ、それが発泡スチロール箱に収められている写真が添付されています。
この写真は、阿部氏の説明によれば、ホタル館に持ちこまれたホタルの写真ではなく、鎌倉の有名神社のホタルをホタル館で預かったときに撮られた写真ということになっています。
他所のホタルを預かること自体おかしな話ですが、いずれにせよ箱詰めされたホタルの状態がわかる写真です。
ところがこの写真には阿部氏の反論どおりならあるはずの保冷剤などありません。そもそも、宅配便業者が重さを感じるほどの保冷剤なら相当の数量となるはずですが、阿部氏はどれほどの保冷剤が必要なのか、知っているのでしょうか。
阿部氏はまた、DNA調査について「そもそも第三者が入っていない密室の鑑定。区と委託事業者が調査会社に出したサンプルが本当に館のホタルだとどれだけ信頼できるのか」と批判しています。
しかし「そもそも…」というならば、阿部氏自身が区による聞き取り調査に応じず、疑問点に答えないまま、一方的に辞表を提出し、職場責任を放棄したことが、DNA調査に頼らざるを得なくなった根本原因です。
そして、どうしてもDNAの調査結果に異議があるなら、再調査を求めれば済む話です。区は再調査のためのサンプルは確保していると区議会で答弁しています。
さらにいえば、「累代飼育」がおこなわれた証拠、ゲンジボタルが福島県大熊町由来であることの証拠を、阿部氏自身が提出し、立証責任を果たせば、DNA調査など、もともと無用の調査なのです。
(つづく)
東京都は都立城北中央公園の拡張計画の事業認可を告示しました(4月18日)。
今回、拡張区域に指定されたのは、板橋区小茂根5丁目の7,8,9,10,14、15、16、17番地と19番地の一部です。この区域内には204世帯、445人が居住しています。事業期間は平成36年3月31日までの10年間です。
これまで2回行なわれた説明会では住民から不満の声が続出しています。
公園拡張は、この後も計画されており、完了すると小茂根5丁目のほぼ全域と小茂根3丁目8番地、東新町2丁目32、33、34番地が公園化され、現在の居住者は移転を迫られることになります。
城北中央公園の開園は昭和32年4月。最初の都市計画決定は同年12月で、最終の計画決定は昭和51年7月です。以来、少しずつ空地になったところ「公園」として指定され拡張が続いていましたが、住居が立ち並び住宅街を形成している区域を「公園化」する事業認可は今回がはじめてです。
まだ林や牧場が多かった古い時代につくった公園計画に固執し、多くの住民が生活している場所まで公園にする必要はありません。
東京都の公園不足、緑化の遅れという事情があったとしても、すでに広い公園がある場所に公園を広げることにも大きな意義があるとも思えません。
「住み続けられる板橋区」を標榜しながら、せっかく板橋区を選んで住んでくれた人々を追い出すというのは、まったく不合理です。
板橋区都市整備局を通じて、事業主の東京都に拡張計画の見直しを求めています。
10月16日の板橋区議会本会議での、日本共産党・荒川なお議員の討論を紹介します。陳情は、共産、市民ネット、民主、無所属が賛成しましたが、自民、公明が反対し、反対多数で不採択となりました。
ただいまより日本共産党議員団を代表し、陳情第107号「集団的自衛権の行使を容認する解釈改憲変更に反対する意見書」に係る陳情について委員会決定、不採択に反対し討論をおこないます。
本陳情は板橋区議会が集団的自衛権の行使容認の憲法解釈変更に反対する趣旨の意見書をあげること求めるものです。
◎憲法が守ってきた国民の命と平和
そもそも集団的自衛権とは日本に対する武力攻撃がなくても、他国のために武力行使をするものであり、日本政府は、これまで半世紀以上に渡り、憲法上許されないとしてきたものです。
日本国憲法前文は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」第9条は「国際紛争を解決する手段としては、武力による威嚇または武力の行使は、永久にこれを放棄する」と明記しています。その憲法のもとで戦後69年間、日本は他国の人を1人も殺さず日本国民も自衛隊員といえども戦争によって1人たりとも殺されてはこなかったのです。
世界で戦争しない国民としての信頼が築かれてきたのです。
◎戦争の口実になってきた「自衛」と「邦人救出」
委員会での陳情審議で今回の問題は「攻撃権ではなく自衛権」という意見がありましたが、とんでもないゴマカシです。
戦争はいつの時代も自存、自衛の戦争であったことを忘れてはなりません。日本が引き起こした日中戦争は「自存自衛」を掲げて行われアジアで2000万人、日本で300万人の命を奪うものになりました。だからこそ、この戦争の反省の上に立って、日本国憲法は集団的自衛権の行使を否定しているのです。
また在外邦人の救出のために必要という意見もありますが、これも過去において他国への侵略の口実とされてきたもので、そのまま鵜呑みにはできません。仮に、その必要があったとしても日本政府の責任で平和的に解決すべき問題です。
◎「新3要件」で武力行使は事実上無制限に
また今回の閣議決定について、委員会審議の中で「これまでの政府見解との整合性が保たれている」「問題ない」「行使の範囲が限定されている」という意見がありました。それは、9条の下での武力行使について新3要件が示されたからだとするものですが到底認められるものではありません。
なぜなら、これまでの政府見解は「武力行使が許されるのは我が国に対する急迫、不正の事態に対処する場合に限られる」としてきたものを今度は「恐れがある場合」と言い換えて武力行使の範囲を無制限に広げるものになっているからです。
安倍首相は7月の衆議院予算委員会で「集団的自衛権を行使する例として中東のホルムズ海峡閉鎖の場合を挙げ、「石油の供給がとどこおると日本経済に相当な打撃になる。」と答えています。「中東の石油のために血を流せ」というのでしょうか。
◎戦死者をうむ「戦闘地域」
また委員会審議では「解釈変更は戦地に送るのではありません。」という意見が出されました。しかし閣議決定は「戦闘地域にはいかない」「武力行使はしない」という歯止めが外されています。従来の非戦闘地域という考え方はやめて、自衛隊の活動範囲を戦闘地域にまで拡大しました。
政府は、状況の変化によって自衛隊のいる場所が現に戦闘行為をおこなっている現場となる場合には、ただちに支援活動を休止または中断すると言っています。
しかし、弾丸が飛び交う中で逃げ出すことができるでしょうか?
後方支援の現場こそが最も戦闘行為のおこなわれる可能性が高い場所です。武器などを供給する行為そのものが相手の攻撃の対象となり、攻撃されれば武器を持って応戦をする事態にならざるをえません。
2001年のアフガニスタン戦争ではそのような地域で活動していたイギリス、カナダ、フランス、ドイツなどの人たちに大きな犠牲が出ています。犠牲者は21か国で1031人にのぼります。
しかも現在、政府は日米軍事協力のガイドラインの協議をすすめています。その中身は閣議決定を反映させるとして、これまでの周辺事態という概念をなくし、地理的な制約を取り払い、後方地域という概念をなくし「戦闘地域」での米軍支援に道を開いています。
安倍政権は正面から憲法も変えることもできず、96条も変えることもできず、とうとう閣議決定だけでアメリカとの武力行使の道に突き進んでいます。武力行使が限定されているなど幻想に過ぎないのです。
◎解釈改憲は許されない
6月の区議会本会議で区長は憲法解釈について「一般論として時代の変化に即して憲法解釈に変更が生じることもあり得ると考えております。しかし、日本国憲法の3大原則である国民主権、基本的人権の尊重、平和主義については不変のものであり解釈により変えられるものではないと考えます」と述べています。
政府自身も、かつて2004年に「便宜的、意図的な変更は政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねない」と言明してきました。国民の批判の声に耳も傾けず、国会でのまともな議論もせず、一片の閣議決定で覆すなどということは国民主権の原則を壊す暴挙であり許されないものです。
◎平和を守る地方自治体の責務
地方議会も地方自治体も憲法を守る義務が課せられています。憲法に関わる重大な解釈改憲の動きに対して声をあげるのは地方議会の責務です。
全国では190を超える自治体で、集団的自衛権に関連し「慎重な検討を求める意見書」「集団的自衛権そのものに反対する意見書」「国民の意志を反映することなしに集団的自衛権行使を認めることは許されない」という趣旨の意見書などがあげられています。
板橋区は世界に平和を発信するべく平和都市宣言をおこなっており、また板橋区長は4年前から平和市長会議にも参加しており平和のために活動している自治体です。
◎板橋区の若者を戦場に送ってはならない
板橋区の自衛隊募集によって毎年、約40人の区民が自衛隊に入隊していますが、板橋区民を海外の戦争に送り出すようなことがあってはなりません。
板橋区から政府に対して集団的自衛権の行使容認に反対する声をあげるべきであり、本陳情の採択を求めて私の討論を終わります。
9月24日からの板橋区議会第3回定例会に日本共産党区議団(8人)は、無所属議員(1人)と共同で、板橋区長の退職金を廃止する条例案を議員提案しました。
現在の区長の退職金はおよそ1800万円で、4年に一度の任期ごとに支払われています。現職の坂本健区長はすでに1度、退職金を受け取っています。
現行の制度では、区長職を退職しなくても退職金を受け取れるという矛盾があります。使途には制限がありませんので、区長選挙に出馬する現職区長には「大助かり」のお金かもしれません。でも、退職後の生活のために…という一般的な退職金のあり方からは、おおきく外れています。
そもそも「選挙で選ばれる政治家である区長に一般の労働者と同じような退職金がひつようなのか?」という意見も多くあります。じっさいに同じ選挙で選ばれる議員には退職金はありません。
日本共産党の提案は、現行の区特別職退職金条例から、区長の退職金にかかわる条項を削除し、区長の退職金を廃止する内容です。
「長く働いたなら、退職金は必要では?」という意見も当然あります。「退職金を一度かぎりのものに改正すればいいのでは?」という意見ももっともだと思います。
しかし、そうした検討をすすめるためにも、現行制度をいちどゼロにする必要があります。
ぜひとも、今回の条例案を成立させたいと思います。
写真は、東京23区の区長等の退職手当の額一覧(板橋区議会事務局作成資料)
【例・板橋区の場合】給与1,022,000円×勤続期間(4年)×450/100=18,396,000円(4年毎に支払われる退職金)
9月5日、TBSテレビの夕方のニュース番組「Nスタ」が、板橋区ホタル生態環境館が廃館になる問題を報道しました。この番組は、ホタル館のこれまでの運営実態にかかわる疑惑にまで踏み込む内容でした。
◆「20万匹はウソ」
番組にはホタル飼育担当者の阿部宣男氏が「元館長」を名乗って登場。記者から、1995(平成7)年度に約20万匹を羽化させたという報告について問われ、阿部氏は「20万匹というのはウソです」と虚偽報告をしていたことを自ら告白しました。
同時に阿部氏は「当時、板橋区として『数を拡大して言え』というのがあったんです」と、20万匹というのは上司の指示による予算獲得のためのウソの報告だったと弁明。
さらに、
「あの施設(板橋区ホタル館)で20万飛ぶわけはないだろうという部分は実はある。ただもう記録に残っちゃってるので、私はだから言わない。今日までひと言も誰にも言ったことがなかった。今回初めて自分は暴露した」
と、自らが「不正の内部告発者」であるかのように語りました。
「20万匹はウソ」という告白は、20年におよぶ板橋区ホタル生態環境館(旧・ホタル飼育施設)の運営実態を解明するうえで重大な意味を持ちます。
これまでの板橋区の報告によれば、
とされてきました。
ここに示された生息数はすべて阿部氏が区に報告していた数字です。
阿部氏の告白はこのうち1995年(平成7年)の「20万匹」について、「ウソ」として否定したわけですが、20万匹がウソとなれば、1993(平成5)年の「66,346匹」も、最近の「年間約2万匹前後」も、真実の生息数として信用できる根拠は何もないことになります。
◆2万匹でも多すぎる
もともと、板橋ホタル館で毎年2万匹前後のホタルを成虫(羽化)になるまで飼育すること自体、「奇跡」ともいえるきわめて難しいことで、ほとんどありえないことです。
ホタル館のせせらぎは、湿地帯5.4㎡(1.8m×3.0m)と流れの部分19.5㎡(15m×1.3m)から成り、川表面積は、249,000㎠(54,000㎠+195,000㎠)=24.9㎡です。
さなぎになるため上陸する寸前までこのせせらぎの中で過ごすのですが、2万匹の終齢幼虫(体長は約2センチ)がせせらぎの中にいるとすると1㎡あたり803匹以上という高密度になります。逆に1匹あたりの面積は12.4㎠しかありません。
◆カワニナで埋まる水域?
ボウフラやアブラムシなら、こうした高密度になることもあるでしょうが、ホタルはカワニナという貝を捕えて餌にする生き物です。これだけの高密度ではカワニナを確保するのもむずかしく、生き残るだけでもたいへんです。
餌になるカワニナが同じ水域にいなければならないことを考えると、とんでもない超過密な環境です。
ホタル2万匹の飼育がほんとうなら、せせらぎはすぐにカワニナの貝殻で埋まってしまうことでしょう。
◆成虫の数倍必要な幼虫数
さらに終齢幼虫のすべてが成虫になることはなく、幼虫から成虫になる割合=羽化率を考えると、2万匹を成虫にするためには、その数倍の幼虫が存在しなくてはなりませんから、せせらぎのなかの過密ぶりは常識外のものになります。
【ホタル館建設時の経緯を伝える新聞】
◆ウソをつく動機とは?
「20万匹はウソ」という阿部氏の告白に話をもどしましょう。
阿部氏は「予算獲得」という動機で、「上司から」ウソを強要されたかのように語っています。
ホタル館は区民に人気のあった施設であることは確かですが、同時に、税金の使い方という観点から「事業見直し」や「廃止すべき」というきびしい意見も根強くありました。
ですから、施設開設から現在にいたるまで、施設存続のために「予算を獲得」し、ウソの報告をあげる動機はずっとあったといえます。「平成7年だけウソをついた」という言い訳は通用しません。
◆ウソの責任転嫁
「上司の指示」でウソをついたという阿部氏の「暴露」も信じることはできません。
指示をした上司とはだれか? 直近の課長か? その上の部長か? それとも区長がじかに阿部氏に指示をしたのか? 秘密を守る見返りはなんだったのか?ーー阿部氏は指示されたときの状況を何ひとつ説明していません。
そもそも、予算にもかかわる「ウソの報告」は、明らかになれば即刻懲戒免職にもなりうる重大な不正行為です。
しかも生息数のグラフを見れば一目瞭然ですが、20万匹という数字は突出しており、こんな不自然な数字を出して、誰も疑わないほうが不思議です。
これを上司が指示したとすれば、かなりのリスクです。部課長が、これほどの大きなリスクを負ってまで、阿部氏に指示をしたとは到底思えません。
逆に現場責任者の阿部氏が報告した数字であれば、どんなに不自然な数字でも部課長にはそれを否定する根拠も知識もありません。ホタル館が長年にわたり、事実上、阿部氏ひとりに任せっぱなしになっていた一因も、そこにあります。
◆「相変わらず無関心」な上司
もともとホタル飼育事業は、1992(平成4)年に温室植物園の閉園とともに終了することが決定していました。それを住民や阿部氏とその支援者たちの強い働きかけにより、現在の場所に施設をつくり継続することになったという経緯があります。このことは阿部氏の著書『ホタルよ、福島にふたたび』などにも詳しく書かれています。
阿部氏には「ホタル飼育を続けたい」という強い動機がありますが、部課長には「区の方針に従う」という意思以上の思いがあったという痕跡はありません。
『ホタルよ、福島にふたたび』で、ホタル館開設当初について、阿部氏は次のようにこんな述懐しています。
「理想の施設に向けて一歩ずつ進み始めていました。
そんな私の活動に対する役所の態度は、相変わらず無関心でした。区長が認めたことだから黙認しましょう、という思いだったのかもしれません。
もっとも、私はほったらかしにしてくれたほうが助かります。余計な口を出されるよりも、自由にさせてくれたほうがいい。むしろありがたいくらいです」(同書111ページ)
ウソという秘密を共有した上司と部下の関係にはとても思えません。
◆ウソの最大の責任者は?
いくら「上司の指示があった」と言い張ったところで、阿部氏の責任=罪はいささかも軽減されません。
現場責任者として「ウソはつけない」という態度をとるならば、部課長にウソの報告を隠ぺいする手立ては何一つありません。
仮に部課長がウソを知っていたとしても、阿部氏が積極的でなければウソは成立しないのですから、阿部氏こそが「ウソ報告」の最大の責任者であるといっても過言ではありません。
◆ウソの社会貢献で博士号?
阿部氏はのちに、数多くのホタルを10年以上累代飼育することに成功したことが「社会貢献」として茨城大学大学院から認められ、同大学院から理学博士号を取得しています。
茨城大学大学院への入学や博士号取得の重要な資格要素である「社会貢献」に、大きなウソがあることが明らかになったのですから、阿部氏の学歴・博士号についても見直しがされるべきです。
それほど、このウソは重大なのです。
◆ホタル館の業績という虚構
毎年2万匹のホタルの羽化、25年間にわたるホタルの累代飼育、全国130か所でのホタル再生事業、カワニナとコモチカワツボのミネラル分の解析、ホタルとクロマルハナバチの共生関係、ナノ銀による放射能除染――これらはすべて阿部氏が報告・証言している板橋区ホタル生態環境館の「業績」です。
阿部氏は懲戒免職処分を不服として、板橋区を提訴しています。この裁判を罪を逃れるための時間稼ぎにしてはなりません。裁判を理由に、調査を躊躇したり、情報の公開を妨げたりせずに、事実の徹底解明と区民への周知を、板橋区につよく求めたいと思います。
8月19日の板橋区議会区民環境委員会では「陳情 第111号 脱原発を求める意見書の提出を求める陳情」についての2回目の審議がおこなわれました。陳情そのものは、今回も「継続審査」となり、意見書提出にはなりませんでした。
前回6月10日の審議の際、自民党の安井一郎議員の“暴言”(下の写真)に反論をしなかったことを反省して、今回は準備をしたうえで、安井議員に発言の撤回を求めました。安井議員は発言撤回を拒否し、開きなおりの態度に終始しました。
原発の早期再稼働を主張している自民党議員が、放射線の健康への影響を軽く評価するばかりか、そのために実際に亡くなった方まで事実をゆがめ貶めていることはぜったいに許せません。
こうした妄言を許してはならないことを、広く世論に訴えていきたいと思います。
●松崎いたる
議会は議員それぞれが意見を述べることが大事ですが、安井議員の発言には、(言論の自由を)超える問題発言がありました。
ひとつは、“板橋区内に放射性廃棄物の処理施設をつくってもいい。それをやればお金がもらえる。医療費がタダになるぐらいのお金がもらえるのだから、区内に放射性廃棄物の処理場をつくってもいい”という発言です。
これは、板橋区民を危険にさらす発言ですし、「お金がもらえる」という発言も、石原伸晃大臣が「あとは金目でしょ」と発言し大きな問題になりましたが、非常に問題です。
もう一つ、第五福竜丸が被ばくしたビキニ事件についても、亡くなられた久保山愛吉さんの死因が放射線障害ではなく“売血による肝炎ウイルスの感染症だった”という発言もありました。
これも、故人をたいへん愚弄するもので、単なる見解の相違ではすまされない発言です。
久保山さんはビキニ事件から半年たって肝炎で亡くなっていますが、劇症肝炎でした。劇症肝炎はウイルス性で起こることは極めてまれです。
安井議員は“船員さんが血を売って生活していた”という発言もしていますが、これも故人に対してきわめて不適切な発言です。
当時から、輸血による影響ではないか? という話はありましたが、これは本人が売血をした結果ということとはまったく違う。故人が生活のために血を売っていたかのようにとられる発言は、議会として訂正すべきです。
●安井一郎議員
板橋区に処理施設を持ってきたら…という話はたしかに私もしました。それは、いま国が地方公共団体、いろんなところに候補地を探している時点での話の「例え話」という話のところでお話ししたと思います。
それから、ビキニ環礁で亡くなられた方のことは、いまの医学いろいろで、松崎副委員長もおっしゃっていましたけれど、きわめてまれな劇症肝炎で亡くなる、これはその因果関係をどうして証明できるのか、はっきりおっしゃってから、私が亡くなられた方の名誉を傷つけているという、船員さんのすべての人たちのその根拠をまずお示しいただきたいと思います。
●松崎いたる
第五福竜丸で亡くなられた久保山愛吉さんの直接の死因は多臓器不全と当時発表されています。その中で肝臓の障害が一番大きな死因ということですが、多臓器不全の中には、たとえば骨髄やリンパ節の変化ということがあります。また、精巣細胞の障害も見られています。
そのような精巣に障害をうけるとか、骨髄やリンパ節にまで影響を及ぼすというのは、輸血による細菌感染ではとうてい説明ができないということが一点です。
また、輸血による感染ですと劇症肝炎にはならない。たとえばC型肝炎ではまったく劇症肝炎にならないといわれています。可能性があるのはB型肝炎のウイルスですが、これも劇症になるのは、発生率わずか1パーセントですので、そういった意味で「きわめてまれ」なわけです。
それを、たまたま久保山さんわずか1パーセントの偶然に当たったというのであれば、逆にその根拠を示していただかなければ、「売血による輸血が原因だ」という特定はできないはずです。
第五福竜丸がビキニ環礁で死の灰を受けたことは、当時の日米の調査機関でもはっきりしている事実ですから、その影響を考えずに「売血の影響だ」というほうが逆に無理な話です。
しかも安井議員は「船員さん」という言い方で、久保山さん自身が血を売って生活を立てていたという発言もしていますが、なんら確証もなく、いくら60年前の話だからといって、遺族のいるなかで、議会でそうした話をされるのは極めて不適切です。
当時から輸血の影響というのは検討されていました。肝臓障害には新しい血液を入れるという医療方法が多くとられていた。その輸血の中には売血による安全度の確かめられていない血も混ざっていたという当時の状況もありました。そのため感染症というのは当時から疑われていましたが、それは久保山さん自身が血を売っていたという話とはまったく別の話ですから、その部分でも、亡くなった方を傷つける発言だったと思います。
●安井一郎議員
根拠がないとおしゃっていますけれど、私もそれなりの調査をして、第五福竜丸の久保山愛吉さん、当時、売血そのものは非合法でも何でもなかった時代の生活の糧であったという事実も承知している。その上でこの発言をさせていただきましたので、なんら撤回するつもりはございません。
7月23日、日本共産党区議団は、坂本健板橋区長に対して、「2014年度補正予算に対する緊急要望および2015年度予算に対する重点要望」を手渡しました。
坂本区長は「(立場が)重なるものもあるでしょうし、よく読んで活かしていきます。」と応じました。
板橋区長 坂本 健 様
2014年7月23日
日本共産党板橋区議会議員団
同 板橋地区委員会
2014年度補正予算に対する緊急要望
および2015年度予算に対する重点要望
本日、2014年度補正予算に対する緊急要望、および2015年度予算に対する重点要望をまとめましたので、ここに提出いたします。
私どもが昨年末に取り組んだ区民アンケートには、1500通を超える返信が寄せられました。多くの区民の方々が、暮らし向きが大変になっていると答えています。実際、区民一人当たり所得は、5年前と比べて、年間約17万円以上も減少しています。また、生活保護世帯を含む非課税世帯が毎年増加し続けていることからも、区民の暮らしの厳しさは明らかです。
さらに、今年の4月には消費税増税が行われ、国民健康保険料・後期高齢者医療保険料も値上げとなり、家計に追い打ちをかけています。
区民の暮らしが大変な今こそ、住民の福祉の向上のために区政がその役割を十分に果たすことが求められています。
区役所南館建て替え事業は、北館の改修や仮庁舎費用などを含めると計画を大きく上回り、すでに90億に到達しようとしています。財政規模の維持と基金の積み立て最優先の姿勢を改め、区民の暮らしに寄り添う区政への転換を求めます。
この度の要望は、区民アンケートや区内の各団体や個人の方々から寄せられたものをまとめたものです。要望の一つ一つを真摯に受け止めていただき、その実現を強く求めるものです。
2014年度補正予算に対する緊急要望
○保育
・認可保育園の待機児童解消のため、新増設計画を前倒しで進めること。
・板橋小規模保育所『スマート保育』において、次の改善を早急に図ること。
① 保育料の保護者負担減免規定に基づき、減免された保育料分は区が補てんすること。
② 安定した保育を保障するため、保育者の処遇改善を図ること。
○あいキッズ
・学童機能をなくす新あいキッズの全校実施は中止すること。
・利用児童の安全のため、新あいキッズにおける職員配置を増員すること。
○教育
・いじめをなくすためには、現場や保護者の声を生かした取り組みにすること。
・学校施設の大規模改修に伴い学校給食が提供できない場合、通常の給食費を上回る自己負担が発生する時は、その分の負担を軽減すること。
○障害児者
・高等部を卒業した人が通う福祉園の新設計画を年度内に策定すること。
・就学前の障害児が通う療育施設の待機児解消を図ること。
○高齢者
・インフルエンザ予防接種における自己負担額を軽減すること。
・サービス付き高齢者住宅に低所得世帯でも入居できるよう、家賃助成を実施すること。
・後期高齢者医療保険料の滞納者に対し、画一的な取り立ては止めること。
○防災対策
・家具転倒防止器具設置助成を上限3万円に引き上げること。
○地域経済活性化・中小企業支援
・消費税増税による経済低迷の深刻化を防ぐため、経営相談および緊急融資を実施すること。
・区施設において『小規模事業者登録制度』を積極的に活用するよう庁内および指定管理施設に通知すること。
○文化・区民交流
・区民まつりや農業まつりにおけるテント代について、区民の出店を促進するため、登録団体等への減額を実施すること。
○その他
・ホタル生態環境館における疑惑解明のため、調査委員会を設置すること。
・自衛官募集について、住民基本台帳による情報提供のあり方を見直すこと。また、適齢者情報の抽出閲覧の協力要請には応じないこと。
・公共工事において、適正な賃金確保と社会保険への加入を確実にするため、確認書の提出を求めること。
・国民健康保険料の滞納世帯に対し、学資保険の差し押さえは止めること。
2015年度予算に対する重点要望
<防災対策>
・災害対策基金条例を改正し、予防対策に活用すること。
・二次避難所となっている区立福祉園などの備蓄は、障害者が必要とする必需品が備わっているようにすること。また、救急隊などが服薬などの情報を把握できるよう対策を講ずること。
・木造の一般個人住宅に対する耐震診断、耐震補強工事の助成制度の対象を、更に拡大し、全額助成も含めて助成額を引き上げること。また障害者、高齢者、在宅療養の人、低所得者に対して、全額助成も含む耐震補強工事を行うこと。
・家具転倒防止金具取り付け工事助成制度の対象者の拡大と、助成額の引き上げを実施し、普 及計画を明確にした取り組みを行うこと。
・公共施設における家具転倒防止金具取り付けを実施し、小規模事業者登録制度を活用すること。
<放射能対策>
・区としての放射能防護体制の確立と強化を図ること。
・放射線対策の部署をつくり、総合相談窓口をつくること。
・引き続き、大気中の放射線量の測定を継続すること。
<被災地、被災者支援>
・被災地と区民との交流事業を行うこと。
・区内に避難している被災者への支援を継続すること。
<行財政運営>
・児童館や区民集会所等、公共施設のあり方については統廃合ありきの計画を撤回し、区民参加で再検討すること。
・住民税の滞納者に対する徴収強化で暮らしと営業を脅かすことは止めること。
・認可保育園の職員配置基準を守ること。民間の保育士不足に対応するため、民間保育園への補助を拡大すること。
・臨時や非常勤が常態化している職場は、臨時職員は非常勤に、非常勤職員は正規化すること。
・恒常的超過勤務の解消、不払い残業の根絶、長時間労働を解消すること。業務量にふさわしい職員配置を行うこと。
・板橋区で働く非常勤、パートなど直接雇用の非正規職員の賃金、労働条件を抜本的に引き上げること。
・公契約にかかわる賃金、労働条件の基準を、区として確立し、官製ワーキングプアを生まない対策を行うこと。
・低入札価格調査の基準額と最低制限価格を引き上げること。また、入札制度について、総合評価方式の導入を検討すること。
・学校・保育園の用務、調理の委託はやめること。
・民間委託、指定管理施設における危機管理マニュアルを定期的に点検し、必要な指導を行うこと。
・男性職員の育休取得率30%への引き上げのための具体的な対策を講ずること。
・女性管理職の登用の目標を設定し、その実現のための取り組みを具体化すること。
・区政に若者の要望が反映できるように、若者の意向調査アンケートを実施すること。
<中小業者の営業支援・雇用対策>
・中小企業向けの緊急融資を、経営相談とあわせて、10年返済、据え置き3年など要件緩和を拡充すること。
・融資の審査において、税金完納を要件としないこと。また業種、年齢、性別、経験年数による差別をせず、融資制度の拡充を図ること。
・中小零細の工場や商店の固定経費(家賃や設備費)への補助を行うこと。
・区内企業および事業者に対し、雇用継続、新規採用への支援をはかること。
・耐震、省エネ、バリアフリーや介護などの住環境改善がすすむようなあらたな住環境整備のための助成事業を実施すること。
・公衆浴場への支援として、消費税は非課税とするよう国に求めること。
・浴場の空白地域における利用率低下への配慮など、公衆浴場が存続できるよう対策をはかること。
<環境・住宅・まちづくり>
・エネルギーの地産地消をすすめる観点から、区内での自然エネルギーの開発について、企業の協力も得て取り組むこと。
・自家用太陽光発電への補助を実施すること。
・大規模建築物の緑化スペースをふやすため要綱改正をすすめること。
・区営住宅、高齢者住宅の新・増設計画をもつこと。
・民間賃貸住宅に暮らす低所得の高齢者世帯に対し、家賃助成を行うこと。
・コミュニティーバスの新たな路線の検討にはいること。また1回100円乗車料金とすること。
・建築紛争予防条例を改正・強化すること。
・駅前自転車駐車場の新・増設をすること。その際、日利用枠を必ず導入すること。
・都市農業を継承できるよう必要な施策を行うこと。
<医療・保健衛生>
○医療
・東京都の大気汚染医療費助成制度を継続するよう東京都に対し強く要望すること。合わせて対象疾病の拡充を行うよう求めること。
・高すぎる国民健康保険料の板橋区独自の引き下げを検討すること。当面、区独自の保険料減免・減額制度を実施すること。
・国民健康保険における資格証発行を取りやめること。特に、継続した医療を必要としている難病患者などへの発行はただちにやめること。
・呼吸機能障害者へのパルスオキシメーターを日常生活用具の助成対象にすること。
・慢性腎臓病(CKD)の早期発見・早期治療ができるように、健診事業の改善・区内関係機関とのネットワークの強化を進めること。
・後期高齢者医療制度における短期証発行、年金などの差し押さえはやめること。
・後期高齢者医療保険の保険料を引き下げること。
・75才以上の医療費の無料化、65才から74才までの医療費負担の軽減を行うこと。
・75才以上の入院費の区独自の医療費助成を行うこと。
○保健衛生
・高齢者に対するインフルエンザ予防接種事業の助成額を引き上げること。
・健診事業に、あらたに自己負担の導入はしないこと。
・産後一ヶ月検診の助成を実施すること。
・ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンへの全額助成を実施すること。
・25才以上の区民健診を行うこと。
・ぜんそくキャンプを復活すること。行先については海だけでなく、山など内容を検討すること。
・区の指定を受けて始まった「特定相談支援事業」において、介護給付の対象にならない「基本相談支援」については区の委託事業として行うこと。
・自殺対策の強化として、区民と接する機会が多い窓口に座る職員への「ゲートキーパー」としての育成を進め、区内関係機関とのネットワークづくりを進め、多重債務と合わせてではなく自殺対策としての「庁内連絡会」を設置すること。
<福祉>
○生活保護
・生活保護の老齢加算廃止の影響を緩和するため、区として法外援護事業を行うこと。
・生活保護世帯に対し、冬季だけでなくエアコンなど電気代の負担が増える夏季についても法外援護事業として手当を実施すること。また法外援護事業を縮小しないこと。
○生活支援
・高校、専門・専修学校、大学などにかかる教育費について、義務教育の就学援助に代わる、返済なしの福祉修学資金をつくること。
○障害者福祉
・難病患者への通院費、タクシー代助成を拡充すること。
・難病患者にも都営交通無料乗車券の発行を東京都に働きかけること。
・障害者福祉施策は原則無料とするため、区独自の軽減を図ること。
・まえの福祉作業所の建て替えを検討すること。
・卒業した障害者が通う福祉園の増新設を前倒しで計画化すること。
・障害児等の放課後デイサービス事業を区内東南部に増設置すること。
・障害児者の緊急一時保護施設の増設を行うこと。
・成人の発達障害者が社会に対応できるよう、若者サポートステーションとの連携をとり、東京都の発達障害支援体制整備推進事業を活用した支援強化を図ること。
・「子ども発達支援センター」の対象年齢を児童福祉法に定める18歳まで引き上げると同時に、「発達障害」だけでなく、すべての障害に広げること。
・板橋キャンパス再編整備基本計画の高齢者福祉施設ゾーンに、区内2か所目の障害者福祉センターを設置すること。
○介護保険・高齢者福祉
・介護保険料の値上げを行わないこと。
・介護保険利用料の区独自の軽減策を実施すること。
・区独自の介護保険外介護を実施すること。
・特別養護老人ホームの待機者2,040名の解決のために、計画を前倒しして、新・増設すること。
・低所得世帯でも特養ホームに入所できるよう、利用料の負担軽減を図ること。
・介護施設への区独自上乗せで介護施策を充実させること。
・重度の要介護者を在宅で介護している家族に対して、介護手当を支給すること。
・小規模多機能型介護施設の増設のため、区独自の上乗せ支援事業を実施すること。
・「敬老入浴事業」で交付される入浴券を増やすこと。
・ふれあい館の有料化は行わないこと。また、いこいの家はすべて存続すること。
○児童福祉
・認可保育園の待機児解消のために、分園含む認可保育園の増設計画を緊急に立てること。
・区立保育園の民営化はやめること。
・認可保育園の保育料の負担軽減を図ること。
・認可外保育施設(認証、保育室、認定子ども園、条件を満たしたベビーホテル)に通う乳幼児への保育料助成額を引き上げ、認可園保育料との格差を改善すること。
・家庭福祉員及びスマート保育園の保育料を収入に応じた保育料にする
こと。
・家庭福祉員が安心して保育できるよう、休暇保障、認可保育園との連携などの改善を図ること。
・私立保育園に対し、安定した保育が保障されるよう、区としての支援を行うこと。
・あいキッズの運営委託費を増額すること。
・新あいキッズにおいても、学童保育機能を守ること。その基準は、厚生労働省の省令「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」以上とすること。
・子ども家庭支援センターの体制強化のため人員増をはかること。
・子ども医療費助成を高校生まで拡大すること
・乳幼児医療費の入院時食事代への助成を行うこと。
<教育>
・教育委員会は政治的中立の立場を堅持すること。
・学校での暴力を一掃すること。
・いじめをなくすために、厳罰化や指導強化で対応するのではなく、教職員が子どもに寄り添うことができる体制づくりを進めること。
・小規模校の廃校を前提とする「魅力ある学校づくりプラン」は見直すこと。
・就学援助の削減・縮小は行わないこと。
・就学援助は、基準の引き上げ、対象拡大を図ること。PTA会費を対象とすること。
・区立小中学校のすべての学年で、35人以下学級を独自に実施すること。
・学用品や学校給食費などの保護者負担を解消すること。
・学校図書館司書の日数、時間を増やすこと。
・学校図書蔵書の基本蔵書数を満たすことができていない学校に対して図書購入費の増額を図ること。
・天津わかしお学校は、存続すること。
・蓮根教育相談所の廃止はやめ、相談機能を存続すること。
・区立図書館は、指定管理者制度をやめ、直営に切り替えること。
<スポーツ・文化>
・スポーツ基本法に基づき、「板橋区スポーツ推進計画」を策定すること。
・小豆沢温水プールの早期着工と利用者の要望を反映できる懇談会を早急に開催すること。
・区立体育館の指定管理者と区スポーツ振興課、利用者との三者協議会を設置し、よりよい 施設利用方法と運営方法ができるように話し合いの場を保障すること。
・青少年のスポーツクラブにおける体罰撲滅のために、指導者の育成に取り組むこと。
・区内の音楽団体や文化活動団体に対する助成額を元に戻すこと。
<平和>
・平和都市宣言の精神にのっとった憲法擁護の立場を貫くこと。
以上
日本共産党板橋区議団がつくる区政ニュース『いたばし元気帳』2014年6・7月号(第21号)の内容を紹介します。
【1面】
◆若者を戦場におくるな――「集団的自衛権行使許すな!」「9条まもれ!」の声を板橋区から
◆空飛ぶ大ダコ?
【2面】
◆日本共産党議員団 区民の暮らし守ってがんばります
●企画総務委員会ーー小林おとみ、荒川なお
●区民環境委員会ーー松崎いたる(副委員長)
●健康福祉委員会ーーかなざき文子、熊倉ふみ子(委員長)
●都市建設委員会ーーいわい桐子
●文教児童委員会ーー大田伸一、竹内愛
◆力あわせて実現
●14回の条例提案で中学生まで医療費無料に
●仕事のチャンスひろげる小規模事業者登録制度
●「中学生平和の旅」を増員
●放射線測定“縮小”方針を「撤回」させる
●高齢者等の木造住宅耐震工事助成を拡充
●学校のトイレ改善、普通教室にクーラー設置を実現
【3面】
◆消費税増税、憲法改悪に怒りの声が多く寄せられましたーー「区民アンケート」に回答が1532人から
【4面】
◆シリーズ未来崩壊?!プラン 「いたばし未来創造プラン」の実態(第5回)子ども施策の後退
◆ご存知ですか? 高齢者民間緊急通報システム「生活リズムセンサー」 利用対象者が広がりました
◆日本共産党区議の活動地域と連絡先