和歌山の毒入りカレー事件。4人が死亡し、67人が急性ヒ素中毒を発症した凶悪事件だった。許しがたい蛮行である。
きょう、最高裁が被告に対して「死刑」を言い渡した。
被告の犯行であることは「合理的な疑いを差しはさむ余地のない程度に証明されている」と、その理由を述べた。
状況証拠は、その最高裁判断を裏付けている。
しかし、被告は無実を主張しつづけ、直接証拠もなく、犯行動機も解明されていない。動機がわからなければ、殺意の有無についても断じようがない。
最高裁判決の是非について、私は判断する材料を持たないが、事件の真相が裁判で明らかにならなかったことに、すっきりしないものを感じる。
否認を続け、したがって罪の意識も反省もない被告を死刑にすることで、終わらせていいものだろうか? 心の片隅の疑問を払拭できずにいる。
「犯人」は裁かれたが、「事件」は未だ裁かれずにいる。
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