3月7日の板橋区議会本会議において、私がおこなった日本共産党の代表質問のうち、震災がれきの受入処理問題に関する部分を紹介します。
松崎いたる
震災がれきの処理支援における区民の合意形成について質問いたします。
23区清掃一部組合は、東京都策定のスキームのもとに、宮城県女川町の震災がれきの一部を受け入れ、焼却処理することを決定いたしました。
私も先日、3日、4日と現地・女川に行き、旧住宅街がそっくり広大ながれきの仮置き場になっている状況、地元企業による荒選別、被災地雇用の場ともなっている手選別場の様子を見てきました。
中でも受け入れ側としては心配となる放射能については、三重の検査体制で厳しくチェックされており、その測定値も板橋区内の線量レベルと同等であることを確認できました。町役場の参事からも、高線量が出たら直ちに搬出をストップするとの約束もしていただきました。
しかし、こうしたがれき処理という大事な被災地支援の意思決定に板橋区民が加われなかったことに大きな疑問があります。幾ら必要なことであっても、上から押しつけるようなことはあってはなりません。
女川で町民の方からお聞きした言葉が印象に残りました。「平地のほとんどをがれきで埋めつくされた状況で、どうしてもよその町に処理をお願いしなければならない。反対する気持ちもわかる。だから、反対する人を非難するようなことはしてほしくない」というのです。
がれき処理に不安を感じている人も、がれきはそのままにすべきという人はいません。がれき受け入れに賛成か反対かと単純に二分化し、対立させるようなやり方こそ反省すべきです。
私は、がれき処理という大事なことだからこそ、「自分たちのことは自分たちで決める」 という住民自治が大切にされるべきと考えますが、区長の認識はいかがですか。
また、区長会、清掃一部組合議会でがれき処理を決定する前に、区民・区議会の意見をど う集約したのでしょうか、あるいは、なぜ意見を聞かなかったのですか、お答えください。
さらに、この問題は、ごみ行政全体の課題も浮かび上がらせています。
ごみ行政に住民の声が反映されないという問題がある現在の清掃一部組合の抜本改正を視野に入れるべきと考えますが、区長の見解をお示しください。
また、今後の震災がれきの受け入れ処理の継続の是非や事業運営のあり方について、この住民の意見を集約するために、幅広い住民の代表を参加させる評議会、あるいは諮問機関を設置するよう、区長会・清掃一部組合に提案していただきたい。答弁を求めます。
坂本区長の答弁
次に、瓦れき処理において、住民自治を大切にすることについてのご質問でございます。
現在の地方自治制度は、住民自治の仕組みとして、住民の直接選挙による代表者によって、住民の意思を行政に反映する代表民主制を採用してございます。東北大震災で被災した自治体の復興には、発生した災害廃棄物を早急に処理する必要があるが、地元ですべて対応することが難しい状況であると考えます。
したがいまして、宮城県女川町の災害廃棄物につきましては、幾重にも安全性について計測して、23区内清掃工場での処理能力や住民の健康に問題がないことが確認できたため、区長として受け入れに協力をする必要があると判断したものであります。
次に、区民、区議会の意見の集約についてのご質問でございます。
先ほども触れましたが、宮城県女川町の災害廃棄物につきましては、区民を代表する各区長が安全性を認識するとともに、23区内清掃工場での処理能力や区民の健康に問題がないことが確認できたため、区長会として、災害廃棄物を受け入れる必要があると判断したものであります。
その上で、特別区長会は、災害廃棄物の処理に関して、相互に協力する基本合意、これを女川町と交わし、そのことを受けまして、東京23区清掃一部事務組合の管理者が受け入れを決定したものであります。今後とも、災害廃棄物受け入れに関しまして、引き続き、区民、議会の皆様方に対し、丁寧な説明や処理に関する情報の公開を行いながら、ご理解、ご協力をお願いしてまいりたいと考えております。
続いて、清掃一部事務組合の改革についてのご提案であります。清掃一部事務組合につきましては、23区区民との意見交換会を年4回、そのほかに、適宜、最終埋立処分場の見学者を受け入れているほか、各清掃工場におきましても、地元代表者を交えた清掃工場運営協議会を年2回、清掃工場見学会を年12回実施するなど、特別区の清掃事業に関する意見の聴取や普及啓発に鋭意努めているところでございます。
また、23区の区長による評議会を設置し、清掃一部事務組合議会に提案する議案や運営に関する重要事項を審議しているところでもございます。さらに、特別区区長会におきましても、清掃一部事務組合によって、さまざまな報告がなされ、議論を深めているところでもございます。
このように、現在の清掃行政には、さまざまな民意を反映する仕組みや透明性を担保する制度が機能しておりまして、ご提案の清掃一部事務組合の改革の必要性はないものと考えております。
続いて、住民参加の評議機関の提案についてのご質問であります。先ほども触れましたが、清掃一部事務組合におきましては、区民との意見交換会、清掃工場における運営協議会、見学会等を開催し、清掃事業への意見の聴取や清掃行政に関する理解促進に努めているところでございます。
また、各区長による評議会を設置して、議案、運営に関する重要事項の審議や特別区長会へのさまざまな報告等を行っているところでもございます。したがいましてご提案の住民の代表を加えた評議機関を新たに設置する必要はないものと考えております。